「今でも続いている生き難さ」焼肉ドラゴン にっしんさんの映画レビュー(感想・評価)
今でも続いている生き難さ
日本人として普通に生活したいだけなのに、国の都合で個人の資産を奪ってしまう社会。大阪万博の1970年の頃、物質的な豊かさこそが幸福なのだといわんばかりの都市開発の時代、怒鳴りながら、泣きながら、笑いながら、たくましく生きていく在日コリアンたちがいた。戦後の匂いがまだ残っていた大阪下町の市井の人々の描写にのめり込んだ。特にキム・サホンの表情が素晴らしい。この芯の通った、でも悲しい表情はこの映画の全てのように思えた。この俳優の他の作品も観て見たい。ちょっと気になったのは自殺した中学生の息子さんをもう少し丁寧に描いて欲しかった。舞台ではどうなのだろうか。
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