万引き家族のレビュー・感想・評価
全235件中、1~20件目を表示
「虐待家族」「幸福家族」そして「万引き家族」
過去の是枝作品に共通するモチーフの全面展開を見た思いだ。『ワンダフルライフ』では、死者が生者に見えてくる。『DISTANCE』では、エリートがヘタレに見えてくる。『空気人形』では、人形が人間に見えてくる。そして『誰も知らない』では、子どもが大人に見えてくる。
是枝作品では、ないものがあるかのように、嘘が真実に、虚構が現実に見えてくる。今作では、犯罪で家族の共通前提を意識的に支える「変形家族」が、私たちの「理想的な家族像」を大きく揺さぶる。「家族もどき」が「真の家族」に見えてくるのだ。
その比較として持ち出されるのが、虐待を受ける少女、ゆりの家族と、家を出た亜紀の家族だ。ゆりが行方不明になっても届出をしない「虐待家族」と、亜紀がいないことをひた隠す、一見ちゃんとして見える「幸福家族」。しかし実のところ、この「虐待家族」と「幸福家族」は同質だ。エゴや世間体や見栄のために、子どもをないがしろにする家族なのだ。「万引き家族」も「虐待家族」も、児童虐待(child abuse:子どもの濫用)をしていることに変わりはない。だが、「虐待家族」が親のエゴのために子どもをコントロールしようとするのに対して、「万引き家族」はまさに家族を営むために、子どもを含めた成員がみな互いの濫用を許している。しかしそれも長続きはしない。「正しい社会」が許さない。
ラストはバラバラになった「万引き家族」が、もう失ってしまったかけがえのないものを、万華鏡でも覗くかのように見るシーンの連鎖で終わる。信代は刑務所の面会室で祥太を見る。祥太はバスの窓から治を見る。亜紀はかつて家族が生活していたボロ家の縁側の戸を開けて室内を見る。初枝はその家の床下の土の中から、家族みんなを見るはずだ。そしてゆりはベランダから外を見る。自分を「真の家族」に迎え入れてくれた人々を思い出しながら。
家族を称するなら相応の責任を果たすべき
特殊な家族のあり方を通じて『家族』というテーマを描くのが今作なのだろう。たしかに一見すると貧乏でも温かみのある良い家族に思える。リリー・フランキーのゆるい感じもその温かさに寄与していた。
しかし幼児のじゅりを保護して通報しなかったり、子供を学校に行かせなかったり、祖母の葬式を行わなかったり、夜逃げしようとしたりと、結局は日陰者の集団。家族を称するのに、その人生に対する責任を持つことができない。そこが目先のことしか考えておらず無責任。家族の良い部分だけを真似ているようにしか思えない。責任を果たせないのならば家族を作らず、一人で生きるべきだ。そんな無責任な彼らには同情も共感も覚えなかった。
公式サイトには「真の"つながり"とは何かを問う」とあるが、以上の理由から、この家族のつながりなどとても真の"つながり"とは言えないと思う。
傍観者ならば面白く鑑賞できる。
「誰も知らない」の是枝裕和監督の作品ということで興味を持った。ネットフリックスで鑑賞した。
切り取られたムービーのようなカメラワークは、ドキュメンタリー映画らしさが全開で面白い。が、時折、酔うような感覚を覚える…
タイトルから物々しい印象を受け、犯罪を助長するような映画ではないかという先入観を持っていた。結局のところ、犯罪はよくないという気持ちは変わらないし、登場人物の大人たちがその犯罪を正当化することには賛同できない。
しかし、実の親なのか育ての親なのか、血の繋がりがあればいいのかという問いは、実際に血の繋がりのない家族がいる自分にとっては、非常に考えさせられる内容であった。家族とは何かを深く問いかけている。
「お母さんは必要なのよ」という女刑事の言葉が心に刺さった。そういうものなのかな。
少年役の子役の演技は素晴らしかった。今後も追っていきたい。リリー・フランキーは、良い味わいのおじさん役を演じていた。安藤サクラさんきれい。なんかこう、最初に出てきた時はあんまり印象なかったのに最後の方ではつられて、涙出そうになった。
あるとき、事件が起こり、そのまま結局、家族はバラバラになってしまうが、おばあちゃんが大好きだった亜紀のその後が気がかりだ。この先、人間不信に陥らないことを願わずにはいられない。
小説版があるようなので、そちらも読んでみたいと思っている。
予想以上に引き込まれ、楽しむことができた作品であった。
あくまでも傍観者として。
75点
映画評価:75点
万引きしながら生きる家族程度に考えてましたけど、全然違いました(汗)
想像の遥か上、
まさか全員血の繋がりがないなんて………。
序盤は結構イライラしながら見ていたんですよ、
貧乏だから窃盗に万引きは当たり前?
