万引き家族のレビュー・感想・評価
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母親目線
先行上映にて鑑賞。
想像以上の内容に、ただただ唖然としていた2時間でした。
※以下ネタバレ有り※
私自身、小学生の子どもがいる母親であり、出産前によく「おなかのあかちゃんはあなたのことを選んでやってきた」というような内容の絵本や詩をよく読んでいました。
この映画は、その真逆。子どもは親を選ぶことができない。
パチンコ屋の車内に放置された子。
「産まなきゃよかった」と言われネグレクトされている子。
では、作り上げた「万引き家族」なら愛情があるのか?でもそこも違う。その微妙な違いというか、こう言葉に表せないいろいろな感情を演じる安藤サクラさんの演技に圧倒されました。
上映終了後、しばらく放心状態で何も出来なかった映画は本当に久しぶりです。
特に印象的だったシーンは、
見えない花火をみんなで見上げるところ
浴室でのりんと信代のやりとり
逮捕後のそれぞれの発言
バス停での翔太の演技力
そしてなによりもやはりラストシーン。
子役の2人、特に翔太役の子の演技力、すばらしかったです。将来有望かな?
見る人のおかれている立場で、感想が大きく変わる映画だと思います。家庭環境ワケありの母親である私はとにかく安藤サクラさんの演技に釘付けでした。
違う目線でも見てみたいので、正式に公開されたらもう1度見に行きたいです。
今一番
是枝作品は、観る人に余白を与えて様々な考えを起こさせるような作り方をしてる、と考えています。
ある種突き放したような終わり方や、突如登場人物の社会的立ち位置を俯瞰した描写が入るので、それを考えるとゾッとする作品が多いな、と感じてます。ただそこがすごく丁寧ですし、作品全体としての完成度が異様に高い監督さんだと思います。
特にこの作品はよくよく考えりゃ全ての人物達が異常に見えてしまうのです。万引きを繰り返す家族はもちろんのこと、ネグレクトをする若夫婦、連日事件を取り扱うマスコミ、取り調べをする警察達も、何か得体の知れない気持ち悪さを含んでいます。特に警察の取り調べの辺りには、平和や秩序を守るが故の怖さを感じました。
しかし、これらを感じるのも全て、役者さんの演技のなせる技です。特に方々で言われてますが、安藤サクラさんの演技は素晴らしかったです。本当、今一番演技が上手い人だと思います。演技派達が集結している家族の描写が、とても良い。あの家族の生き生きとした映像を散々見せられているからこそ、特に警察での話がとても辛かった。ラストに関してもすごく切ない終わり方です。
社会のあるべき体裁だからこそ、救われないものもあるし、ただあの場所に居れば、また誰かが盗んでくれるかもしれない、そんなことを感じるラストでした。
今の家族のあり方を問う、というよりは何かもっと深い、社会を生きるとは何か?そんなことを考えてしまう映画でした!パルムドール受賞おめでとうございます!
どえらい賞の受賞作品なので素人には分かりにくいと思ってたが、すごく...
どえらい賞の受賞作品なので素人には分かりにくいと思ってたが、すごく楽しめました。
作品中はもちろんのこと、終わった後も女の子は保護されるのだろうか?とか適度に余韻とか考える余白とかのバランスが絶妙で、こんなのとても好きです。
家族の繋がりとはなんなのか?
第71回カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作。
第42回日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞作。
パルム・ドール受賞記念の先行上映で鑑賞。
ノベライズは未読。
正直な話、よく理解出来ませんでした。人生経験がまだまだ足りないのかな、と感じた次第なので、思いつくままに書いていこうと思います。取り留めも無い文章をご容赦下さい。
是枝裕和監督の永遠のテーマと言えそうな「家族とはなんなのか?」と云うテーマを扱っていましたが、これまでの作品よりも踏み込んで描こうとしているように思いました。
血の繋がりではなく、たとえ他人同士であったとしても(それぞれが抱える過去や思惑があれど)その心に何か(例えば、愛や打算)があれば「家族」は成立してしまうのか?
