シュガー・ラッシュ オンラインのレビュー・感想・評価
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メタ視点を持とうっていう教訓を与える21世紀型の童話
ネットをやってる時の自分の顔とか ネットをやってる時の自分の気持ちとか フィッシングサイトで儲けてる人も ディズニープリンセスの話をつくる人たちも 幼女をおっかけるオタクも 夢中になってる時ほど自分の方を見るのは難しいけど 良いことも怪しいことも夢中になってる自分の顔を見つめ直すと、ラルフみたいに自分の弱点を見つめ直せるかもねっていうお話だった。 作り手のディズニーだけが上からものを言うんじゃなくて、自分たちの作品も外からの視点(メタ視点)でいじっちゃうところがとても21世紀っぽかった。 同じ立場で同じ視点にならないと通じる言葉は出てこないし聞いてる方は説教にしか感じないものと気づいていて表現できちゃうのが素晴らしい。
豪華声優陣!
プリンセス達だけでもよく集めたものです。豪華声優陣!いろいろなディズニーワールドのキャラが登場し、さながら手塚治虫ワールドのよう。それを観るだけでもも、充分楽しめます。お姫様ネタは笑いました。インターネットワールドも楽しく、上手いことアニメキャラとして落とし込めたなあと。ストーリーはベタな友情ものだけど、わかっちゃいるけど熱くなる! エンドロール後も楽しみがあるので、皆さん席を立たずに!
え?これで終わり?
最後のラルフが寂しそうで、これで終わりでいいのかなって思った。 夫はおもしろくなかったとはっきり言っていた。 ラルフが重すぎて、こんな友達はいやだなあ、と思ったけど、家族とは、恋人とは、夫婦とは、親友とは、何かということに考えさせられた。 シャンクはかっこいいけど、罪な女だね(笑)
今年の映画MVP作品‼︎
前半はドキドキワクワク楽しく最後は寂しくて悲しいな。なかなか良い作品だよ。前作のターボだのどうちゃらこうちゃらあるけどまぁ気にしたら負けだよ。普通に良い映画だから一回は是非観てもらいたい!
良作ではあるが、、、
前作の良いところは余すことのないビデオゲームへのリスペクトとオマージュに満ち溢れていたところだった。そしてラルフとヴァネロペは友情を深め合いつつ互いの居場所を得たはずなのだが、、
今作を要約すると「田舎で暮らしていた二人組の友達が都会に遊びに行ったら片方が刺激にやられてしまい都会で暮らしたくなってしまった」というとてもシンプルで良くあるプロット。アーケードからネットに流れていく様は若者が都会に流出して田舎が廃れていくイメージとも重なりラストの明かりの消えたアーケードがそれを象徴しているようだった。それもありインターネットの世界はとても楽しく表現されてはいるものの全体としては寂しさが常につきまとう。
また広大なインターネットの世界が二人の悩みをちっぽけに見せストーリー全体のスケールが小さいものに感じ話の骨子を考えるとアニメで無くとも良いのではとも感じた。実写映画でも荒唐無稽な表現が出来る今あえてアニメーション(3Dのキャラクターがかわいい以外)でやる意味や表現に必然性が問われる。
ネットの世界で描かれる 二人の友情物語
ズートピアのスタッフの作品とネットの世界が舞台という事で公開前から非常に楽しみにしてました。
ズートピアは差別や偏見と言ったデリケートなテーマをタブー視する事なく、本質を抉り出しつつもポップなキャラで描き切った傑作でした。今回はネットが舞台であり、SNSの光と闇などがどう描かれるか?その辺非常に興味深々でした。
また事前の予告で歴代のディズニープリンセスが総登場していた事も見逃せませんでした
(現代風3DCGで蘇ったアリエルが見たかったんや…)
なお1作目は観ておりません。事前知識としてはヘンなオーバーオールのおっさんとちいさな女の子が活躍する物語、って位のイメージでした。2人がゲームのキャラクターである事を知ったのも映画を観てからです。
けれど1作目を観てなくても何も問題ありませんでした。むしろ前作のイメージに囚われず今作の世界観に浸れたので非常に良かったと思います。プリンセス目当てで観てみようかな〜というミーハーなあなたも是非。