何言ってるんだ?生きていく為には仕方がない
そうやって犯罪を正当化していく。
仕舞いには無垢な子たちにまで犯罪をさせる始末。
そういう彼らを見て、悶々としました。
でも、最後に彼らが捕まって
【正義】という言葉の拳で彼らを殴る
池脇千鶴に腹が立ちました。
確かに正しい。
確かにやっちゃイケない。
確かに許しちゃダメだと思う。
でもね、池脇千鶴が責めていい理由にはならない。
全員が幸せな訳じゃないし、
そういう人たちを全員救える訳でもない。
ほとんどの人は、
問題が起きてから騒ぐけど
そうじゃない。
こうやって気が付かない所にも、
たくさん問題は起きている。
それを気が付いてあげられた彼らを
何もしなかった私も池脇千鶴も責める事は出来ない。
絶対に間違っている事だけど、
彼らに間違っていると言える資格があるかはまた別の話。
少なくとも私にはその権利はない。
そして、少なくとも私の手の届く範囲では
いざという時にちゃんと言える様に
気が付いたら関わっていきたい。
そう学びました。
戦後の日本なら当たり前の事が、
今では万引き家族として映画になる時代
生きるって何でしょうね。
正しく生きないと、生きる資格はないのでしょうか?
ps.この作品を見て道徳的にアウトという方は、万引きはダメで、何故人殺し(ホラー系とか)はOKなんですか?これもフィクションですよ…?
【2024.5.13観賞】
リアルな演技力
初見で観た後の感想は 「家族の定義」とは何か…。
キャスト全員の演技が良かった。
底辺と言われるような生活の中にも、子供達の笑顔だったり全員で海へ行くシーンなど、全てが暗い雰囲気じゃないのが良い。
最初は父(親代わり)と一緒に万引きをしていた祥太に
だんだんと倫理観が芽生え始め、わざと店員に見つかるよう 万引きをして家族を壊したのは成長の表れ。
元々は他人だった偽家族が、再びバラバラになって行く時の安藤サクラさんの演技は、やはり凄い。
虐待されていた女の子が 実親の元へ返されたが、ラストの少しだけ微笑んだように見える顔の先に希望があるといいなと思った。
またその希望の社会を作るのも、私達なのかなと。
海街ダイアリーをもう一度
海街ダイアリーが何度観ても良すぎて、あの雰囲気を求めて観てみたら大変な目に遭いましたよ。
絶望的な不幸な気分になりしばらく引きずりましたw
万引きは百歩譲っていいとして(よくない)なんであんな汚い散らかった臭そうな家でごちゃっと過ごす必要があるの?家の中綺麗にしようよ。松岡茉優は何で風俗?全然意味がわからない。
で、そうだ、これなんか既視感あるなと思ったら韓国映画のパラサイト。パラサイトで唯一すごいと思ったのが「色々あったのにワイドショーではとにかく異常な一家扱いされる」みたいな、あのすごくやるせないとこなんだけど、これ、万引き家族のパクリじゃんって嫌な気持ちになった。
パラサイトは、貧乏な一家がおこぼれをもらってちまちま暮らすんじゃなく我が物顔で贅沢するところや、最後流血乱闘になるのが韓国らしいなと思った。
今思い返すと少年がオレンジか何かをばら撒くシーンばかりが思い出され、なんだか爽やかでさえある。彼の中の善性が溢れ出したようだった。細かいところさすが監督!
でも頼むから海街みたいな美しい映画をまたお願いします!!!
偽装家族の本当の繋がり
万引きというか窃盗。圧倒的に演技が上手い。ハートフルストーリーではないし、泣ける話でもない、家族とは何かを考えさせる話。
血の繋がりではなく、愛で繋がってるわけでもない。
底辺だけど
................................................................................................
