シューマンズ バー ブックのレビュー・感想・評価
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チャールズ・シューマンの酒場放浪記
映画.COMの解説にあるとおり、カクテルのレシピを中心としたバーの教則本の著者チャールズ・シューマンさんがNY、パリ、ハバナ、東京、ウィーンのお気に入りのバーを巡るドキュメンタリー。
印象は無愛想な老人、いろんなバーテンダーと対談するが聞き上手なのか殆ど自分のことは語らない。もっとも有名人なのでレジェンドと持ち上げられる社交辞令にはうんざりしているのかも知れません。ドイツで4つのバーを経営し今でもカウンターに立つ現役バーテンダー、半ば自虐的に「僕は人が嫌いなんだ、毎日店に出ていれば危険を感じることもある、中には最低の客も来ることがあるしね」と語っていたが、このお年でボクシング・ジムに通っているというのも健康法だけとは思えませんね。
製作者は同じドイツの女性マリーケ・シュローダーさん、母国が生んだ伝説のバーテンダーに興味津々が直接の動機でしょうが若いころから海外特派員が夢だったというから世界各地を巡るロードムービーは一石二鳥だったのかも知れません。ただ監督としてはどうなんでしょう、せっかく世界各国を巡りながら土地柄や人柄などの洞察、描写が希薄、人物紹介も型どおりだし、内容もカクテルが主でおいしい肴には踏み込まず、バーテンダーの矜持とか堅い話が多かった。
そんな中でもアメリカの禁酒法時代のキューバの貢献、ラム酒づくりの拘りやヘミングウェイのエピソードは興味深かった。東京編では天然氷のカットに拘る話が出てきました、私事だが昔、上司に連れられて初めて入ったバーでテニスボール位の丸い氷のオンザロックが出てきて感動したことを思い出しました。
バーの常連ならずとも、老バーテンダーの案内で有名バーを訪れる映画を観るなんて大人の愉しみを感じますね、エンディングのシャルル・トレネの「詩人の魂」も名選曲でした。
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