〜あらすじ〜
ゲームセンターのレースゲームのキャラであるヴァネロペ。ある日、彼女の仕事場であるレースゲームの筐体のハンドルが"事故"により壊れてしまう。古いアーケードゲームでありハンドルの修理代がゲームの売上金を上回ることからゲーム機の廃棄を決めた店主。しかしそれはヴァネロペたちゲームのキャラクター達の居場所がなくなってしまう事を意味する。
ヴァネロペのピンチを知ったラルフは彼女と一緒にネットの世界へ入り込み、壊れてしまったハンドルとその購入資金を調達する為、バズる動画をアップたりしてヴァネロペの窮地を救おうとするが…
〜みどころ〜
①ネットの世界
"ウィーフィー"でネットの世界に飛び込むシーンはさすがディズニーって感じです。ズートピアでジュディが初めてズートピアシティに訪れるシーンと重なります。
色んなネットワークサービスのロゴが所狭しとカラフルに描かれてます。中国で見たときは天猫や百度のロゴがありましたが日本ではLINEや楽天のアプリアイコンになっていました。ここら辺の芸の細かさはさすがディズニーといったところです。
個人的に面白かったのがポップアップ(広告)の描写。クリック欲しさにうっとおしくまとわりつく姿にあるある〜と膝を打った人も多いのでは。
バズる動画とそれが視聴者に拡散していくシーンは風刺を交えつつ現代社会をなかなかに上手く描いている思いました。心ないコメントを見て気落ちするラルフにかけられたセリフ
「コメントを見ないのはネットの鉄則よ」にどきりとした人も多いのでは?(ぶんぶんはろーYouTubeはコメント見るって言ってたような)
荒廃した街を舞台にしたオンラインのレースゲーム「スローターレース」のシーンでも随所にパロディが散りばめられてて何度もふふってなります。ギャングのリーダーで紅一点のシャンクがクールでビューティーでカッコ良かったです。
これまたパロディですが荒廃した街の中、泥棒や街のゴロツキをキャストにヴァネロペとシャンク達がディズニー映画の"お約束"よろしく突如ミュージカル調に歌いだします。菜々緒さん(シャンクの声優)も歌ってます。良い声でした。汚ねえ花火も打ち上がります。
②ディズニープリンセス総登場
ネット世界の一区画としてディズニーワールドが登場します。これがまた豪華。「無限の彼方へ〜」の一言のためだけに所ジョージさんの声取りをしたと思うとある意味配給会社泣かせの映画です。個人的にアナ雪エルサの松たか子さんの声が聞けた時点で元は取れたと思いました。
成り行きでヴァネロペがプリンセス達の控え室に潜り込み、そこで歴代プリンセス達と遭遇。突然の侵入者に対し皆さんなかなか物騒です。アナは拳を握りしめファイティングポーズ取るし、シンデレラに至っては例のガラスの靴を椅子の淵に叩きつけて割り(ええんかいな)、鋭利なガラスの割れ目をちいさな女の子にほぼ脊髄反射で構えるシーンはある意味衝撃です。彼女達がヴァネロペに対しプリンセスかどうか尋問する場面はディズニー映画のパロディに溢れ非常にユーモラスでした。また、その後ヴァネロペと打ち解け各々のプリンセスがヴァネロペの着ているようなカジュアルな部屋着に"ドレスアップ"してお部屋でくつろぐ姿は本当に見物です。ディズニーファンにとってはまさに眼福といった所ではないてしょうか。フィギュアにツムツムにネズミーランドにネットの外でも彼女達の新たな姿が並ぶのが今から楽しみです。
その他プリンセス以外にも様々なディズニーキャラクターが登場します。「予告で見たシーンが出ないよー」と愚痴る女の子のセリフはディズニー側の自虐でしょうか。やたらと人間味あふれる演出でした(ネットの世界との対比を意識?)。
いずれにせよディズニーにしか出来ないやり方で、歴代のディズニー映画とは一線を画つつも、観るものを楽しませてくれる手法の数々に「さすがディズニー!」となる事請け合いであり、それがディズニーをディズニーたらしめているんだなと今更ながら再確認。人を喜ばせるのってほんと文化的な営みですよね、ウォルト・ディズニーさん…。
③ラルフとヴァネロペ 2人の友情
物語序盤では二人はいつも一緒にいる大親友として登場。