いわくつきのリリーとサクラが婆さんと子供3人で家族として生きてた。
でも実際には親の虐待を受けてた子供を誘拐して来た偽装家族だった。
一応働いてはいたが貧しく、子供にも万引をさせて何とか生きてた。
やがて婆が病死するも色々ヤバいので死亡届を出さず勝手に埋めた。
しかしついに子供が万引で捕まり、警察に全てがバレる。
婆の死体遺棄に関しては前科あるリリーに代わりサクラが単独犯として服役。
子供は親のもとや施設に戻される。
................................................................................................
昔全然良さが分からず、大嫌いだった是枝監督の作品。
ただおれも歳をとり、自分や他人の心と向き合うようになった。
そんな今なら、面白いと感じるのかも知れない。そう思ってた。
そしたら、少なくともこの作品は良かった。悲しい話ではあるけど。
偽装の家族で、みんなろくな奴じゃないけど、何か温かみのある関係。
親から虐待されたり社会から冷たくされた人間ならではの仲間意識か?
モラルとかそういう点では全く褒められたものではないが、何か許せる。
でもホンマに子供に万引きさせなアカンほど貧乏なの?とも思うんよな。
だってリリーは肉体労働で働き、サクラもパートか何かで働いてる。
茉優だって風俗関係で働いてて、いやどう考えても余裕で生活できるでしょ。
ってことは画面では描写されないところで贅沢や浪費してんじゃないの?
もしそうだとしたら、ただの怠惰。許せんなあ。もっとちゃんと生きろやw
コメンタリー込みなら★5
「万引き家族」について、どーしても言いたい事がある。というか、是枝監督にどーしても言いたい!というのが正しいか。
監督は作品の方向をあまり誘導したくない、というお考えだそうだが、それにしてもあまりにも優しくないと言うか、「そこは見せても良いでしょうよ!」というところまで秘密なのはいかがなものか。
と言うのもいくつかあって、まずは海水浴場で初枝が「ありがとうございました」と口の動きだけで告げるシーン。これ、海外では口の動きを読めないので字幕が出るんだそうです。ある意味、日本より優遇されてる!絶対見逃さないもんね!
「食い物にしてる」という亜紀のセリフに象徴されるように、柴田家の家計は初枝の年金でほぼ賄われている。年金目当て、と思われても仕方ない状況で、なお「ありがとうございました」という感謝の言葉が初枝の口から出ることで、この疑似家族の絆が伝わるシーンじゃなかろうか?
みんな離れた所ではしゃいでるんだし、そこは声付きでも良かったと思うんだよね。
祥太の乗るバスを見送り、いても立ってもいられず走って追いかける治のシーン。
散々「父ちゃん」と呼ばれる事を希望していた治に、祥太と決定的な別れが訪れた場面でもあるけど、バスの中で祥太は声にならない状態で「父ちゃん」と呟く。
そこも海外では字幕あるんですよ!出してよ、日本でも!
バスを追いかける治だけでも、じんわりと胸に迫るものがあるけど、「父ちゃん」って最後の最後に呼ぶんだ、と思ったらまず号泣でしょうよ!
で、極めつけ。エンディングのりんちゃんの視線の先に、走ってくる治がいるらしいのだ。信代に教わった数え歌を歌いながら、「本物の家族」という牢獄に囚われたりんちゃんを求め、走る治。姫を拐いに来た王子様じゃないか!冴えないオッサンだけどな!
「選んだのは、絆でした」というコピーに恥じない完璧なシーンだろうに、なんて勿体ない!多分ここで「あんまりよくわかんなかった」みたいなレビュー書いてる人にも伝わったよ!出し惜しみし過ぎ!観客に任せすぎ!
家族ってすごく曖昧で、普遍的な人間の最初の組織なのに個人の経験する家族の形はとても少なくて、自分が「普通」と思ってることが実際普通かどうかなんて怪しいもの。
こんな「家族」があっても良いんじゃないかと思うのも、こんな「家族」は認められないと思うのも、全ては自分の価値観次第。
だからせめて柴田家のそれぞれが「アリ」だったのか「ナシ」だったのか、どう思ってたのか教えてくれても良いと思うんだよね!
出来たら監督はどう思ってたのか、感じたいんだよね!本当に!