ひとつ屋根の下で暮らす日本社会の闇の縮図と言えそうな他人同士の織り成す物語は、悲惨さを伴いながらも奥底に秘められた強い繋がりが垣間見えて、胸に迫って来ました。
キャスト陣の演技がとても自然でした。醸し出される生活感と言い人物造形と言い、非常にリアルな演出が成されていて、まるでドキュメンタリーのようでした。
子役のふたりもとにかく素晴らしい限りでした。是枝監督は子役を発掘するのがお上手だ…。表情や仕草がナチュラル過ぎて、とても演技とは思えませんでした。
ラストでリリー・フランキーや安藤サクラが取り調べを受けるシーンで、人物の真正面にカメラを固定しそれに向って俳優が話しているような画づくりがされていました。
小津安二郎監督作品の手法に似ていると思いました。会話を通して登場人物が直接観客に想いを語っているようで、一筋縄では行かない主題について考えさせられました。
パルムドールを受賞したことは、日本人として大変誇らしいし嬉しいことだと思います。しかし、外国の映画祭でウケたからと言って、「その映画は素晴らしい!」と手放しで評価するのはとても盲目的だと常々感じています。
本作も個人的には面白いとは思えませんでした。玄人受けと素人受けの違いのせいかも。おそらく本作はヒットするでしょうが、他国で評判になってから自国の文化に価値を見出すのが日本人の性質なので、仕方無いことかもしれません。
[余談]
松岡茉優に対する是枝監督の向き合い方が、かなり直接的だなと思いました。これって完全に性の対象ですよねぇ…。是枝監督の趣味でしょうか。確かにかわいいけども。
人間をしっかりと描こうとするなら、そこは絶対に切り離せない部分だとは思いますが、これまでの是枝作品では無かった光景のような気がしたのでとても意外でした。
オス目線で観ると、JKリフレのシーンや海で遊ぶシーンの胸元のどアップは、非常にエロくていいとは思いますが(笑)。
※修正(2024/03/13)
受賞に値する
是枝監督の作品はすごく好きなものとぴんと来ないものとあるので、本作も賞を取ったことを知ってもなお期待せずいきました。結果すごく好きな方に入りました。
安藤サクラと樹々希林は言わずもがな、子役の自然さはやはり素晴らしい。他の映画の子役のようなわざとらしさが全くない。リリー・フランキーはスクリーンで観たくない存在でしたが(文章は好きだけど演技は全然いいと思えない)、今回だけはとてもよかった。
善悪のものさしが1つじゃないこと。それをちゃんと描いていてとても共感した。そのかんじからは、是枝監督の過去作で最も好きな『花よりもなほ』を思い出した。
妻(おばあちゃん)を捨てて、何食わぬ顔で新しい家庭を築いたおっさん、その孫がまさかの、自分が捨てた元妻を慕って一緒に暮らしてること、実の親とは暮らしてないこと、多少は心を痛めてるのだろうけど、そんなことも何も起きてないかのように澄ました顔して暮らしてる息子夫婦のほうが姑息でずる賢く見えてしまうのは、あの疑似家族に感情移入し過ぎだろうか?おばあちゃんは慰謝料もっともっともらうべきとも思う。
安藤サクラがリンをぎゅーってするシーンに、その人の心根の良さを感じる。警察の心無い言葉、よくそんなことが言えるなとおもう。暴力だと思う。
お客さんの話をあけすけにできる関係、その理由も後からわかってくるのだけど、眉をひそめる気にはなれない。なんだかリアリティがあって、そこにいる人たち、その会話を愛おしくおもった。
目力のある男の子、わざと捕まってよかったと思う。答えが示されないというレビューもありましたが、あれは1つの答えなんじゃないか。
虐待両親のところにまた戻された女の子のことは、答えがない。死んじゃうかもしれないよね。逃げてほしい。警察に言えなかったのかな。実の親に虐待されてたこと。だって、あの家族で、それなりにコミュニケーションできる子になったように見えたから。本当のことを警察に言えなかったのは、その子のせいというよりは、警察の強引さとか大人の身勝手さのほうが勝ったということか。
リリーフランキーの裸は、別の映画では、ほんと胸糞悪いだけだったが、今回のは愛おしく感じた。
仕掛けだらけの映画
万引きをしながら生きていく家族。
ある日、帰り道にマンションの外に1人締め出されていた女の子を拾い、家に連れて帰る。
その子に食事を与え直ぐに返すつもりだったが、帰りたくないと言う女の子を家族にして「りん」という名前をつける。
万引きをする非日常の家族の話。
公開一週間前、先行公開観てきました。
是枝監督作品の中ではもっとも社会的な映画だと感じました。
そして観ていて思ったのはとても懐かしいと感じました。その「懐かしい」とは何だろうかと考えていたところ、伊丹十三監督の映画のような現代日本を写す描写に近いものがあると思いました。
特にこの映画は仕掛けだらけです。
話しが進むほど謎が深まり最後にその謎が解けた瞬間「え!!」となります。
少なくともただの万引き映画ではない要素が多くて一瞬たりとも目が離せない映画でした。
オススメです。それでは、さよなら、さよなら、さよなら、さよなら、さよなら。
悲しいラスト
是枝監督作品好きだしパルムドール受賞だし期待して観たけどやっぱり良かった!
