「「半世界」しか知れない孤独」半世界 a0064さんの映画レビュー(感想・評価)
「半世界」しか知れない孤独
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映画作品として非常に完成度が高いと思う。
日常がわざとらしくなく、自然に表現されているところに好感を持った。
稲垣吾郎氏が演じる主人公は、私の父親によく似ている。他者全般に興味がなく、家族に対しても無関心なところがそっくりだ。そして、私もそっち側の人間だから、主人公の側の「半世界」しか体感したことはない。
一方、長谷川博己氏が演じる友人は、自衛官時代に亡くなった部下に償いをし続けるほど情に厚い人間である。彼にも、他者に無関心な主人公の気持ちは理解できない。彼も「半世界」しか知らないのである。
主人公と友人たちの交流を通して、それぞれの世界は一瞬、接点を持ったかに見える。しかし、すぐにまた離れてしまい、それぞれの世界の中で終わりへ向かって進んでいく。その孤独が、なんだか胸をえぐるような感じで伝わってくる。
蛇足かもしれないが、誤解を恐れずに書くと、私の見る限り稲垣吾郎氏は他者にあまり関心を持たないタイプのように思える。監督はこの作品の本質的な部分で、稲垣氏が自然に表現できるような役を与えることに成功しているように感じた。
この配役も、本作を映画作品として非常に完成度の高いものにしていると思う。
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