是枝監督らしい、と言えば確かにそう。わかってて観たからこそコメンタリーまで鑑賞して大満足。だけど、やっぱりもうちょい監督の思いを感じたかった!
もっとグイグイ来てくれても良いんですよ?
手放しで評価できない愛の形
犯罪や虐待とは無縁の環境で育った自分にとっては、この映画がどこまで現実に起こり得ているのかは分かりません。ただ、良い意味でも非道徳的な意味でも、正解の押し付けがない素晴らしい映画だったと思います。
まず、登場人物一人一人に心を置けませんでした。出てくる言葉は優しいのにいざとなったら見捨てられそうな不安感が常にあり、映画の終わりまで「この人は良い人なのか?」と考え続けました。でも結局答えは分からず、それこそがこの映画の魅力の一つである「人間らしい人物たち」だったのかなと思いました。
家族たちが警察に捕まってしまった時、映画にのめり込んでいた私はすっかりあの家族の形が好きになっていて、それが正しい愛であるかのような気持ちになっていたため、家族の詳細を知りもしない警察たちの尋問シーンで嫌な気持ちになりましたが、実際、警察の手によって家族が引き裂かれた時、勉強に興味のあった少年は学校に行けるようになり、夫婦の過去の犯罪やおばあちゃんのがめつい部分が暴かれたりと、一気に世間一般の「正しい」視点に戻されました。周りから見れば、あの夫婦は少年の学習する権利を奪いましたが、それは彼らに学がなく子供時代をどうあるべきか、どこに引き渡せば少年を救うことが出来るのか判断することが出来ず、万引きの技術を教えることが最善の賢い選択だと自他共に思い込ませていたのだと思います。
同時に、あの夫婦は間違いなく一人の少女を虐待から救いました。再び虐待家庭に戻された後、謝れと母親に言われて頑なに謝らなかったあの子は、もうすでに虐待の連鎖から断ち切られ本物の愛と、外の世界を知っています。彼女をあの母親が虐待することは本当の意味ではもう二度と出来ないでしょう。
また、私がこの映画で最も気に入っているシーンは、父の言った「何か役割がないとあの家に居ずらいだろ」です。学がない人が、本や学びからではなく経験からのみで出される鋭い人間性を垣間見せるその台詞がとても胸に残りました。
この映画はどんな受け止められ方をしても正解だと言えるほど、良い教育教材であると思うので、いずれ全国の教育機関で生徒たちに観てもらうようなものになればいいなと思いました。万引きは犯罪ですが、きちんと作中で良くないことだと案じるシーンもありますし、羅生門を高校生たちに読み聞かせるぐらいなら万引き家族を観せた方が何倍もタメになると思いますね。
すき
笑いのある楽しい家族像
誰も血が繋がってなかったなんて。
平屋のボロい家で暮らしているところに共通点を見出して、親近感を持ちながら鑑賞していた。
安藤サクラはリリーフランキーを守ろうとして自供した。家族は息子を見捨てようとして逃げるつもりだった。拾った捨てたの押収に見えたけど、あのときみんなで過ごした時間は美しく存在していた。
死んだ人のことは忘れろとか、いなかったことにしろとか、ないものにしようとする行為と対象になるようだった。
家族が解散して、それぞれの生活を送るわけだけどそれが幸せに前進するのかマイナスになるのか分からない。
長続きはしない、いつかはボロが出る関係性の危うさは幸せを感じるスパイスなのかもしれない。
わざと捕まった少年は、万引きが悪いことなのかの分別もついておらず正当化された環境にいることに、薄々罰の悪さを感じていた。捕まったらどうなるか試してみたかっただけなのかもしれない。ただ一瞬の好奇心で、家族だったものが離散したのは彼にとって、正々と清算した気分になったのだろうか。
松岡茉優が樹木希林に懐いていたのはなんだったんだ、あの子はどうなったんだろう。
生活の音
ほとんど音楽がない映画。
子どもに万引きをさせ、おばあちゃんの年金を頼りにして、そのおばあちゃんはかつての夫を奪った家族の長女を連れてきてその家から定期的にお金をもらっている。