仲良しながらも、現状に満足しているラルフと、満足しつつもマンネリな日々に少し飽き気味のヴァネロペ。そのわずかな気持ちのずれが徐々に埋めがたい差となり、物語後半では二人を分かつ決定的な溝となってしまいます。
物語の発端もラルフの「良かれと思って」した行動。そのある種一方的な善意の押し付けとも取れる子供的おっさんラルフの行動に、「友達の夢を邪魔することは友情じゃない」と正論をぴしゃりと言い放つ大人なちいさい女の子ヴァネロペ(大人なお姉さんシャンクに諭されるシーンも個人的にお気に入り)。
変化を好むヴァネロペと保守的で独善的で少しストーカー気質なラルフ。少しラルフの分が悪いようです。がんばれおっさん。
そんなラルフもクライマックスでは自身の"脆弱性"を認めプログラム上のバグを克服します。がんばりましたおっさん。(その後プリンセス達が一丸となってラルフを救出するシーンにも思いがけずほろりとしてしまった、、)
エンディングでは二人それぞれの道を歩むことになりますが、お互い自分達の弱さを知った分だけ成長し、また一つ友情が厚くなったところで物語は幕を閉じます。可愛いポップなキャラながらも毎回鋭い問いかけをしてくれるのがディズニー映画の素晴らしいところです。
以上、今作の見どころです。
ディズニー好きならとりあえず見て損はない、と断言出来る傑作でした。“FROZEN2”と合わせて次回作も期待大です(その前に1を見ようっと)。
あと今回は4DXで鑑賞致しました。4DXに向く作品と向かない作品があるかどうか分かりませんが、本作はカーチェイスの場面などが多々あるため非常にエキサイティングな映画体験となりました。プラス千円ちょいでアトラクション施設にもなるので4DXでの鑑賞を是非お勧めします。
長々と失礼。お読み頂きありがとうございました。
余りの完成度の高さに感動するレベル
ゲームの世界を擬人化し、悪役なりの苦悩を描いて大成功を収めた前作から5年で、ディズニーの傘下についたマーベルやルーカスフィルムまでも登場させ、プリンセスたちも大活躍というディズニーの本領発揮なんでもありの最高の仕上がり。 ラルフもヴァネロペもキャラを十分に活かしつつ、先の読めない展開、 独自の解釈で、細部に至るまで作り込まれたインターネットの世界も本当に素晴らしいし、よくできてる。 ネット社会の光も影も表しているつつ、訴えかけるメッセージ性も充分に伝わり、ぜひ子供たちにも見せたい大人も楽しめる最高のエンターテイメント 製作陣、ほんとすごい
確かに面白がったんだけど…
前作同様にテンポも良く細かい伏線やマニアックなところまで楽しめたんだけど、前回にあった爽快感と痛快な展開がなかったかも…
また前回のテーマの一つであるターボするってタブーを主人公がやっちゃうんだって気持ちは他の方と同様でネットをもっと上手く使ってシュガーラッシュもネット展開して次作への伏線にしたら良かったんじゃないかなと思いました。
内容は本当に楽しめたし面白かったけど、前作が最高だったから少し残念感が残りました。
集合体恐怖症なので…
前作が良かったので鑑賞。結果、期待しすぎたかなという感じ。まさかヴァネロペがシュガーラッシュを捨てるとは。それからラルフってこんなに自己中でおバカだったっけ?こんなに魅力なかったっけ…いいところが一つも見当たらなかった。
良かったのはプリンセスのシーン。ディズニーがディズニーを皮肉っていたのが面白かった。ヴァネロペの歌とシャンクのかっこよさも印象に残っている。
後半のラルフ大量発生は集合体恐怖症の自分には気持ち悪い外なかった。字幕だけ頑張って見たが、これはトラウマレベル。見たくなかった。
キャラクターには役割があるはずなのに…
全体的に面白かったんですが、ヴァネロペが結局シュガーラッシュを捨ててネットのゲームキャラになるのが不可解で仕方ない。
シュガーラッシュにこれからずっとヴァネロペがいなくなるわけ?ありえない。ゲーム機にイラストまで描かれてる主要キャラなのに。マリオシリーズからマリオがいなくなるようなもん。そんなゲームすぐ不具合が起きたと人間に捨てられるでしょう。
あとネット内のコピー能力がある毛虫みたいなウイルスあの後どうなったの?
いきなりハンドルが届いて店長は不思議に思わないの?
