「インターネットは新たな自分の可能性」シュガー・ラッシュ オンライン ABCさんの映画レビュー(感想・評価)
インターネットは新たな自分の可能性
ディズニーの映像美とIPリソースをふんだんに活用して繰り広げられるインターネットの世界は見事。
ちらばる小ネタの数々に誰もがクスッとしてしまうこと間違いなし。
そのように個々の表現がとても面白かっただけに、ストーリーラインが残念だった。
“友達を縛りつけてはいけない”というようなテーマが、終盤取ってつけたようにしか見えない。
序盤にもっとこのテーマについて触れておけば受け入れやすかったのだが...。
ストーリーラインが破綻しているという訳ではない。
子供向けだからと言えば十分なのだが、
世界観の表現が面白かったために、欲を言えば残念に思える。
また、本作品に対して”ヴァネロペが元の世界を捨て去るのはいかがなものか”、
”前作のタブー行為であり矛盾しているのではないか”、
といった意見が大変多く散見される。
しかしながら、私はここに反論を述べたい。
ヴァネロペは”シュガーラッシュ”の世界に生まれ、その世界で与えられた役割のままにレーサーとして生きていた。
しかし、その日々に漠然とした不満を感じ、自分に秘められた新たな可能性について考え始めるようになる。
与えられた役割をこなす日々の中で自分の可能性を考える。
これは、現代社会に生きるすべての人が共感するのではないだろうか。
ヴァネロペはこれをインターネットを通じた先の世界に見出したのである。
“インターネットではなんでもできる!”とは作中の言葉だが、
本作品のメインテーマといってもいいだろう。
新たな可能性の発見、そして旅立ち。
なんと素晴らしい価値観だろうか。
現代人である我々も彼女を見習い自身の可能性を見つけたいものだ。
これを、”元の世界を捨てるのは違和感”と述べるのは、視野が狭いと言わざるを得ない。
“自身のために里を離れる”ことを”自分勝手”だと思うのはこの日本特有の文化なのかもしれないが、
もっとフラットに見つめてみてはいかがだろうか。