半世界のレビュー・感想・評価
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声が都会っ子
阪本監督作品は、闇の子供たち以来なんですが、都会っ子丸出しの稲垣吾郎と長谷川博己をどう料理したのか観たくて劇場へ。
長谷川博己は役柄的にあれで良かったと思いますが、吾郎ちゃんの声にずっと違和感があって、何となく最後の最後まで入り込めませんてした。
田舎の頑固頭の炭職人役にしては、淀みがない。それが実に惜しい。
渋皮清彦が上手にフォローしてたんですけどね。
しかし荒んだ田舎の奥さん役をやらせてもエロ可愛い池脇千鶴は、
しっかり作品の世界観に馴染んでいて、吾郎ちゃんがああなった後の見せ場はさすが!としか言いようがなかった。
脚本もすごく良かったんですけどね…。 惜しい作品。
じわじわくる作品
吾郎ちゃんファンなのでちょっと甘めの感想かもしれませんが、期待していた以上に秀逸な作品でした!
SMAP吾郎ちゃんの王子様キャラは微塵もなく、片田舎の名もない炭焼き職人になりきっていたと思います。
ただ髪形がいつもの吾郎ちゃんなので、少し違和感を感じたのは私だけでしょうか?
もう少しボサボサ頭にするとか、思いきって短髪にするとか…
もう少し気合いを入れて欲しかったかな?!
でもクスッと笑えて、ポロッと泣けて、心にじわじわ染み渡る、いい作品だと思います。
長谷川博己さんと稲垣吾郎さんのダブル主演と言ってもおかしくないですね(^^)
ありきたりな貴い世界
何の才能があるわけでもなく
仕事や幼なじみにかまけて家庭が疎かに
だからといって愛情が薄いわけでもない
そんな主人公の生き様を通して描かれる
誰にでも起こりうる現実
ファンタジーのないフェノミナン
自分がいる世界。
もともと期待度はそんなに高くはなかった。脚本もとりわけ新鮮味があるわけでもなかった。だけど、エンドロールを見送りながら素直に、友達っていいなあ、と思った。そして、親子って言葉だけじゃなくて通じるものがあるなあ、とも思った。この物語の最後にあのエンドロールを見せられただけで、十分満足できた映画だった。
出てくる役者がみな演技が達者で、どんどん気持ちを持っていかれる。吾郎が父親なんてちょっと違和感も感じるけど、その感覚さえも紘のキャラ作りに一役買っている。嫁役池脇千鶴の溶け込みっぷりは毎度感心するほどの自然さだった。瑛介役長谷川博己の抱える後悔の闇には心打たれた。そしてその周りの役者の作り上げる空気が、片田舎特有の、誰がどこの誰だかみんな知ってる閉塞感と親密感が見事にあらわされていた。時には一緒にバカをやり、時には本気で叱り、時には我が身のように悲しんでくれる。瑛介が帰ってきたのも、ほかに行き場がないからじゃなくて、それを知っていたからなんだろう。紘(吾郎)や光彦(渋川)が放っておかないことをわかってるのだ。ある意味、それは甘えかもしれない。でも、そうして甘えさせてくれることもわかっている。それは、彼らの親の世代から(もしかしたらもっと上の世代から)ずっとそうだったのだから。
そしてちょっとフラグも立っていたラストの展開。もしかしたら、息子明も、この先アイツとそういう関係を築いていくのだろうか、と思えたらまた泣けてきた。
ストーリーとか脚本が魅力的だった
現代の日常を切り取った雰囲気の作品で、そういった類の映画としては群を抜いて面白いように思った。ちょっとした特異な設定が見られたとしても絶妙な台詞やら演者の振る舞いなどで、ナチュラルで違和感なく独特のリアルさを持って観賞できた。非常にいい作品だなとは思えたけれど、欲を言えばもっと映像そのもので魅了してくれても・・・なんて思ってしまった。映像の質には不満はないけれど、あまり映画っぽく感じなかった。
劇中の音楽もあまり好みではなかった。
人生で何度でも繰り返し観たい映画
南伊勢の美しい風景を挟みながら、物語は進んでいきます。
派手さはありません。どこにでもいる登場人物、相互関係、それぞれの葛藤、悩み、傷。それなのにとても心に残るのはどこにでもある風景だからこそ自分の世界に置き換えてその風景を見られるからだろうと思います。生きていると自分の小さな世界でもいろんなことが起こる。半世界というタイトルはそういう気づきをあらゆる面から教えてくれる映画だと思います。ラストに山の中で光彦が2回繰り返し呟くセリフに人生を感じました。繰り返し繰り返し何度でも観たい映画です。言わずもがな、役者陣は主役を始め特に主要の四名は素晴らしいです。オススメします。
心に染みる映画
凄く良かったです。
普通の田舎町に育った男3人と家族の物語。
登場人物が一生懸命生きている様子が愛らしく最後は涙、涙。
未来に期待を持たせる終わり方もよかったです。
黙々と備長炭を作る稲垣吾郎の存在感が主役として映画を支えていて、脇役の素晴らしい演技が光っています。
どこか懐かしさを感じるリアス式海岸の港町に、誰もがぶつかる人生の壁など、どの世代の方が観ても共感できる映画だと思います。
生々しいフィクション。映画っていいなあ。と思わせてくれる素晴らしい...
