「前作までに積み上げた前フリを全部台無しにする中途半端にも程がある駄作」X-MEN:ダーク・フェニックス よねさんの映画レビュー(感想・評価)
前作までに積み上げた前フリを全部台無しにする中途半端にも程がある駄作
1975年、念動力を持つ少女ジーンは家族とドライブ中に事故に遭遇、孤児となってしまう。1992年X-MENのメンバーとなっていたジーンはスペースシャトル、エンデバー号の救出ミッションに参加するが、太陽フレアに飲み込まれてしまう。瀕死の状態で救出されたジーンだったが、事故によって自分の中で強大な能力が発動したことを知る。
正直、めちゃくちゃ残念な出来。前作『~アポカリプス』が80年代カルチャーをうまく取り入れて当時を知る者としてはなかなか楽しい出来だったのに対して、本作はせっかく90年代を舞台としているのに当時の時代考証が壁紙程度の効果もない。前作、前々作でお約束となっていたクイックシルバーが超高速で活躍するシーンもなし・・・そこは時代的にパール・ジャムとかニルヴァーナとか使うところちゃうんか!?これは今回初監督のサイモン・キンバーグの力量不足なんでしょう。よってブライアン・シンガーの演出手腕がいかに優れているかが逆に浮き彫りになりました。監督曰くシリーズ中で最もリアルでダークなんだそうですが、ミュータントが活躍する話がリアルなわけがないし、2作かけて丹念に積み重ねてきたキャラクターがここにきてさっぱり生彩に欠けているし、肝心のアクションシーンがどれもこれもこじんまりしててB級のバッタモンでも観てるような錯覚すら覚えました。そもそも世間の評価も辛かったし、どうも世界的に興行成績も伸びず製作予算とトントンくらいしか稼げてないみたいなので宣伝費とか考えたら大赤字なのかも。演出サイドの力量不足もそうですけど、こんな中途半端な出来の作品によくもまあGOサイン出したねぇと製作サイドのジャッジの甘さも目に沁みます。それを考えると『ローグ・ワン』とかがっつり再撮影させたディズニーはちゃんとしてるなと思いましたね、『ハン・ソロ』はそれでもクズでしたけど。