淡々とした日常だけど目が離せないしぼそぼそ喋る感じがなんとも普通でいい。
安藤サクラ最高だった。
最後の方はもう悲しくて涙が。終わっても悲しくて涙がこぼれた。あ~幸せな終わりじゃないんだ…
ちゃらんぽらんな大人でも犯罪犯してても幸せだったのになぁ。
幸せの形は色々でちょっと考えさせられた。あーホント悲しい😭
思った以上に、、
祥太、昔の柳楽くんそっくり!是枝監督って目力の強い子を見つけるねー。
思ったより温かで良かった❗
「なんと呼ばれていたんですか?」
と聞かれてかーさんでもかーちゃんでもママでもない、でも確かに母だった。
血じゃない、過ごした日々に繋がりが育っていく。泣いてる子どもが少しでも減りますように。"誰も知らない"うちにいなくなったりしませんよーに。
疑似家族
万引きに誘拐にたかりに窃盗に、とどうしようもない生活をしているのに、本当の家族のように愛情深く、仲良く暮らしている…本当の家族の愛に飢えている孤独な人達が肩寄せあって暮らしている様子を見ると、どうかそのまま幸せに、と思ってしまう。
ニュースで事件を見て、何でそんなバカなことを、と思うことがあるけど、簡単は非難はできないなーと思った。
答えのない終わり方に、むしろほっとした。
文学作品のよう・・☆
是枝監督の作品のため、賞など関係なく ずっと前から
楽しみにしていました。
やっぱり、役者陣がすごい。
ほんの脇役というか少ししか出ない役まで、贅沢な配役。
計算されたカット。
樹木希林、安藤サクラはもちろん、是枝監督ならではですが、
二人の子役が素晴らしいです。
この子達を見るだけでも、行く価値ありかなぁ・・
個人的には、花火を全員で見ようとするシーンが何だか
印象に残りました。
でも、やはり答えはないです。
文学作品のように、一人一人がそれぞれに感じる映画です。
外国で評価されたのが、不思議な気持ちもします。
家族とは
同じ境遇に立つものは絆で結ばれる
人間味のある、生々しい、かつ大胆。
とても難しい話でした。
ストーリーとしても難しかったけど
心情としてものめり込める作品ではなかった。
なぜのめり込めなかったのか?
「万引き」が犯罪だからなのか?
「誘拐」が犯罪だからなのか?
でも、共感出来るシーン・セリフは沢山あった。
子が親を選べるわけではない。
でも、別にそういう訳でも無い気もした。
安藤サクラさんの尋問のシーンでそこを追求していた。
人は皆、闇を抱えている。
金とか職とか人間関係とか。
この家族は闇だらけだった、でも憧れを感じた。
ラストシーン
女の子の視線のその先には何があったのだろうか。
答えを明かさない。
きっと是枝さんは第三者に考えることを求めてる、様々な答えを求めているのではないか。
安藤サクラさんの演技はズバ抜けていました
東京の片隅で。
初レビュー。
後からじわじわくる映画。
観てる最中、観終わった直後。
ストレートに分かりやすい感動も涙もなく、これはどう感じたらいいのだろうか?…と。
今、飲みながら映画を振り返って。
居なさそうで、実はどこか東京の片隅にホントに居そうな家族。
決して“ゲーム”ではなく、
なるべくしてなった“疑似”家族。
バスを追いかけるシーン。
自然と溢れる涙を手で隠すシーン。
海を眺めるシーン。
膝枕に残る涙。
コロッケの美味しい食べ方。
そしてラストシーン…
心に残るシーンが、ギュッと詰まったいい映画だったんだな。
…と、後になってじわじわくる映画でした。
最終的には「家族」や「幸せ」というものの意味を問いかけられた。 「...
最終的には「家族」や「幸せ」というものの意味を問いかけられた。
「愛のない本当の家族」か「愛に満ちた偽りの家族」、どちらが本当の「家族」かを子供達が決定するようなラストが印象的でした。
キャスト陣も豪華な上に、そのハマり具合と演技も文句無し!池松壮亮さんはこんなちょい役でも最高。
とても幸せな雰囲気に包まれた関係が徐々に崩れていくのがわかるのが観ていて辛い。ただ、一人ひとりにもドラマがあり、各々が自分の見えない明日を目指していく終盤はとても残酷であり感動的でした。
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