劇場公開日 2019年2月1日

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「これじゃない」メリー・ポピンズ リターンズ maroneyさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0これじゃない

2021年4月25日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

単純

寝られる

う~ん、見終わった感想は正直微妙すぎる。
無印が大好きな人程物足りなさとコレジャナイ感があったのではないだろうか?
(ちなみに私は前作が幼少期にVHSで何度も観るほど大好きだった)

まず、懐かしさを感じさせる演出が少ない。
普通、時を経た続編なら前作を思い出させるような曲や演出をふんだんに使い、観てる人を過去へと誘いそうなものだが正直その点ではイマイチだった。(ラストの2ペンスのお話は少しグッときた)

そして、前作のメリーポピンズでは核とも言える曲が今作ではあまりにも冗長的で耳にも残らず、下手に前作の曲のメロディをオマージュしてるせいでそれがまた気持ち悪い。これまた残念。
それに前作では曲が台詞にもなっており、無駄なくそして観客を飽きさせないリズム感と映像が観る人の心を引き付けた(そもそもディズニーの伝統として歌がキャラクターの心情を表すことが多い)が今作の曲はあくまで独り立ちしているような浮いた存在だ。
(これに関してはシャーマン兄弟が有能すぎたのとそもそも昨今のディズニーは曲や歌を重要視していない)

ストーリーも良いとは言い難い。まずどこかで観たような内容で一辺倒。そして、メリーポピンズと言えば最後には誰もがハッピーになれる映画だったが、今作ではそうではない。完全な悪役がおり、それがまた最後にはその人だけ寂しい感じで終わってしまう(もしかしたら見落としてるかもしれないが)それがまた何とも悲しく、前作のラスト、憎まれ役だった頭取の息子も晴れやかに凧を飛ばすシーンと比べてしまい嫌な気分だ。これはほんと最悪だった。
前作と比べたら暖かみにかけるように思える。(メリーポピンズ役のエミリーブラントの顔もキツめで怖い。こっちの方がチャーミングとか言ってる人に???って感じ。マジか。)
そして無駄なシーン、キャラも多い。
人によってはこれが原作通りで無印こそ原作者の意向に背いた外道という人がいるが、それは大きな筋違い。
savingMr.BANKS(ウォルト・ディズニーの約束)がどこまで真実かわからないが、無印はウォルトとパメラの間で作り出されたディズニーのメリーポピンズであり、ディズニーの雰囲気に合わせられるも最終的にはパメラも(一応)OKした別物である。
なので今作もディズニーのメリーポピンズとして前作をもっと踏襲して欲しかった。

おまけに混乱を招く演出も。
ファンを喜ばすためなのだろうが、正直ややこしいなとも思った。

全体的に制作陣はメリーポピンズに思い入れがないのかと思われても不思議がないし、前作のオマージュも入れなきゃだけど曲とかそのまま流用したら負けだ、でも何とか盛り上げようと必死な感じが伝わってきて複雑な気持ちになった。

とまぁ、やはりマスターピースとなった初代を越えられないということを如実に体現してくれたそんな作品だった。むしろ前作がいかに素晴らしいかが今一度再認識される良い機会なのでは、とさえ思う。
かつてのメリーポピンズは時代もあって、その特撮効果も含め評価できるが今や美しいCGが当たり前な時代。もっと中身で勝負して欲しかった。
メリーポピンズもまた昨今のディズニーの乱作の犠牲となったのである。次の犠牲はダンボか……。
そしてスーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャスはどこに行ったのか。

maroney