愛しのアイリーンのレビュー・感想・評価
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すごかった
原作漫画を連載で読んでいたのだけど、途中で読むのをやめてしまい、どんな話か分からないままだった。するとこんな話だったのか。癖の強い登場人物ばかりで、距離を置きたい。アイリーンは、誰の葬式であれあんなに大騒ぎするのって、フィリピンでもお葬式くらいあるだろうし、知的障害でもあるのかと疑うレベルだ。伊勢谷友介が異常にイケメンで面白い。お母さんの発狂ぶりがひどくてすごい。みんなひどい。ひどいまま最後まで描き切って圧倒される。
うちの近くのイオンでも上映していて見ようと思ったら終わっていた。土曜日から木曜日まで6日間しか上映していなかったようだ。
お金から始まる愛
お金のために結婚したアイリーンと
親にさっさと結婚しろや、色々言われ
フィリピンで、300万払って
アイリーンと結婚。
フィリピンでは、お見合い結婚は禁止なんですね!!
この映画で初めて知りました。
お互いがお互いに利用という形での結婚だったのですが
話が進むにつれて、しっかりお互いを好きになっていきます。
そんな中、フィリピンの女性を売る?仕事をしているヤクザの男に、アイリーンは所詮金のための結婚だろと色々言われます。
銃を突きつけるくらいに嫌ってた母親が、急に受け入れ態勢になった矢先、そのヤクザと手を組んで、アイリーンをその男に無理やり連れてかせようとします。
その時にはお互いを好きになっていた岩尾さんとアイリーン。
そのヤクザからアイリーンを助けるために銃で撃ち殺してしまいます。
そして二人で埋めて、あんなにエッチを拒んで悲鳴まで上げて嫌がっていたアイリーンは岩尾さんを受け入れます。
ずっとなにもなかった岩尾に守るものができましたね。
って思ってたら、人を殺したことがバレてヤケクソになってしまった岩尾さんは、パチ屋の惚れてたあいこさんって人とヤったり、アイリーンに金を投げつけてヤラせろと言ったり最悪な男になっていきます。
お金から始まった結婚がラストでは真実の愛へと変わっていくストーリーかと思ったら、そういえば人殺してたんだったってなりました。
まさかの岩尾さん、雪の日の夜に木に何かを刻みながら
お酒を飲み、お酒の蓋が落ちたから拾おうとしたら雪の坂道から落ちてしまいます。
そしてそのまま凍死。
木にはたくさんのアイリーンと刻まれてました。
その木と死体を見つけたアイリーン。
息子が死んだことを知った母親はショックで声が出なくなり、アイリーンがお世話をするけど叩いたり料理を投げたり!!
何度もされても見捨てずになんの血の繋がりもない義理母の介護をするアイリーン。
ある日限界が来て、家を出ようとしたところ、ジェスチャーで、わたしを山に捨ててくれと義理母に言われます。
嫌だと断ると自分の耳をハサミで切り出す義理母。
おんぶをして山まで連れていきますが死んでほしくないアイリーン。
すると、お腹に赤ちゃんがいると言い出します。
義理母は、岩尾を産む時すごく強く親に当たられてました。
あれは自分の母なのか、旦那さんの母なのか。
そんなことを思い出しながらアイリーンにおんぶされながら家へ帰ります。
が途中の道で義理母も亡くなってしまいます。
岩尾さんがメインの話なのかと思ってたけど
主役はまぎれもなく、アイリーンでした。
面白いかと言われたら、わたしには合わない作品でした。
定期的に下品と言うか、なんというか、男の人ってかんじの部分が多くて、感情が入り込めませんでした。
ラストスパートのアイリーンを変わった姿とかを見れたのはすごく良かったです。
アイリーンさん役の方が演技上手いです!
幻想
2018年公開だとしたら、前年の2017年に撮影かな。
この映画の設定はいつなんでしょう?
漫画通りなら95-96年。
現代ならスマホで通訳できます。会話できちゃいますね。
その描写が無いなら中途半端です。
漫画は現在進行形です。これ当たり前。作者がその時に描きたいものを描いてるから。
映画にするなら、漫画に無い部分を書くべきです。アレンジすべきです。
映画用の尺の関係ですっ飛ばしている?
