「お金と学歴」バッド・ジーニアス 危険な天才たち shinさんの映画レビュー(感想・評価)
お金と学歴
「こっちが騙さなきゃ世間に騙される」
不正を働くうえで、これ以上説得力のある言葉なんてないのではないか。
「生まれながらの負け犬」と自覚し「人より努力しないとだめ」と言いながらその努力が不正を行うこと。なぜなら彼女にとって「不正とは何かを失うこと」だから。
欲しいものを手に入れるためには手段を択ばない。
いわゆる詐欺を働く人の心理ってこんな感じなのかもしれない。
最後、試験管からの追跡を逃れようと地下鉄駅構内を彷徨うシーンは多少冗長な気もしましたが、全体的にスリリングな緊張感を保ち、時折コミカルなシーンを織り交ぜながらテンポ良く映画は進みます。
主人公リンの罪の意識に苛まれながら、目的を達成しようとしたり仲間を助けようとしたり、揺れ動く彼女の心理がこのリン役の彼女の表情から如実に伝わってきて、「リン、がんばれ」なんて感情移入してしまいます。
実際にあったといわれるカンニング方法で、そこまでしたいの?カンニングまでして入学したあとどうなるの?
と一般人なら思ってしまうのでしょうが、そこまでしたいほどの学歴社会で、ひとたび高学歴を手に入れれば
輝かしい未来が待っている、と若い人は刷り込まれているのでしょう。そのためだったらいくらでも払います、って程にね。
かと言ってそんな学歴社会を批判している映画というわけでもなく、親子愛や恋愛ものに発展することもなく
何かテーマを押し付けているような(いい意味で)メッセージ性を感じず、それぞれの登場人物のキャラクター設定もよくできていて、それ故に物語にのめり込みやすくて、カンニング行為をしている人たちに対して応援したくなる、純粋に楽しめる映画でした。
Bad Geniusというタイトルもこれしかない!というくらい的確です。