愛しのアイリーンのレビュー・感想・評価
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クソババアと虫ケラとイワオサン
岩男を中心とした小さなエピソードを並べた、4コマ漫画集みたいな印象の映画だった。
親の強すぎる愛の圧を受けて変な方向へ流れてしまった中年男の大暴走ってところか。
田舎の閉塞感というより、田舎の狭い世界の中で拠り所を求めて激しくもがく大人たちの案外有り余るパワーを感じた。
でてくる人物が揃いも揃っておかしなヤツばかりで、話の展開やポイントもクセだらけ。
下ネタもバイオレンスも掛け合いの会話も独特だけど生々しくコミカルで、かなり笑えた。
下品な言葉を叫びまくり女を求める岩男の姿には流石に引いたけど。そんなにやりたいかね…
無邪気だけどきちんと人を見ているアイリーンがいちいち可愛い。
たどたどしい日本語とクソババア呼びが大好き。
岩男の母はだいぶヤバいし絶対自分の親にしたくないタイプだけど、見てる分には面白くて結構好き。
子供のことを思い過ぎる余りのいつまで経っても過保護が止まらない行動も、その過程を考えるとなかなか憎めない。
それがなければ岩男は今頃もう少しマシになっていたかもしれないとは思うけどね。
訛りが結構あるのとフルスロットルで話が進むので展開に付いていくのに必死になるけど楽しかった。
岩男のことを全て理解することは出来ないけど、アイリーンと少しずつ好きになり合っていく過程が好きだった。「おめぇ、綺麗だな」のシーンがお気に入り。
愛なんて無い方が楽なのか、愛があれば幸せなのか、愛をどう手に入れるのか、手に入れた愛をどう扱えばいいのか、何も分からなかった不器用すぎる岩男と共に考えたくなる、ちょっと変な映画だった。楽しかった。
激情
寒村の実家で両親と暮らす42歳の男が、結婚に関する話で両親とちょろっと揉めて家を出て、数日後フィリピン人の嫁を連れて来て巻き起こる話。
ボケた父親と超保守的なうえに子離れ出来ない母親とパチンコ屋勤務の恋愛経験もろくにない主人公。
序盤から拗らせている感じとかねじ曲がった感じがあったけど、どんどんズレて加速していく。
ある意味、この母親にしてこの子ありな感じ。
笑いも結構織り込まれているしツッコミどころ満載ながら結構シリアスで重めのストーリーで、つまらなくはなかったけれど、ちょっとやり過ぎだしちょっと長かったかな。
ヒメアノ〜ルの監督作と知り....
それなりに期待して鑑賞。
R15のエログロ振り切り気味且つ不気味スパイスが入った邦画を期待してたんだけどね。結論から言えば、パワーダウンな感じ。原作未読だが、ヒメアノ〜ルとはジャンル的にも違うからだとは思うが。設定やセリフに過激さはあるが、画としてはエロもグロもかなり大人しい。
しかしながら、随所にある不気味スパイスは流石だ。ヒメアノ〜ルでいうムロツヨシにあたる助演者はいるし、各人のセリフまわしや表情、時折入り込む不自然とも思われる回想シーン、圧巻ではあった。
テーマは、過疎化する田舎が抱える国際結婚をあくまでも問題としているが、そこに人種差別を良しとする表現が多く、対象となる新潟とフィリピンの人にとっては不快にも感じるだろう。原作は未読で違いは判らないが、あまり救いの無いラストだっただけに、この映画は色んな意味でもう少し気を使った設定や、ラストでは好展開にすべきだったかもしれない。
愚直すぎる三つ巴の愛。名作誕生!
「一番大切な人に幸せになって欲しい」
愛する気持ちが強すぎるが故に、空回りしていく悲劇。
いや、悲劇じゃないです。
観る人によって受け止め方は様々でしょうが。
とても切ないけれども決して悲劇ではなく、これまで人類が繋いできた、壮大な命のリレーを感じました。(T ^ T)
親離れしろと言う父親と子離れ出来ない母親に、一人息子の岩男。
どこまで子供の面倒を見るのが親の責任で
どこまで親の面倒をみるのが子供の責任なのだろう。
そんな父、母、息子の三人家族が、ある日突然、夫、嫁、姑の三人家族に入れ替わる。
自分の立場の変化によって、新たに生まれる責任や固執にキャパオーバーで大暴走。
4人だと2対2で安定してしまうようなところも、3人だと何かにつけて必ずパワーバランスが生まれる妙。
真っ直ぐで、あどけなさが残る可愛いアイリーン。
結婚には愛がある筈だと信じているけれど、愛がどんなものなのかは、まだ良くわからない。
私も岩男と一緒に、彼女の魅力に惹かれていきました。
舞台挨拶で
「夏パート」の安田さんが「冬パート」の木野さんへバトンを渡し、夏冬を通してシトイちゃんが居る。と、おっしゃっていましたが、そう考えると、テーマがよりクリアになってきます。
夏パート :男と女による、愛情とお金と性の物語
冬パート :姑と嫁による、結婚と家族と命の物語
もちろんそれだけではなく、ガツンと問いかけてくるテーマが多すぎて、
本来ならそれぞれのテーマで映画が一本撮れるレベル。
単純に答えの出ない混乱の中で、必死にもがく登場人物たち。
そこまで誰かを愛せる熱量に圧倒されます。
自分の為に生きればもっと楽なのに、誰かの為に生きようとするなかで生まれる歪み。
熱量が高ければ高いほど歪みは大きく狂気じみていくのですが…それははたして“大切な人”が望んでいる事なのか?
でも、そんな不器用すぎる愛も突き抜けると、頭ごなしに「間違っている」とは言い切れないパワーがあります。
だって、それも一つの愛には違いない。
“真剣じゃない関係”でいることの、なんと楽なことよ。
ツルとアイリーンは全く違うようでいて、実は根本は同じような気がしました。
お金で買われてきた嫁と、跡取りを産む為の嫁。
社会から見れば利害関係の道具でも、人類の営みから見れば命のリレーの走者。
夏パートの2人にも泣かされましたが、
冬パートの2人にも涙が止まりませんでした。
追記:三つ巴のシーンが秀逸!
駐車場での、アイリーンと岩男と見合い相手
岩男の部屋での、アイリーンと岩男とすりガラス越しのツル
最高でした。
生々しい新潟
国際結婚恋愛コメディなどとお気楽に鑑賞したら、とんでもない衝撃作でした。
描写がきついので見る人を選ぶ映画だと思いますが、その分、俳優さん達の演技が際立っているような気がしました。
主役3名の怪演は特に凄かったけど、出演者全員が好演だったと思います。
原作漫画があるそうだけど、軽く読んでみたい気持ちと、映画の衝撃度を考えて覚悟して読んだ方がいいのか…悩み中。
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