生々しいフィクション。映画っていいなあ。と思わせてくれる素晴らしい作品。ここもどこかの半世界なんだろな。と。観終わって心地よい空気に包まれました
行間の余韻
カットとカットの間の行間(の様なもの)をすごく感じる不思議な魅力がありました。
その行間は作品を観た人がこれまで生きてきた長さや環境、友人や家族との接し方で様々に変わるのでしょう。
うまく言えませんが何となくそんな作品でした。
何度も味わいたくなる。
世代的にも内容的にも共感度100%!いろんな人生があるから、いろんな目線で鑑賞できる、違う目線で何度も何度も味わいたくなる、そんな映画でした。
配役もお見事!稲垣さん、長谷川さん、渋川さんはもちろんのこと、特に池脇さんの見事なお母ちゃんぷりには、泣かされました。
半人前のレビューですが…
ちょっと考え事してたら聞き逃してしまいそうな自衛隊の話。海外に赴任したとか、子供が銃で撃ってきたら撃ち返すしかないとか、最もシリアスだったのは海外派兵から帰国した際に起こりがちなPTSDの一種コンバット・ストレスといった話が盛り込まれている。
全体からすればかなり控え目な表現なのですが、これがタイトルの意味に繋がっているという面白さ。更には憲法第九条に自衛隊を認めようという画策がある中、PTSDや自殺者が多いことを公表しない政治家にも憤りを感じてしまう。
「世界」と「世間」という言葉が使い分けられていて、元自衛官を演ずる長谷川博己の言う海外派兵をも含めたグローバルな見識が「世界」と言うが、炭焼き職人を演ずる稲垣吾郎もまた反論せずに自分たちの住むこの田舎だって「世界」だと言う。
伊勢の田舎町に平凡で淡々と生きている人たち。亡き父は継がせたくなかったのに意地で炭焼き職人となった稲垣、普通に父の中古車店で働く渋川清彦、そして突如実家に戻ってきた長谷川のアラフォー同級生3人組。二等辺三角形という伏線も最後には氷解するのですが、正三角形じゃないところもいいし、誰が底辺なのかと答え合わせをする楽しみも残してくれた。
そんな平凡の中にも息子のイジメ問題や、池脇千鶴の内助の功など、いい話が盛り込まれている。
残念なのは竹内郁子の話が笑えなかった点や、長谷川の部下だった早乙女誉くんが全く登場しなかったことだろうか…せめてお母さんの姿があればなぁ…
稲垣吾郎はもちろん良かったし、池脇千鶴も良かった。個人的には石橋蓮司の酔っ払い演技が真に迫っていたと思う(笑)
【追記】(2月21日)読む人によってはネタバレになるかもしれないので読まないでください。
2回目鑑賞してきました。
突如入ってくるカットが凄く意味あるものに思えてきました。
閉じこもった長谷川に襲い掛かるキーンというノイズ。
居眠りした稲垣が見た幻想的な夢(これは2回出てきます)。
半世界を表す半月が大写しになったり、それが大きくなったり。
さらに竹林が風にざわめくカット。
きつねの嫁入りと、サングラスの転校生。
ボクシングでも明とライバル関係になるのかもしれないと予感させてくれる。
こうして全てが半世界に絡んでくる。
ラストシーンの脇にチラッと出てくる、「竹とんぼ」への想いも感じられた。
最初に書いた二等辺三角形は渋川の気持ちの現れだったんですね。
常に正三角形を目指したのに、中学生ながら自分が控えめな気持ちで二人を支えていたという写真。映画そのものも、二人の人生を陰ながら支えていた渋川の位置にも納得しました。
なぜだか2回目のほうが泣けました。
「私も一緒に入る!」の台詞には、恥ずかしながら嗚咽が漏れてしまいました・・・
やるせない!しかし生きなな!