後半全く気持ちも入らず。
夫に愛されているならいざ知らず
途中から虐げられ、もともと義母からも歓迎されていないなら
こんな家にいるかよ。ファンタジーつうか御都合主義映画。
男の妄想押し付けんなよ。めっちゃ気持ち悪い。
観終わった後のなんとも言えない毒々しい清涼感
原作未読で観たけれど、原作の作者の漫画はどの作品も読むのに気合がいるぐらいパワーのある作品だから、どんなものかと観てみたら以外と前半はそれっぽくない。
あれえおかしいなと思っていたら、殺人の展開からどんどん作品の凄みが姿を現してきて、息をのむシーンの連続。
主人公が結構早めに死んでしまったけど、大丈夫か、どうなるのという展開から、最後はちょっとしたカタルシスも感じるぐらいの高揚感と底の方からわいてくる後味の悪い苦みが混ざりあって、言いようのない気分に。
そうですね、これこそが原作作者の作品ですね。
映画としても主人公の母役の熱演が素晴らしく、最初は悪感情しかなかったし、実際やってる事も全く良い事してないのだけれど、終わる頃になると全てを中和しきるような熱演だった。
脇役の配役も素晴らしく、フィリピン人のお見合いの顔ぶれから、場末のパチンコの店員と客の雰囲気もまさにソレという感じだし、あのちょっと疲れた感じの子持ちの女性店員はとてもリアルすぎる。
面白かった
・ストーリーの展開が起伏に富んで見応えがあった。細かい服装や内装とかの寂れ具合もリアリティがあってとても良かった。一方の悩みの解決が一方の悩みの元になるという連鎖が面白かった。
・岩男の生活感や暮らしぶり、パチンコ店の寂れ具合や同僚の雰囲気が良かった。どうしたら、この世界から抜け出せるのか?と考えても答えが出ない不安な感じが観ていて苦しくて面白かった。
・岩男とアイリーンの話が中心かと思いきや、母親のツルが重要な立ち位置で驚きつつ面白かった。ヤクザにも食ってかかって行ったり、岩男への偏愛も良かった。岩男の部屋が今の隣で、あの状況での生活はたまらないなぁと思った。救いのない雰囲気が良かった。
・街のフィリピンパブの大阪弁の人が良かった。
・伊勢谷友介が、アイリーンをさらっていって、まさか岩男が射殺してしまうとは驚いた。さらっと埋めた後、性格が一変していく後半の展開も良かった。終始、救いのないストーリーでとても面白かった。
・アイリーンの明るい身振りや動きが良かった。
・岩男の車に落書きされた後、ずっとそのまま乗ってるのが良かった。
・パチンコ店の同僚のシングルマザー?の愛子さんが店中の男とヤリまくってる女の人で、見た目もあってそういう人もいるよな、と人間不信になった。確かに、清楚っぽいからそうじゃないのだけど。
ちょっとしたパラサイト的な映画です。
日本の田舎町に暮らす40独身男が、フィリピンからお金で花嫁を迎えるが、母親は気に入らない。なんとか理想的な嫁と結婚させようと目論む。
伊勢谷友介演じるヤクザを殺したところから、表現が暴力的になつて、今年アカデミー賞作品賞を取ったパラサイト的な展開になります。ついていけない人もいるでしょう。露骨な性的なシーンも多い。
でも、安田顕のダメ男ぶりが魅力的。木野花の年取ったオカルト的な母ぶりも素晴らしい。フィリピン人の嫁も明るくてすごい。フィリピン人はみんなあのように明るいのだろうか?男にだらしない同僚の吉岡愛もいい。
色々色々
最初の20分でお下品で笑えない映画だと思った…
だけど、観終わった今は大号泣している
すごい映画だった。
この映画をおすすめしてくれた友達に今度お礼を言いたいと思う。
フィリピンから家族への仕送りのために日本に嫁に来たアイリーンと、旦那と、その家族の話し。
岩尾の死んだ目がなんだか気持ちが悪く、その表情で
あんなこんなワードが飛び出すのでより怖い。
変質者だ。
だけど、アイリーンと出会い、幸せな表情を浮かべている岩尾とアイリーンをみてこちらも幸せな気持ちになる。
だけど、アイリーンを拐いに来た男を殺してしまった。
それを境に岩尾が暴力的でみさかえが付かない人間へと変わってしまう。