とんでもなくひどい生活なのに、映し出される日常には暖かい絶え間ないなにかが溶けていて、ずっと見ていたくなる。
野生の動物の家族のように、守る。かばう。慕う。抱きしめる。
血の繋がりによって簡単に役割をもらって役割に期待しあう家族よりも、もっと家族。
本当の家族じゃなくても、大切に守ろうと生きようとする中で、誰かがお手本を作った家族の関係なんて軽々と超えていく。
理想や体裁をとっぱらうと、愛が残るのかな。
子どもの映し方が丁寧で、俳優陣が素晴らしくて、隅々まで優しくて、涙がとまらなかった。
法を超えた愛
法を超えた愛が充満してムンムンする。
例えば少年の万引きは愛なのか?それが少女に与えられるもの教えられるもの全てなのだから、彼の精一杯の愛情表現だろう。
愛の先には生きる力強さや、前を向いて生きる希望が描かれており、お互いが愛に影響を受けながら生きている。
僕はこの家族たちを何も持たない悲しい人達と言うことはできない。
現代の闇にスポットをあてた感動作
もともと高評価作品であったが、日本映画らし過ぎる雰囲気に腰が引け、今日まで後回し。
観終えて率直な感想、これは名作だ。面白いし泣ける。日本映画らしさが全て良い方向に映り、世界的高評価に納得だ。ナイスごちゃごちゃ&まったり具合と言ったところか。
出演者皆の好演技も本作のみどころ。とにかく皆演技派。中でも個人的には安藤サクラさんの演技が特に印象的。母性の洪水に涙。「拾ったんです。捨てた人は他にいるんじゃないんですか?」「なんだろうね…」落涙を禁じ得ない名台詞とドが付くほどの本当の意味での母親っぷり。
何が善で悪なのか。本当の幸せとは。本作はハッピーエンドか否か。最終的には皆どうなったのか。討論会は間違いなく徹夜になるだろう。
家族ってなんだろう
正しい家族なんてこの世にひとつもない
どの家族にも間違ったこと、正しくないことが必ずあると思う
それでも愛であり絆があればそれは家族なのかなと思わされる
犯罪は悪である
万引きとか車上荒らしとか死体を埋めること、それらは立派な犯罪
でも、祥太をパチンコ屋の車に置いていった生みの親、ゆりをネグレクト・虐待する生みの親、彼らも重大な犯罪をしている
ただそれが表に出てこないだけ
警察は表に出てきた犯罪だけでものごとを考えている、まさに世間と同じ
本当に考えなきゃいけないのは、世間から見えない犯罪、特にこどもの未来を奪う犯罪を減らすことだと思う
方向性がズレている
是枝監督の映画は苦手だがこれは面白いだろうと期待して観た。映画「パラサイト 半地下の家族」が面白すぎた為。万引き家族は内容似てるらしいので。
だが結果的に期待外れ。是枝監督のセンスにやはり違和感覚える。私的にそんな監督は他にも世界的な名監督にも多々いるので単に自分の感覚が変なだけだろうが、そこは気にしない。
主人公の男が不細工なうえ演技が単調で、警察の尋問受けてる時が特に残念だった。こういう難しいシーンでは演技力足りない俳優。表情が型にはまっててリアルさの点で物足りない。無難にそこそこの演技をしてるだけなので、この役者である必要性を全く感じない。このリリー・フランキーという俳優を是枝監督はよく起用するが、この役者で満足してるのはセンスおかしい。
貧困がテーマゆえジメジメゴチャゴチャした部屋で納得だが、見せ方もっと工夫して欲しい。例えば映画パラサイトの半地下一家も貧乏ゆえ家ジメジメゴチャゴチャだがある種美しさがあった。そう感じさせる映像。これぞ映画だと思わせる。確かに汚いんだが趣を味わえる。韓国と日本の家事情の差とかの問題ではなく映像の差。
いかにも貧困日本人の家らしさは表現できてるが、そのまんま過ぎる。ドキュメンタリーではなく映画として作ってるなら、観る気にさせるよう工夫して。貧困日本人の家らしさの表現なんて別に一つではないと思う。このままでいくとしても映像処理とかでもっと何とかならんかな。当然処理してるだろうが足りない、もしくはズレてる。何かの記録映像なのかという感覚に陥る。映画としての映像を楽しみたいのに。でも本作以外でもそんな映画沢山あるので別にいいと言えばいいが。