稲垣吾郎、長谷川博巳、渋川清彦に池脇千鶴
監督は、阪本順治
三重県の田舎に、吾郎ちゃんは、まんぺいさんの姿を見つけた。渋川も交え3人は、同級生だ!
吾郎ちゃんは、炭を作る職人。渋川は中古自動車販売。
まんぺいさんは、元自衛官だ。生きるには、いっぱいいっぱい事情あるよね。ガキの頃は毎日楽しくはしゃいでいたけど、今はそうはいかない。なんかやるせないけど、やっぱ生きていかななって感じだね。
炭焼きのシーン綺麗 赤く燃える色と、 キンキンキーンて炭がぶつかる...
炭焼きのシーン綺麗 赤く燃える色と、
キンキンキーンて炭がぶつかる時の音もよかった
吾郎ちゃんが田舎のおじさんには、見えたり、見えなかったり
もうちょっと酒で顔がむくんでたら、田舎っぽくなったかなー
吾郎父のこどもへの関わり方が最低で、でもリアルだ〜
こういう人いっぱいいる
仕事だけしてりゃいいと思ってる
おまえ息子に興味ないだろ?とズバリ言ってくれる友達
息子の方に、おまえの親父 そんなに悪い親父じゃないぞと言ってくれる友達
やっぱり子育てにはこういう第三者が必要なんだよ〜
ウチも誰か助けてくれーと思ってしまった w
自衛隊海外派遣のPTSDも描かれてる
池脇千鶴よかったなあ
☆☆☆★★ ノベライズ版読了済み。簡単に。 ノベライズ版を読んだ時...
☆☆☆★★
ノベライズ版読了済み。簡単に。
ノベライズ版を読んだ時に、全く面白くは感じなかった。読んでいても全然頭には入って来ず、「一体何を描きたいのだろう?」とゆう感想しか思い浮かばなかったのが正直なところ。
監督が私にとっては苦手な…と言うか。これまで観た中で、『魂萌え』以外は「面白い!」と思える作品の無い阪本順治監督なのも有り、観るかどうかも躊躇う程だった…のだが。
毎度の様に、通勤時の手持ちぶたさからノベライズ版を読んだ事から鑑賞を決める。
尤も、お気に入りの脇役俳優、渋川清彦が出演者に居たから…ってのも大きい。お気に入り…とは少し違うけれど。池脇千鶴が出演しているならば、演技的にも満足させてくれるかもしれない…ってところも大きかった。
二等辺三角形の仲良し3人組。その中の1人である長谷川博巳が帰って来た事から始まる話。
彼は元自衛隊員で【コンバットストレス】を患い、半ば引きこもる人物として帰って来るのだが。その姿は、主人公にあたる稲垣吾郎の息子との対比する形で描かれ。稲垣吾郎と息子との間にある確執を氷解する役目を果たし。やがて、この親子の継承を後押しする事となる。
その様に地味な内容ながら。ノベライズ版では浮かんで来なかった人間ドラマだったが、しっかりと肉付けされた人物像によって描かれた秀作だった。他人はどう受け止めるのか…は分からないけれど。あくまでも個人的には、今まで観た阪本作品の中では1番かもしれない。ひょっとすると、今年の年間ベスト10に食い込んで来るかもしれないのではないか?と真剣に思う程の秀作だと感じた。
SMAP解散後、本格的に俳優業へと転身した稲垣吾郎。これまでも度々、出演した作品で光る演技を披露して来たが。主演となると、これまでとはいささか違いが生じて来るが。同じ元SMAPの木村拓哉が、華の有る作品でこそ活きる…とすれば。稲垣吾郎は、この様な地味な作品でもしっかりとした演技の出来る俳優として、今後活躍して行きそうな予感を感じさせる。
長谷川博己は、突如豹変する謎の有る元自衛隊員。少し意外と言える役柄だったが、堅実にこなしていた印象。
渋川清彦は相変わらず、一見するとちゃらんぽらんな男に見えて。その実、1番周りが見えている男。何よりもその言動等から友人想いの男。