などなど…
それ以外は面白かったです。
でも本当にあり得ない結末でした。
子ども映画だと
バカにせず、一回観て欲しい。 宣伝を見ていた時はインターネットの世界?って思っていたけど、実に巧みに描いている。 ストーリーがとにかくいい。 ヴァネロペとラルフはディズニーアニメの中ではそこまで人気のキャラではないと思うけど、とにかく可愛らしく思えてくる。 シュガーラッシュ オンライン、面白い!
あたしの居場所
※文章全体にわたって大幅な加筆修正を行いました。新たに書き加えた内容の中で一押しなのが、最後の「次回作の妄想」の箇所です。興味をもたれた方は、そこだけでもいいので、ぜひ読んでみてください。(2018/12/24 追記➀)
※ヴァネロペが劇中歌「あたしの居場所」を歌うミュージカルシーンの完全版がネット上で公開されています。英語版ヴァネロペのしゃがれ声と『スローター・レース』のクレイジーな世界観を堪能するのに絶好の動画だと思いますので、ぜひ一度ご覧ください!(コメント欄の方にもう少し詳しい情報を載せています。2018/01/16 追記➁)
1.本当は怖い!? 『シュガー・ラッシュ:オンライン』
まさか、『シュガー・ラッシュ』の続編に「怖い」とか「悲しい」という印象をもつことになるとは夢にも思いませんでした。
もちろん、楽しくてワクワクするような描写や展開もたくさんあるのですが、観終わった直後の率直な感想としては、「楽しい」とか「幸せ」よりもこっちの方が近いです。特に、終盤の展開と結末に関しては全くの予想外で、前作の可愛らしくて心温まる雰囲気を期待して観に行った人は、面食らうことになるかもしれません。かく言う私も、1回目の鑑賞直後には本作をどう評価したらいいものか途方に暮れました。
予告編の最後に「ディズニー、ここまでやる!?」というテロップが出てきますが、まさしくその通りです。まぁ、今のインターネットの世界を本気で描くとなると、どうしても楽しくてキラキラした部分だけでなく、おそろしい部分や醜い部分、ネガティブな面も避けては通れないということなのでしょう。
ただし、前作と味わいが全く異なるというだけで、本作『シュガー・ラッシュ:オンライン』はけっして駄作ではありません。ディズニーアニメとしてもかなりの異色作なので、評価は分かれるでしょうが、非常にユニークで考えさせられる作品になっていると思います。
※余談ですが、レビューを書くにあたって、この感想が本当に合っているか心配になり、2日続けて映画を観に行きました。2回目の鑑賞後もやっぱり「怖くて」「悲しい」と感じたので、この印象はあながち間違いではないはず……。
ちなみに、1回目は吹替版を、2回目は字幕版を鑑賞しました。両方を観た印象としては、前作に比べて大人向けのジョークや自虐的なネタが多く、物語もビターな(ほろ苦い)今作は、英語版のしゃがれ声のヴァネロペの方が合っている気がしました。吹替版の可愛らしい声も大好きなんですけどね。
2.最高に楽しい!インターネットの世界
ここまで本作のダークサイドばかりを強調してきましたが、序盤から中盤にかけては、文句なしに楽しくて笑える描写が満載です。ラルフとヴァネロペが初めてインターネットの世界を訪れるシーンでは、前作の「セントラル・ステーション」を数百倍にスケールアップしたような、圧倒的な情報量と無限に近い世界の広がりを感じることができて、それだけで感動を覚えるほどです。
小ネタも満載で、そこかしこに見覚えのある顔や名前が出てきます。ディズニーアニメ、マーベルシリーズ、スターウォーズから様々なキャラクターたちがカメオ出演しているのを見つけるたびに無条件で楽しくなりますし、インターネット関連の実在の企業やサービスも戯画化されて多数登場します。さらには、検索エンジンやポップアップ広告などが擬人化されて出てくる様子も楽しいです。検索エンジンの「ノウズモア」が検索候補を前のめりにまくしたてる姿や、ポップアップ広告がキャッチセールスのようにしつこくクリックを求める姿には笑いました。
そして、特筆すべきはやはりディズニープリンセスたちが一堂に会する場面です。絵面の圧倒的な豪華さもさることながら、そこで話される内容が、ディズニーアニメの自虐的なあるあるネタ満載になっていて、めちゃくちゃ面白いです。ここでの悪ふざけ感は、まさに「ディズニー、ここまでやる!?」といった感じです。