ここがすごく辛い。
アイリーンへの暴力や暴言、母からの暴力や暴言が見ていられない…
また改めて書きます
現代版姥捨山
中盤までは普通のコメディかと思っていたが、嫁のアイリーンがヤクザ者の塩崎(伊勢谷友介)に連れ去られてからは登場キャラが皆キレてしまう。このぶっ飛び方は狂気、アドレナリン上昇、精力絶倫、などとどんな言葉も当てはまらないくらい凄い!一体誰が悪者なのか・・・いや、皆何かに狂わされている。どこにも無いようなストーリー展開にやられてしまった。
まず描かれるのは田舎にありがちな嫁不足。それは岩男(安田)だけだったのかもしれないが、この舞台となる寒村には噂話がすぐさま広がり、何をやっても筒抜けになってしまうという、大らかのようであり、またひがみや嫌悪感、妬みややっかみが渦巻いている。そもそもこんな村にパチンコ屋が進出していること自体が外界から悪意を蔓延させているのだろう。
マッチングの不具合とも言うべきか、岩男が愛子にアタックできずにいたら、同僚に寝取られてしまった。結局はヤリ〇ンだとか元夫は刑務所にいるだとかの噂も絶えないくらいの愛子。彼女もまた田舎にそぐわない。そして、愛を知らずに42歳まで独り身の岩男は女性店長の都合の良いセックス相手となってしまっていた。そして交通事故により頭のネジが緩んで吹っ切れたのか、フィリピンへ嫁探しに行ってしまったのだ。
連れ帰った嫁アイリーンはツルの殺意にも似た暴力から守ろうとするが、二人は金で売買された仲という自責の念からも性的関係がスムーズにいかない。もともとアイリーンには愛すらなかったのだ。ところが、塩崎を猟銃で殺してしまってからは恐怖と不安を共有した二人の愛欲がピークに達し、ようやく愛を確かめ合うという皮肉。さらに精力絶倫となった岩男が愛子とも関係を持つことに・・・
何度も血を噴く安田顕も痛々しいし、母親ツル(木野花)に何度も殴られるアイリーンも痛々しい。そこには異常なまでの息子思いの姿があるのだけれど、人種差別も想像以上のものがあった。琴美(桜まゆみ)を嫁さんにしたいがため狂ったような行動にも出るが、その琴美への質問がラストへの伏線となる。「旦那と親はどっちが大事?」「子供ができたらどう?」などと、常識的だが偏執的なところを狂気じみた演技で圧倒する。
また、ヤスケンの自慰行為は琴美に対してもアイリーンに対しても行われるが、それもまた悲哀に満ちて痛々しい。その不能ぶりも人を殺したことで吹っ切れるのだが、ある意味、動物的な岩男を晒け出している。ただ、金か愛かというテーマと、塩崎の復讐心はどうも絡み合ってない気もするし、その点では岩男の方が動物的ではあるが人間臭さが漂って好感が持てるのだ。
愛おしさではアイリーン、愛子、マリーン、それぞれに魅力があるのですが、アイリーンに関しては義母を「かっちゃん」と呼んでいたのに最後には「クソババァ」になるところで醒めてしまいました。十字架を握りしめて般若心経を唱えるところや、「ウバステ?」と、日本語を覚えていたのはえらかったですけどね。また、子供を宿したことを知ったときに鬼の顔から仏の顔に変わる木野花もいい!
地獄の中に求めた愛と幸せ
ダメ人間の悲哀を苦いユーモアで描く事に定評ある吉田恵輔監督だが、さらに磨きがかかり、人間のゲスい面を生々しく。
映画化を熱望したという新井英樹のコミックを基に、その内容にKOされた。
とある寒村で、老いた両親と暮らす40過ぎの独身男、岩男。
恋愛にも無縁で、最近もパチンコ店の同僚に失恋したばかり。
家族と揉め、突然旅に出る。
暫くして、父が死去。葬式中に、ひょっこり帰省。
岩男一人ではなかった。若いフィリピン人女性を連れて…。
家を飛び出した岩男は、お嫁さん探しのツアーでフィリピンへ。
そこで見つけたのが、このフィリピン人女性、アイリーン。
そう、彼女は岩男のお嫁さんだったのだ…!
これには村中、呆然。
誰より愕然としたのは、岩男を溺愛する母ツル。猟銃を持ち出し、アイリーンに突き付ける…!