いつもの様に唯一無二の存在感を発揮している。
そして何よりも池脇千鶴。
登場時間から言うと、助演クラスにあたるのだろうが。中年に入りかけた女性が醸し出す疲れた雰囲気を、絶妙に演じていて。ひょっとすると、彼女の代表作になるかもしれない…とすら感じさせてくれる。
最後に一言。この作品から得られた教訓は…。
晩御飯が秋刀魚の時に、夫婦喧嘩をしてはいけない。
余韻
人はそれぞれの世界で生きていて、自分の周辺しか実はわかっていない。
阪本監督は大好きな仏映画の、画家と庭師とカンパーニュを参考にされたとか。画家と庭師はあまりにも対照的な世界観があって本当の幸せは金と名誉だけではないと気づく。失って気づく。
半世界は非常にいい映画なんだけどもう少しだけ人間性の深みがほしいが、
徹底した炭焼きの作業がアートのようで見惚れる。
登場人物の無器用なもどかしさもあって愛しく思う
私はとても好きな映画
こっちも世界なんだよ
地方都市の郊外。
炭職人の幼なじみや家族との
暮らしのなかに流れる
人の思いや幸せを静かに味わう。
妻の初乃が持たせてくれる
弁当の文字。
夫婦のメールということで
微笑ましいです。
日常の接し方は、
あんまりベタベタはしないですが
時折みせる絡みや別れの言動で
二人の信頼感がうかがえます。
なので、
同窓会行きの話しからの急展開には
まさかの連続で
予想できませんでした。
結果的に残った
留守録には
さすがにまいりました。
煙草は、ばれてます~
すこし、
はにかんだ声がなんとも…
普通に続くと思っていた
静かな時間が、
突然、
雪崩のようになにもかも
押し流していく。
作中の空気感は、
観客との境界を溶かすような
一体感がありました。
知らず知らず、
スクリーンの中にいてました。
昔の友人達との交友も
遠慮や押し付けがましいのが
なく、
飾らない直球の会話が、
垣根を無くしていました。
いじめられている
紘の息子の明と
酒を飲んだり、
ケンカを教えたりで
えいすけが交流するシーンは、
物凄く、いいですね。
地域に人生の先輩がいて
子供の成長を補佐する環境が
あたりまえに
描かれているのが素敵でした。
明や、紘 自信が
友人の影響で
ゆっくりかわっていく時間を
みるのが心地よくて。
この作品ですごいと
思ったのは、
田舎はどこか隔離された
遠い場所ではない。
今暮らしている環境の延長線上
にあるし、
遠く離れたかけがえのない人との
精神的なつながりを
表現していたところかな。
人はみな、
ずっと一緒にいるわけでは
ないし、
海外や地域の暮らし方以外は
しらなくても、
仲間を思うこころは同じなんだよ。
って。
どこにいても、そこは世界のひとつ。
人が経験した世間が、
たくさん集まって、
世界を形成している。
人は、半分も人生をすぎると
沢山の経験をする。
いいこともそうでないことも。
忘れられない記憶も背負う。
友人のえいすけが
戦闘能力を
爆発させる場面は、
普通の田舎の人間をかえてしまう
30年の人生の長さを感じました。
淡い画面調から、
溢れる自然の光と、
紘、えいすけ、清彦の
3人のカラーの違いが放つ
行動の説得力に、
とても惹かれました。
そして、
続く人生には、
たくさん
受け止めないといけない事が
あるんだよ、という
メッセージに。
静かに胸にしみました。
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