3.喜びとせつなさが入り混じる ヴァネロペのミュージカルシーン
本作の中盤以降に『スローター・レース』というゲームの世界が登場します。荒廃した街を舞台にした危険なレースゲームなのですが、ヴァネロペはその自由で刺激的な世界観に感銘を受け、そして、カリスマレーサーの「シャンク」に惹かれていきます。ちなみに、「スローター」という言葉を調べてみると、ビックリするような意味が出てきます。(ここではとても書けないような意味なので、気になる方は調べてみてください。)
前作の時点でも、ヴァネロペはディズニープリンセスとしてはかなり異色の存在だと思いましたが、この『スローター・レース』関連の場面を見ていると、やはり彼女はとびっきりのイレギュラーなのだと感じます。過去にも、長い髪を操って戦うおてんば娘の「ラプンツェル」や、世界を救うために故郷の島を飛び出し、大海原へと旅立つ「モアナ」といった異色のプリンセスはいましたが、ヴァネロペが憧れる世界観は他のプリンセスたちとあまりにかけ離れています。
彼女が作中で初めて本格的に歌をうたう場面では、『スローター・レース』の世界を舞台に、ミュージカルシーンが展開していきます。ならず者や荒くれ者たちがうろつく殺伐としたスラム街をバックに、歌い、ステップを踏み、車を走らせるヴァネロペの表情は喜びに満ちあふれています。 そんな彼女の姿を見ていると、たしかな昂揚感が伝わってくると同時に、「ヴァネロペの居場所は『シュガー・ラッシュ』ではなく、ここなんだ……」と思い知らされるようで、せつなくなります。
※これ以降、物語終盤や結末部分の内容にふれています。重要なネタバレを含みますので、ご注意ください。
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4.やっぱり怖すぎる! 終盤のラルフの大暴走
『スローター・レース』の世界に魅了され、元のゲームセンターに戻りたくないと思ってしまったヴァネロペと、早くゲームセンターに帰って元の平穏な暮らしに戻りたいラルフ──二人はすれ違い、ついには決定的な友情の危機を迎えます。
そこからのラルフの行動には驚きました。インターネットのことがよく分かっていないからといっても、親友がいるゲームの世界にいきなりウイルスを送り込むなんて……! 思えば、前作ではあまり深くふれられてはいませんでしたが、元々ラルフには30年間にわたって人々から疎まれ、蔑まれ続けてきた恨み・辛みがあります。その果てに初めてできた親友がヴァネロペなのですから、彼女に執着するのも無理はないのかもしれません。
しかし、親友を失いたくないと固執する「しつこく付きまとって嫌われる自滅的な部分」が友情を壊し──インターネットとは突きつめると人間関係の集合であるから──ひいては、インターネットの世界を破壊する(大意)。本作のクライマックスで描かれるインターネット世界の混乱は、この「ノウズモア」の言葉を具現化したものであるだけに、余計におそろしいと感じました。
ウイルスが暴走し、大量に増殖したラルフのコピーたちがインターネットの世界にあふれかえる様は、さながらゾンビ映画のようですし、コピーたちが群体のように集まり、一つの巨大なラルフを作り上げる姿は、一つ一つの個体が体細胞かあるいは虫のように蠢いている様子もはっきり見えて、かなり不気味でおそろしいです。ラルフにとってみたら、まさに「肥大化した自己が目の前に立ち現れている」状況であり、ディズニーアニメ史上屈指の悪夢的なイメージだと思いました。
5.ほろ苦く、一抹のさびしさが残るエピローグ(と、次回作の妄想)
クライマックスのラストで、ラルフは自分自身の弱さを克服し、巨大なラルフの手からヴァネロペを解放します。ここでは、ラルフの内面での決断が映像のイメージ(ヴァネロペから手を放す)と見事に重ね合わされています。また、エピローグのラルフとヴァネロペがお別れをする場面での、“半分に割れたハート形のメダルが、合わさって一つのハートになる”イメージは、二人の関係性を象徴しているようで、実に感動的だと思いました。最近のディズニーアニメは、テーマに関わる重要なシーンで、ちゃんと“映像で語っている”ところが素晴らしいなと思います。
