「半世界」半世界 mocagieさんの映画レビュー(感想・評価)
半世界
試写鑑賞。
幼馴染みの男3人。昔と今の境遇と関係性の微妙なズレが悲しみを生む。
稲垣吾郎演じる炭焼き職人の大変さ。長谷川博己の「こんなことをずっと一人でやってきたのか」という一言に、孤独と過疎化の進む寂れた地方の現実を突きつけられる。
主演の稲垣吾郎にはいい意味で裏切られた。あの都会的な伊達男のイメージは全くない。とにかく全然カッコよくない。自分勝手で子供にも疎まれているが、特に気にやむ様子もない。鈍感で不器用なオッサンを、妙に悲しみを背負わせたり同情を誘うようにドラマティックにしたりしないで、あえて淡々と演じている稲垣吾郎。だから観ていてとても腹立たしいのだ。それが後半少しだけ変わってくる。少しだけ。だから悲しい。とてもうまい。
長谷川博己は安定の演技力と身体能力でトラウマを抱える元自衛官を演じ、渋川清彦は気のいい男をまんまのキャラクターで演じる。そして、、なんといっても池脇千鶴のリアルな生活感と艶かしい可愛らしさがこの映画をはピシッと締めてくれる。
色んな想像を書き立てられるエンドロールに涙。息子役の男の子もうまい。
多くは語らず、観客に委ねるような映画だが散りばめられた色んな要素を発見できたとき、この映画のホントの深さに気付く。とてもいい映画だ。
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