性風俗店が出てくるのが日本らしい。あと主人公の妻が夫よりだいぶ年下なのが若干なんか微妙にロリコンぽくて日本らしい。妻もっと若くするとか徹底しても良かったのでは。だがこの妻役は演技上手いので不満なし。むしろ彼女の演技力のおかげで本作は救われてる。他に良かったのは婆さんや店主の爺さんだがこの人達は上手くて当然。ただ家庭内で婆さん1人だけヤバイ雰囲気を醸してる為いつか大問題起こしそうなトラブルメイカー的な予想してしまったが、あんだけヤバさ醸しておきながらあっさり死んだ。期待してただけにガッカリ。必要以上にヤバさ醸すとミスリードされた気分。婆さんにターゲット絞って見てしまうので。家族全員ヤバさ醸してるならともかく。
子役は居候の小さい女の子が個性的な顔立ちが超可愛らしくて良かった。ちゃんと影もあるので役に合ってる。主人公の息子の少年も個性的な味ある顔なので期待したが、演技パッとせず印象薄くて全然イマイチだった。だが演技含めこの子の良さを引き出せない監督が悪い。父役(主人公)と同じく無難に演技しすぎで観ててつまらないから心揺さぶられる事もない。もっと演技に光るところあれば良かったのに(父も同様)。日本の子役は棒演技が多いけど本作の子役はマシだと思った。是枝監督の「誰も知らない」の柳楽優弥も棒演技ひどかったが圧倒的な魅力があって演技とか超越した存在感あったから本作もあのレベルの子役だったら多少はマシな映画になっただろう。ちなみに「誰も知らない」もイマイチだが柳楽の魅力のみで何とか乗り切った印象。
是枝監督作で毎回思う事だが間のとり方が嫌だ。観てて退屈な間の開きがチラホラある。もちろん上手いと思えるとこもあるが下手のほうが目立つ。下手に感じるのは単に私の好みじゃないからだけど。視聴者をいかに退屈させないかを重視し実現できる監督は有能だと思うが是枝監督はそれが無い(あるかもだが私は感じない)、だから独りよがりな監督だと思ってしまう。別に独りよがりでも映像美で魅せる等あれば逆に名作なり得るがセンス超重要だから是枝監督にはハードル高そう。間を長くとってもそれを感じさせない空気感や映像等あるなら良い。あと必然性をちゃんと感じられるとか。是枝監督はそれらもあまりなく、もしくはあってもズレてるせいで独りよがり感しか感じず観てて退屈。
あと見づらい構図、若干イラつく構図がチラホラある。見づらいからイラつくのだ。こんな構図にする理由は芸術志向だからか。平凡な映画にしたくないとか。監督の頭の中に視聴者の存在は無いのかな。狙ったような構図はあざとい。パラサイトは構図が素晴らしい映画だがあざとさは全く感じずただただ構図に酔える。名監督なら当たり前に出来る事なんだろう。監督の技量の差か、単に私の好みの問題か。彼が作ってるつもりの映像美を映像美とは全く感じないから、是枝監督とはセンスが何もかも合わない、で済む話だが。
是枝監督の映画は見事に好みじゃないからこの監督は無能とすら思う。あざとさなど視聴者にバレたらマズイよ。その点パラサイトの監督もあざとく作ってるだろうがそれを感じさせない技量もあるのでは。それでこそプロ。たまに是枝監督の映画は、技量不足なのに図に乗った学生作品のように感じる時がある。もちろんプロだから上手いと感じる部分もあるが、それ以上に欠点が多いから帳消しになってしまう。
本作はカンヌ受賞作だがカンヌやアカデミー賞とれば名作とは思わない。審査員より自分の感覚信じるべし。まあ本作の良かった点を探すとすれば風俗店での描写は凄く良かった。けど風俗店だけ良くてもなという気分。万引きシーンもそこそこ楽しめた。だが万引きという行為が観てて興味深いというだけの話で是枝の技量関係ない気がした。せっかくの万引きシーンをもっと面白く釘付けにさせてくれるなら別だが、是枝にそこまで期待するのは酷だろう。あと主人公の妻と同僚どっちが退職するのか2人で相談しろって発想はいい。そんな状況悲惨ゆえ面白い。