「夢を見つけた親友のため、離れて別々の道を歩む」というラルフの決断は正しいことだと思います。──しかし、ゲームセンターに戻ってからのラルフのなんとさびしそうなことか! たとえ正しい決断であったとしても、そりゃあそう簡単に割り切れるものではないですよね……。
この部分を深く掘り下げて描かなかったことが、本作唯一の不満点ですが、エンドロール後のおまけ映像でもこの点を補完することなく、全力でおふざけに走っていたので、この問題は次回作に持ち越しということなのでしょう。(余談ですが、エンドロール後の“あれ”には、本作中で一番笑いました。ディズニーのスタッフは“釣り”もお好きなようですね。)
次回作について考える上で一つ気がかりなのが、リトワクさんのゲームセンターです。今作では、ゲームセンターに来ている子どもたちも、「セントラル・ステーション」を行き来しているゲームキャラクターたちも、前作の時と比べてかなり少なくなっていた気がします。新しいゲーム機もしばらく導入していないようですし、『シュガー・ラッシュ』の製造元の会社も倒産してなくなっていました……。今作のゲームセンター関連の場面では、全体的に“斜陽感”が漂っています。
ここからはあくまで私の妄想ですが、もし次回作があるとしたら──リトワクさんのゲームセンターが閉鎖されることになり、行き場を失くしたラルフたちが、インターネットの世界で新たな自分の居場所を探す──という『トイ・ストーリー3』のような話になるのではないでしょうか。今作のヴァネロペの姿は、その布石になっている気がします。
カメオ出演は吹替声優で楽しめるし、スローターレースは4DXが最高!
ディズニーアニメ57作目の長編作品で、2012年の「シュガー・ラッシュ」(原題:Wreck-It Ralph)の続編。ビデオゲームの世界のキャラクターが活躍する世界観、ディズニーマニア垂涎のカメオ出演オンパレード。何度見ても楽しめる映像要素があるわけだが、あながち"子供向け"とはあなどれない。それ以上に、"人生を問う"作品になっている。
「シュガー・ラッシュ」はビデオゲームの中のキャラクターたちが擬人化され、観客の現実世界と同様、仲間や友達との関係性に悩んだり、自分自身の生き方で壁にぶつかる。
今回は、"友達とともに今のまま変わらないことを選ぶ"のか、"新しいことに挑戦して生きがいを見い出す"のかが問われる。
監督は引き続きリッチ・ムーア監督であるが、共同監督として脚本のフィル・ジョンストンが兼任しているのが大きい。フィル・ジョンストンは大ヒット作「ズートピア」(2016)の脚本にも関わっている。「ズートピア」は、現実世界を動物たちに置き換えた、ディズニー版"鳥獣戯画"だったが、その風刺センスはもともと本シリーズにも流れている。
さて、前作からの流れで観るなら、<吹替版> ということになる。前作は<字幕版>がなかったので、日本のファンにとってラルフは山寺宏一だし、ヴァネロペは諸星すみれである。加えて、カメオ出演における日本語吹替声優を楽しむこともできる(後述する)。字幕で見るのはもったいない。
また本作は3Dアニメーションの傑作なのに、今回は3D上映がない。かなり残念だが、前作は日本に4D映画館がなかったので、今回は<4D2D上映>を優先したということだろう。実際、劇中の「スローターレース」のカーアクションは、4D上映に最適化して作られている。これは絶対に4DX(MX4D)で体験する価値がある。
ディズニーアニメに、他の作品のキャラクターが多数カメオ出演するのは「ロジャー・ラビット」(1988)が原点だが、今年は実写化された「レディ・プレイヤー1」で多数の有名キャラクターが登場していたので、だいぶ見慣れた光景である。
しかし本作はそれを超える、ディズニーグループの総力戦である。ディズニーアニメのみならず、"ピクサー"からは"トイ・ストーリー"、「スター・ウォーズ」からはC-3POやストームトルーパー等、「アベンジャーズ」からはアイアンマン、ベビー・グルートも登場している。バズ・ライトイヤーの声はちゃんと所ジョージだし。
もともと「シュガー・ラッシュ」は前作でも、パックマンやソニック・ザ・ヘッジホッグ、「スーパーマリオ」のクッパや「ストリートファイター」などが登場していた。今回はインターネットに接続することによって、"amazon"や"Facebook"、"twitter"、"eBay"など有名なネット会社のほか、日本版では"楽天"も描かれている。また世界的に有名なYoutuberも実名でたくさん出てくる。日本語吹替版では、HIKAKINが声優として登場する。