国際結婚の騒動…なんて生易しいもんじゃない。
ドス汚れた愛憎劇。
岩男がアイリーンに決めたのも、“運命の相手”なんかじゃない。変わる変わるお見合い相手にうんざりし、テキトーに決めたのが、たまたまアイリーンだっただけ。
しかも、300万円というお金で買って。
アイリーンも貧しい家族に仕送りし、養わなければならない。
お金で買った結婚。
一応結婚したというのに、SEXもナシ。
そこに“愛”なんて無い。
村中呆然も分からん訳ではない。
40過ぎたいい大人が、娘ほど歳の離れた、しかも“ガイジン”を連れて帰って来たのだから。
ついにおかしくなったか…?
ツルのアイリーンに対する態度は、ただ好かないってもんじゃない。
あからさまに忌み嫌い。と言うか、憎悪。“虫けら”呼ばわり。
岩男を溺愛するツルにとって、息子の嫁にはいい嫁が来て欲しかった。
それなのに、何処ぞの馬の骨か分からないような、ガイジンの女…いや、虫けら。
ツルは知り合いから紹介された若い女を息子の嫁にしようとする。
その行動は度を過ぎ、売春を斡旋するヤクザと暗黙の結託。
お金で買った結婚。
愛なんて無かった。
でも、不思議なもんで、一緒に暮らしている内に、少しずつ少しずつ、芽生えてくる。
ツルやヤクザの妨害。障害があればあるほど、燃えてくる。
その末に晴れて両想いとなり、ファースト・キス。遂に結ばれる。
これにはさすがに周囲もツルも認めざるを得なくなり、めでたしめでたし。
…になんてならない!
ヤクザに連れ去られたアイリーンを助けようとして、岩男はある過ちを犯した。
それが岩男を苦しめ、狂気に囚われる。
その捌け口のように、他の女と関係を持つ。
まるで、性の獣のように。
芽生えたアイリーンへの愛情も消え失せ、おま○こ以外、冷たくあしらう。
勿論、ツルは依然、辛く当たる。
一体、何の為に故郷を遠く離れ、こんな異国の田舎に嫁いできたのか。
日に日に故郷へ帰りたい気持ちが募ってくる。
最低最悪、絶望、地獄のような結婚生活。
しかしまだまだ、壮絶な事態は続く…。
ドス黒い愛憎劇、過激な暴力描写や性描写、予想も付かない展開…。
吉田恵輔の演出は、これまでにないくらい衝撃とパンチが効いている。
この凄みのある演出は、園子温や白石和彌級だ。
序盤はうだつが上がらないが、中盤は激しい愛に燃え、そして終盤はゾッとするほど荒々しく。
安田顕の熱演は、変態的なまでに圧倒させられる。
そして、誰よりもインパクト残すのが、ツル役の木野花。
これまでの穏やかなイメージから一新、異常な母の愛を怪演し、これは暫く語り継がれるだろう。
そんな中で、オーディションで選ばれたアイリーン役のナッツ・シトイの天真爛漫さ、ピュアさに癒される。
救いなんて無いような人の業と欲の渦巻く地獄模様。
ある悲劇がさらに襲い来る。
本当にえげつないほど、むごい。
でも、その底の底に、微かに、愛や幸せを求める姿を感じる。
貪り食っただけのような性交の果てに、新たな“生命”が。
クライマックスの“姥捨て山”。その道中、“生命”の存在を知り、初めて、手に手を重ねる…。
原作とは違うらしいが、印象的な雪の中のラストシーンが余韻を残す。
雪の中の、灯火。
それは、地獄の中で、誰もが求めた愛と幸せ。
女性目線で
女性としては、セックスか子供を産むか家事の労働力でしか今時評価されないなんてぞっとしてしまいました。登場する女性達が揃いも揃って男性の妄想を満たす為と家父長制度を持続させるコマ(セックス好きな愛子、子供を産む機械のツル、人身売買で買ってきたアイリーン、処女を守るお見合い相手)だったので、この時代遅れな気持ち悪さをあえて狙ったのかと思うほどでした。ここまで女性達が男性に依存的なのは、ちょっとやり過ぎかな?しかも男性がちっとも魅力的ではなかったので。
都市部にしか住んだ事がない者としては、村ってこんなに恐ろしいコミュニティなのかとぞっとしてしまいました。つまり私は絶対にムリな場所だと思ったのですが、今でも本当にこんな感じなのでしょうか?と思える程、リアリティに溢れた作品でした。この日本の内向き感の描写が、気持ちが悪い程に上手かったです。
パワーはあった。熱量も感じた。 でも登場人物たちによるそのパワーや...
