「命なき物に魂を与える映像美。」アナと雪の女王2 ジョイ☮ JOY86式。さんの映画レビュー(感想・評価)
命なき物に魂を与える映像美。
ディズニーアニメーションの原点にして究極のマジックを心ゆくまで堪能することができた。
CGアニメーションとして更にリアリティを増した映像は実写と区別がつかない。
特に海の水飛沫や風、逆光で透ける葉や髪などの表現で、前作から更に目まぐるしい進化を感じた。
それらリアルな映像が生き生きと動き出す。水飛沫は馬となり、岩は巨人に、風は精霊に、氷は美しい彫像になる。
映像が現実と見まごう程リアルであるからこそ、アニメーションになった時のマジックが映える。
ディズニーアニメの集大成とも言えるような見事な映像表現だった。
ストーリーも前作と変わらずテンポよく、特に前半はコミカルな表現も小気味よく入っていて没入させられた。
中盤からのシリアスな展開も、人種問題など現代に通底したテーマをうまく取り入れていた。
ただ惜しむらくは、終盤の展開が駆け足でご都合主義に見えてしまう点だろう。
ディズニーアニメには野暮なツッコミかもしれないが、現実の人種問題が泥沼化しているだけに終盤の解決法は「そんな上手くいくはずがない」と思えてしまった。
それくらいナイーブやテーマなので、尺を伸ばしてでも深掘りして欲しかったところ。
もちろんフィクションなので、このへんの捉え方は人によって分かれるだろう。
ミュージカルの要素が強くなった本作。
前作にも負けないくらいエルサが歌う主題歌が素晴らしかった。
CMで散々聴いていたにも関わらず、サビの演出では自然に鳥肌が立っていた。
総評。
前作の高いハードルに負けず劣らずの名作。
安易な続編にせず、前作の謎を補完したストーリー展開も見事だった。
ディズニー恐るべし。