あの日のオルガン : 特集
良作印・山田洋次組“最新作”は、名もなき偉人たちを描いた《感動実話》
日本で初めての“園児の集団疎開”、53人の子の命を守り抜いた保母がいた――
この“知られざる”ヒロインを、現代の女性へ“伝えたい”!
山田洋次監督の“右腕”として知られる監督・脚本家、平松恵美子が、山田組のスタッフ・キャストたちと“感動の実話映画”を作り上げた。太平洋戦争末期、日本で初めて園児を連れて、保育園ごと疎開させることに挑んだ若き保母たちを描いた「あの日のオルガン」(2月22日公開)だ。国民全員が明日をも知れぬ運命にさらされるなか、53人の子どもたちを守り抜こうと自分の身を挺して闘い抜いた名もなき女性たち――私たちが生きる“いま”へと命をつないだ彼女たちの生きざまを、目に焼き付けていただきたい。
【支持者続々】 山田監督、吉行和子、水川あさみ――“みんな”が推奨
昭和から平成まで幅広い年代の映画ファンに響く、良質な人間ドラマが誕生
山田洋次監督、吉行和子、水川あさみといった幅広い年代の“映画人”たちが、本作の「深み」を激賞! 描かれているのは戦時下の出来事だが、その中にいる“人”も“心”も普遍的で、どの年代の人が見てもきちんと「届く」作品に仕上がっている。平成世代は20代の保母たちに自分の“いま”を重ねることができ、昭和世代は物語全体を見渡して深い感慨を覚えるだろう。
【知られざる実話】 子どもたちを守ったのは、20代の若き保母たちだった
いまを生きるあらゆる女性に見てほしい――胸を打つ、“愛”と“勇気”
暗い時代を“愛”と“勇気”で一所懸命に生き抜いた彼女たちのことを、いまこそ知っていただきたい。「御上が絶対」の風潮のなか、国の決定を待たずに保育園児の集団疎開を実行した重圧と覚悟――時流におもねるのではなく、己の意志で運命を切り開いたのが、20代の若き女性たちだったという事実。“偉業”を成し遂げた彼女たちがどれほどの困難に直面していたのか、その一端を紹介したい。
やっと見つけた疎開先は、およそ集団生活には向かないボロボロの寺。保母たちは一から掃除をし、住環境を整え、園児を迎える準備を“早急に”行わなければならなかった。さらに、親と離ればなれになった子どもたちはストレスで寝つけず、保母たちは疲労困ぱい。加えて、戦争で心がすさんだ村人からの蔑みに耐え、何より恐ろしい空襲から園児を守り抜かなければ――。戸田恵梨香・大原櫻子らが全身全霊の演技で体現した苦闘の記録を垣間見ることで、保母たちの偉大さ・気高さが存分に伝わってくる。次代に語り継がれていくべき、心震える信念のドラマがここにある!
「二十四の瞳」「母と暮せば」「おとうと」「この世界の片隅に」ほか──
“この作品”を支持するならば、本作こそがあなたの《次なる良作》となる
日本映画の金字塔「二十四の瞳(1954)」を彷彿とさせる、戦時下の教師と生徒の心温まるきずなのドラマを、「母と暮せば」「おとうと」で共同脚本を務めた平松監督が、優しさで包み込みドラマティックに描き切った本作。「母と暮せば」に流れていた“安らぎ”と“人の体温”、「おとうと」にあふれていた“愛情”と“ユーモア”が見事に凝縮され、戸田や大原、さらに林家正蔵、夏川結衣、橋爪功といった「家族はつらいよ」メンバーの好演が加わり、心にじんわりと染み込んでいく作品に仕上がっている。
古き良き日本の伝統を継承しつつ、感情の機微を丹念に掬い取った平松監督の手腕に疑いの余地はないが、本作で描かれる女性たちの“現代性”にも注目していただきたい。決して女性の地位が高くなく、耳を傾けてもらえる機会も少なかったなかで“歴史”を動かした行動力。ただ感動する、というだけでなく、困難に屈せず立ち向かうたおやかな女性像が、私たちの心に前向きな勇気を灯してくれる。社会現象化した「この世界の片隅に」のように市井の人々の喜怒哀楽を丁寧に見つめつつ、女性たちの“芯の強さ”を強く訴える1本。美しいオルガンの音色のごとく、いつまでも深い余韻が残るだろう。