「浜辺三波の振り切った演技が喰っている」センセイ君主 Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
浜辺三波の振り切った演技が喰っている
いまが"旬"の竹内涼真の御姿を拝むこともできるが、やはり注目は浜辺美波である。
「君の膵臓をたべたい」(2017)の大ヒットで、その演技力が絶賛された若き女優は、とても17歳とは思えない落ち着いた顔を見せるかと思いきや、本作では恥ずかしげもなく弾けたバカな女子高生っぷりを見せる。180度転回したラブコメディである。
原作は別マ(別冊マーガレット)の幸田もも子による人気少女漫画。恋愛相手探しにしか興味のない主人公・佐丸あゆは(浜辺美波)は、告白7連敗中。カレシなし歴が人生年齢という恋に恋する女子高生である。そこに現れた新任数学教師の弘光由貴(竹内涼真)は、ひねくれ者。
あゆはのバカ丸出しの猛アタックを、クールにかわす弘光先生。"高校生相手の恋愛なんてない"と一刀両断されるほど、好きになってしまう不器用な愛情表現が可愛らしい。ドタバタの突き抜けた笑いが各所に仕掛けられている。
全力で笑いを取りにいったぶん、最後の落としどころに感動。
あゆはの親友(中村葵役)として川栄李奈がキャスティングされているのも、若手演技派の共演としての見どころ。AKB48時代のバカっぷりが"演技"だったのかと思えるほど、いまでは幅広い役柄をこなす川栄李奈が、浜辺美波のバカっぷりを諭したり、はたまた一緒に協調したり、絡みのコンビネーションが楽しい。
実に50年前の曲、Jackson5の「I Want You Back」(1969)を忠実にカバーしたTWICEバージョンを予告編に使ったのが秀逸。実際にはエンディングにしか使われていないのだが、強烈に頭に残る。また劇中でもノリのよい、ちょっと懐かしい音楽も効果的に使われ、ジュディマリの「OVER DRIVE」(1995)は、ストーリー上のキーになっている。
竹内涼真ファンには申し訳ないが、やはり浜辺三波が喰っている。単なる少女コミックの実写版ではない、観て損はない作品。
(2018/8/1/TOHOシネマズ日比谷/シネスコ)