パワーはあった。熱量も感じた。
でも登場人物たちによるそのパワーや熱の向け方、表現の仕方があまりにも粗暴で突拍子もなくて、どうしてそういう方向に走るのか、自分が人生素人すぎて理解できなかった。言葉で表せないから行動に至ってるんだし、彼らは理屈で動いてる訳ではないのだから理解も何もないけど……
原作未読なのもあって次どうなるか先が読めない感じはよかった。
田舎×暴走母×独身男のディストピア
吉田恵輔監督作品は、相反する感情が入り乱れる様を鮮烈に切り取る。『ヒメアノ〜ル』なら軽蔑と同情、『犬猿』なら嫉妬と信頼といった具合に。
国際結婚した岩男とアイリーンも愛情と憎悪が混濁した一筋縄ではいかない思いを抱えている。次第に愛を育むはずが、純粋すぎる岩男への愛情と周囲への憎悪をぶつける母親のツルの暴走が悲劇を招く。
過度な愛情の行く末は『いかに過不足なく親が子に正しく愛情を注ぐことが難しいか』を思い知らせてくれる。閉塞した田舎と暴走する母が岩男の負の部分を形成してしまった。そして岩男亡き後、今際の際でようやく自らと重ね合わせてアイリーンを受け入れたツルの表情は、それまでの醜く恐ろしい顔とは違い、なんとも惨めで切ない。
原作は90年代に発表された漫画で、田舎の嫁不足や国際結婚の問題を扱ったらしいが、母親の暴走が過剰が誇張されすぎて正直これらの問題点からはそれてしまっているように思える。
また、セックス中に吐いたり、母親が当たり前のようにオナニーを覗いたりととにかく神経を逆撫でするシーンが多すぎて、拒否反応が出る人がいるのも当然だ。ヤクザ者の拉致シーンも計画性がなく、あまりにも拙さすぎる。
賛否あるのはもちろんだが、安易な恋愛ものや御涙頂戴者では描けない壮絶な悲喜劇に圧倒された。
主演2人が良かった!
原作が面白かったので観に行きました。原作だと後半アイリーンに突然冷たくする理由の描写がもうちょっと伝わってきたので、映画だけ観た人にとってはただひたすら岩男の最低な部分だけがクローズアップされてしまったのではないかと感じ少し残念。でも主演の安田さん、ナッツさんの演技は引き込まれるものがありました。
本気で愛し合う岩男とアイリーンの姿を捉える一瞬が、とてつもなく神々しい
良くも悪くも賛否両論あるということは、ちゃんと問題提起ができているということ。
圧倒的な熱量の作品で、「R15+」である以上に、その暴力表現、性表現に嫌悪感さえ抱く人がいてもおかしくない、激しい振り切り方である。監督は「ヒメアノ~ル」(2016)の吉田恵輔監督。
タイトルの"アイリーン"は、地方で42歳まで独身だったオトコが迎えたフィリピン人の若妻の名前。もちろん経済援助を前提とした国際お見合い婚である。嫁問題、後継者問題に直面する地方の農村が抱える現実を描いた新井英樹のマンガを原作としている。
予備知識なしに鑑賞すると、ぶったまげるかもしれないが、こんなにマンガ的でナンセンスな事象はありえない。その突き抜けた描写に否定的になるのはどうだろう。ある意味でこれはコメディ映画なのに・・・。笑って観るくらいの余裕がほしいものだ。
これは問題提起のための設定である。それを無視して、本作を断罪する人のほうがナンセンスである。
そしてもっとも重要なのは、この映画の登場人物は"性善説の人々"で、みんな心優しい人だということ。
普段は、両親や我が子、配偶者や兄弟・友人に愛をもって接することのできる人々が、時代変化についていけず、社会通念や誤解に追い込まれて、自己コントロールできなくなってしまう。
誰にでも起きるかもしれない窮地を、ありえないくらい大げさに表現している。だから卑猥な言葉も連呼するし、言葉足らずから生まれた誤解に苦しんでいる。
母や家族のために日本人に嫁ぐことを決意したアイリーンは、ホントは愛ある恋愛結婚をしたい。岩男(いわお)は、両親思いで、同僚の子持ち女に恋する純情な男性。そして度重なる流産の末にようやく授かった一人息子を愛しすぎる岩男の母。
また伊勢谷友介演じるヤクザの塩崎も、フィリピン人である母親との母子家庭に育ち、自分に似た境遇のハーフの置かれた現状をだれよりも理解している。
