「もやもや。ラストでぶち壊し。」ギャングース misakamitsさんの映画レビュー(感想・評価)
もやもや。ラストでぶち壊し。
原作を全部読んだ者です。
普通の仕事に就けない主人公たちが犯罪に手を染めるのはいいんですが、窃盗のターゲットとして何故ハングレ集団を選んだのかの説明のなさ、原作の魅力の一つだったカズキのある種誇大妄想的なポジティブさと熱さ、キモデブだけど憎めないところが薄かった(映画版の主人公はサイケ?)など細かいところでうーん・・・というところはありましたが、全体的にテンポよく緊張感があって、途中までは楽しんでみていました。
しかし、ラストのラスボスからのタタキが成功した後、非常に安っぽいケアレスミスで全てが台無しになってしまいます。この演出には本当に辟易しました。よくある海外ドラマシリーズで、主人公たちが何かに成功しかかっているのに、シリーズ引き伸ばしのためにとってつけたような失敗をやらかしてまた最初からリトライ、っていう感じのアレです。ただ、これは単発映画です。あの演出に何の意味があったのでしょうか。結果として彼らの生活が変えられないというオチにしたかったとしても、あれでは何のカタルシスもなく、一気に安っぽいパッケージ化されたドラマを見させられていた気分になりました。
原作は読み終わった後で幾ばくかの救いがありましたが、本作にはありません。しかも、「結局現実は厳しい」という視聴者へのメッセージ性のある救いの無さではなく、上記のような単なるヘボミスによるもの、安っぽいお芝居としての救いのなさです。映画館で見ましたが、ちょっと待ってレンタルかAmazon primeで十分かな。その程度の映画でした。