人物の相関関係が複雑。実は血縁関係なかったり。複雑にする必然性が本当にあるんだろうか。複雑にする事で面白くなってるのか疑問。家族と思わせて実は…と驚きの真実を明かしたつもりでも、それまでの話で心揺さぶられる程の盛り上がり等なく淡々と物語が進んでいた為、ふーん他人同士だったのか程度にしか感じない。
というか万引き家族の話なら、普通に血の繋がった家族にしといた方が面白いし深みも出る気がする。しょせん他人同士ならば今まで見せられた父子の万引き犯罪連携プレーもたいして心が傷まないのだが。本物の父子でやってるから観てるほうも複雑な感傷が残るのであって。是枝監督は感覚ズレてると思う。私的には話を複雑にすればするほど鋭さとか迫力とか減る感じするのだが、本作は元々それらが薄いからマズイ。単純で突っ走って欲しかった。そのほうが万引き家族の迫力が増す。しかし無能監督だと内容が単調になりかねない為、つい複雑のほうへ逃げてしまうのかな。構図にしろ設定にしろ、平凡さを脱したいのかなと感じるが、それなら先にまず人の心について学んで欲しい。当然学んでるかもだがズレてる?基本がズレたままなのに上級目指してしまってるみたいな上昇志向だけは感じる。
終盤の警察の事情徴収時のやりとりが退屈。色々明るみになっていく面白いシーンのはずなのにつまらない。監督の技量不足のつまらなさを安藤サクラの一流の演技力だけで乗り切ってる感ある。妻が泣くあたりのシーンが長くて間延び感があり、気分が徐々に高まる所だからあえて長いんだろうが、演出でもっと短く表現して伝えられる気が。単に長く映すという安易な手法取ってるのが嫌だ。現実味とかリアル表現を意識してるのかもだが、ドキュメンタリーや記録映像的なのを観たい訳じゃないので、そこは演出力でもってリアルさ表現した場面が見たいのだ。現実の時間経過と映画内の時間経過は違うので、短く表現できる箇所は短くして欲しいという私の好みの問題だが。
妻は子供の事言われて泣いてるし血の繋がり無いとはいえ子供達に結構愛情持ってる風だから、妻を主役にした妻視点で物語描いた方が感動できるのでは。それにリリーフランキーは主役の器じゃない事に加え、この夫に深みを感じないから余計この映画に心動かない。主人公は別に良い人である必要は全然ないが個性は欲しい。なのに役柄的に個性もあまり感じないので何故この男が主役なのか不思議。
ラスト近くの「父ちゃんおじさんに戻るよ」という父のセリフは凄く良かった。なので疑似家族の設定でも別にいいかもと最後は思えた。このあたりはリリーも言い方表情ともに凄く上手い。最後だから頑張ったのかな。息子が乗ったバスの追いかけっぷり見ると彼なりに愛情は深かったのかな。ここも凄く感動した。それまで淡々な男だったのに最後に突然ああいう感じになるのは手法ズルいけど上手い。あまり面白い映画じゃないが最後にちゃんと感動させてくれた。終わり良ければ全て良し。と言いたかったのだが、この後エンドロールの音楽がウザく、もっと普通の音楽のほうが味わい出ると思った。音楽さえも狙いに来てるあざとさを感じて、ラストでの良さがココで帳消しにされた。
不満の多い映画ではあるが風俗店のとこだけは凄く出来が良くて、監督の力量を見れたのは良かった。風俗店をテーマに映画作ってくれたら絶対観に行く。あの客役の池松壮亮の演技も最高だったが出番少なすぎた。客の池松や店内などの撮り方も完璧だと思えたし映像も良くて私的にかなり好みだ。という事で、むしろ風俗店以外の当監督の映画は観る気しない。私的には是枝監督の風俗店以外の映画に面白さを見出すのは困難だろう。ラストの出来の良さで持ち直した感はあるが、それならもっと早くして欲しかった。やれば出来るのに姑息に独自感狙いすぎて結果的にズレちゃう感じなのかな。万引き家族という超興味深いテーマなのに方向性がズレてる為つまらない出来になってるのが残念。面白い映画を作れない監督という印象が更に強まってしまった。同監督の「誰も知らない」と本作は若干似てるが本作のほうが出来が多少マシだとは思う。そして映画パラサイトと似てると聞いたが全然似てないのだが。あっちは娯楽志向で本作は芸術志向という印象。だがパラサイトのほうが映像美や構図の素晴らしさがあり芸術性の高さを感じる。是枝監督が狙ってるであろう芸術性が私的には単なる陰気臭さとして映る。せめてユーモアを感じさせるような点が多少なりともあれば良かったがそれも皆無。だからなおさら魅力が薄い。