一瞬だけ、本気で愛し合う岩男とアイリーンの姿を捉えるシーンが、とてつもなく神々しい。
みんな、人の痛みのわかる人たちが愛ある行動に基づいているのに、なぜか暴力的になる。そして悲劇的な結末を迎えてしまう。こんな哀しい笑い話があるだろうか...。ほんとに素敵な映画だと思う。
(2018/9/15/TOHOシネマズシャンテ/ビスタ)
実 写 版 地 獄
あの地獄みたいな漫画を実写化したら、そりゃ地獄みたいな映画となるに決まってます。
削られたシーン、足されたシーン、総合的に見て実写化度100%。2時間強の罰ゲーム。
何で俺はこんな汚いモノを見せられながら、泣きそうになっているんだろう…
ところで、実写化度100%は嘘です。
私が愛して止まない「ホモ」と「後日談」は完全にオミットされています。
いやホモは別にいいんだけど、何故に全ての憎悪が昇華された結果である、あの後日談を削ったのか?解せない。
例え蛇足でも、絶対あった方が良かったと思うよ。そう思わない?
美しく生きられなかった人達の話
ヒメアノ〜ル の監督の映画で しかも onちゃんことヤスケンが主演 というわけで鑑賞
とんでもねぇ映画だった
田舎の閉塞感を抱えながら生きていく中でもはや 性欲以外にさしたる喜びを得られなくなってしまった主人公、お金の為に人生をその男にあげる羽目になった(実際そうなのかは置いておいて、周りからはそう見られているし、自分もそう感じている)フィリピン人の少女、そして主人公を溺愛しこの世界で一番、誰よりも幸せにしなければ気が済まない母親 の3人を中心に話は進んでいく。
この3人、端的に言って一般常識の視点から見るともはや 歪んだ生き方 しか選択できなくなっている状態 の人間であり、しかも3人それぞれが人生に辛うじて見出している 生きる意味 みたいなものも全く異なっているので、とにかく何もかもがちぐはぐ
コミカルに描かれてはいるものの、世界というものが残酷に、冷淡に彼らを追い詰めていく様子は見ていてとにかく辛い
ただこの映画ではそんなボロボロで バラバラな 彼らの人生が一瞬混り合う瞬間をとにかく美しく 尊く 愛おしく描いていた それがとにかく感動的だった
おそらく劇中では 中盤とラストに その瞬間があったと思うのだけど、そのどちらも 美しくなんか生きられなくなってしまった彼らの人生が 悲しくそれでも 光り輝いていて心を鷲掴みにされる
特に途中の濡れ場シーン! あんな感動的でカタルシス全開な濡れ場見たことない 血みどろに薄汚れながら始めて結ばれる二人の姿がとにかく美しかった
しかもこの映画、怖いというか凄いのは安易に救いなど与えないところ 中盤以降性欲と恐怖に飲み込まれた果てに主人公が迎える最期は尊厳などかけらもない 惨めで 悲惨なものだった 主人公の死に方として映画史でも中々ないレベルで惨めだったと思う
でも、救いなどないと思えてしまうほど生きる事のままならなさを痛々しく突きつけてくるからこそ、あの時の彼らは美しかったのかもしれない
結果的にはこの映画は生きることの救いを間違いなく感じるお話だった
あと、ヤスケンの演技の重厚さはとにかく圧巻!
ドラマの重版出来の時も思ったけどヤスケンは単純な演技の質の高さだけでいうとチームナックス内でもダントツ というか日本でここまで心のうちから湧き上がってくるような演技をする役者は中々いないと思う
表情がとてもいい
原作は未読だけど、設定見る限り伊勢谷友介と河井青葉の役は元の漫画とはキャラ造形が少し違ったのではないだろうかという気がした 彼ら二人もやはり 歪んだ生き方しかできなくなってしまった という点で主人公たちと重なるように描かれてたと思う
しばらくは彼らのことを思い出して胸が キュッ となりそう
全然素敵な話じゃないのに、今年見た中で最も美しい瞬間のあった 素晴らしい映画だった
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