やはり最大の見どころは、ディズニープリンセスの総登場である。ここで日本語吹替の声優の楽しみが出てくる。
松たか子(エルサ)、神田沙也加(アナ)、中川翔子(ラプンツェル)はもちろん、モアナの屋比久知奈も出てくる。そして白雪姫は、80年版の小鳩くるみ(わしづなつえ)、御年70歳である。わしづさんといえば「アタックNo.1」の鮎原こずえ役である。
シンデレラは、92年版の鈴木より子。またラプンツェル(中川翔子)の歌唱部分を担当していた小此木まりが、人魚姫アリエルの声優を担当している。これは本来、すずきまゆみなのだが、すずきさんがオーロラ姫役・ムーラン役も兼任しているためにこうなったのだろう。
「アラジン」のジャスミン姫(麻生かほ里)、「ポカホンタス」の土居裕子もそのまま。「美女と野獣」のベルは伊東恵里から平川めぐみに変更されている。劇団四季の舞台にも立つ、鈴木ほのかは「プリンセスと魔法のキス」のティアナだ。
「メリダとおそろしの森」のメリダは、元AKB48の大島優子である。メリダだけ、"ディズニー/ピクサー作品"なので、制作スタジオが違うということで劇中でイジられる。
本シーンでヴァネロペが、"ディズニープリンセスかどうか"で問い詰められる。吹替という意味で、ヴァネロペ役の諸星すみれは、ラプンツェルの幼少期や、アナの幼少期も演じているので、堂々とプリンセスである。
さらに、ここで思わずのけぞるシーンがある。先日11月12日に亡くなったスタン・リー(享年95歳)がアニメバージョンでカメオ出演している!
ヴァネロペが、ディズニープリンセスに会う直前、"オー・マイ・ディズニー"でストームトルーパーから走って逃げるシーン。アイアンマンと話している老人はまさしくスタン・リーだ。
マーベル映画でのカメオ出演は毎回、"スタン・リーを探せ!"として有名だが、ディズニーアニメでも「ベイマックス」(2014)のエンドロールでフレッドの父役で登場している。
故スタン・リーのカメオ出演は、「キャプテン・マーベル」(2019年3月公開)。「アベンジャーズ/エンドゲーム」(2019年4月公開)でもあるかもしれない。しかし偉大なるマーベル原作者の姿がアニメで拝めるのは最後だろう。
観れぱ観るほど楽しめる本作は、3D版として観るためにも、Blu-rayパッケージが待ち遠しい。
(2018/12/21/ユナイテッドシネマ豊洲/シネスコ/吹替翻訳:杉田朋子)
新しい。
大ネタバレします。
自分は最終的にラルフと一緒にヴァネロペが元の世界に帰るのだと思ったが、まさかそのままシャンクと一緒になるとはびっくり。そして残念。
ヴァネロペは最初ゲームを取り戻すためにネットの世界に来たのに最終的に仲間を見捨てた形で終わる。すごく自分勝手だなと感じました。
今までのピクサー作品とは新しい終わり方でした。
お子様は楽しめたのだろうか
ゲーム、ネット、ディズニーのネタのどれもが自分にはツボで、ミュージカルシーンまでは最高に楽しかった。
終盤は気持ち悪い絵が多めでテンションダウン。
ヴァネロペちゃんかわいい。
マーベル!スターウォーズ!あと…もういろいろ!
キャラいっぱい!
見つけられなかったのもあって残念!
キャプテンの盾が見つけられなかったー。
僕はグルート…かわいい。
スタン・リーとアイアンマンとR2が一緒に!
それから、ファンが思うようなことをキャラたちが言っちゃうっていうのはいいね。スタジオが違うとか…。プリンセスの突然曲がかかってスポットライトが…ってのとか。まさか、ヴァネロペまで歌っちゃうとは思わなかったかなあ。歌のシーン好きだからよかったわあ。
予告とマーベル、スターウォーズ目当てだったけど、それ以外も楽しめたー。
お話が良くできてる。
これだけチグハグないろいろなキャラクターを揃えながらきっちりと友情を描き切ってて納得。それぞれの個性もかえることなく物語に落とし込んでるし。ネットの世界の絡め方もうまい。勉強になりました。で、いいはなしでした。オトナがみても最高だと思う。 あと吹き替え版は何気に豪華。誰がなんの声か知ってみると更に面白いかも。
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