是枝にはいつか面白い映画作ってくれるよう待っている。自国映画を批判して韓国映画褒めるのは正直微妙な気分もあるのだ。アカデミー作品賞を韓国映画がとったので、とるなら先にまず日本映画だろうという思いもあったが、日本映画の衰退激しいから韓国に先越されてしまったのだ。この前見た半導体競争の番組思い出した。日本映画の復興を願ってるので是枝監督にも期待はしてる一応。
2023/01 VOD
すごいおもろい
お金とは、幸せとは、家族とは、人間とは〜って考えさせられた。
柴田家で幸せはお金がなくても成立していて、温かくて、幸せで、笑顔でみんな過ごしていた(ゴリゴリ万引きしとるが)ことから、お金がないと買えないものばっかりで選択肢も狭くなるけど、人生って結局人だな!人人〜!と改めて感じた。
でもおばあちゃんが死んだときに涙一つ流さず残されたお金を漁ったり、しょうたくんをあっさり見捨てて逃げようとしたり。生活を守るためには必要だが時々見える冷たさにびっくりする。
前半の日常の描写から一転して、急に家族がガラガラと崩れていく展開はとても惹きつけられた。
あとキャストの演技もすごい…すごい!
あきちゃんの取り調べの時に絶望した顔とか、ママが涙を拭うシーンとか、りんちゃんが虐待されていたことが暗示される時とか…印象に残りまくり。
所々描写される社会問題とか、機能の崩れを感じる家とか、邦画の生まかしさとか、みるべし めちゃおもろ映画 めちゃ泣きめちゃおもろ爆考えさせられ映画 みましょ!
タイトルなし
自分的には少し苦手な作品。
初っ端の女の子を連れ帰ったところから、これは最終的には事件化するのだろうなと理解した。あとはソレがイツどのような形でという事なのだが、幸せそうに和気あいあいとしている家族を観ているとソワソワして本当に観ていられない。ホラー映画に通じる所があって、必ず怖い事が有るのは分かっているが、ソレがイツどのような形で現れるのかが分からず不安になるのと似ている。ずっと目の前でデコピンの構えをしている人がいるような状況。やるなら一思いに早くやってくれという気持ちで観ていた。事件発覚後からは落ち着いて鑑賞。
他所の家の子を勝手に連れて帰ったところで「そんな馬鹿な…」と思っていたが終盤には「そんな馬鹿な」な事ばかりの真実が語られ、この人達にとっては、それほど「そんな馬鹿な」な事ではなかったという事を知る。
鑑賞後の余韻に浸れるエンドクレジットの音楽が良かった。
犯罪と子ども
万引き、誘拐、死体遺棄とこの映画ではいくつか犯罪が描かれるが、その性質は全て異なると感じた。
万引きは悪だ。駄菓子屋のおじさんに「妹にはさせるな」と言われて、息子は犯罪を初めて自覚する。一方でリリーフランキー演じる父は、「そりゃ、妹にはまだ早いだろう」と言っており、全く言葉の真意が伝わっていない。この認識の違いが、少年がわざとバレるような万引きをし、家族の内部からの崩壊を導くのだ。
一方で、誘拐は、児童虐待・家族の形を社会問題として提起していると感じた。犯罪ではあるが、現在の福祉や制度が子供の保護に必ずしも繋がっていない。本当の愛とは、家族とはなんなのか。
最後に死体遺棄、これは貧困を生々しく表現していると感じた。日々の生活もままならないのに、お葬式に充てるお金などない。同じ状況なら自分はどうするか、同じことをするのではなくいかと感じさせるシーンだった。
同じように、見えない花火を縁側から音だけ聞くシーンは、家族としての美しさよりも、「貧困によりできることが限られる不自由さ」を感じさせた。
大人達は、そこから花火が見えないことを知っているが、子どもはそれを知らぬまま、見ようと努力するのだ。
全235件中、1~20件目を表示