万引き家族のレビュー・感想・評価
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グランプリはどうかと思うが良い映画だ
評を読むと皆さん清廉潔白に生きていらっしゃるようで、人生に一度も犯罪を犯したことがないようである。
この映画のテーマは現代の家族の稀薄性もあるが、親の立場で見ては本題にずれてしまう。ラスト子供二人で終わっているように、子供にとっての家族の存在意義を問いているのである。いや、もっと言えば親の在り方だ。
子供にとって家族とは血で繋がっている必要性はあるのか?犯罪者であろうと親の資格はないのか?私はラストの子供がこれからどうなってしまうのか、幸せになれるのかホトホト心配になった。犯罪集団にとどまっていた方が幸せになれたんじゃないのかと。
警察の捜査(=正義)を法治国家なんだから当たり前だと思ってるだけの人は可哀想な人である。
もちろんだからといって犯罪を犯してよいわけではないけどね。
あれだけ騒がれてこれなら他も推して知るべし、無駄な時間と金を映画に費やすのは今後やめよう。
血縁と戸籍だけが家族のつながりではない。実に全くその通り、異存ない。ではあるがそれだけで感動とか重みとか言われると今さらどうしたと言いたくなる。昔から大衆芝居・浪花節・小説で、手を替え品を替えなぞられてきたことだ。
犯罪者仲間内の絆を描いた物というのも古今東西の物語り映画に数えきれない。手を替え品を替えの中に現代の万引きが加わったにすぎず、これはこれで面白いと言うものの、もしその点に感動を求めよとかいうなら実在の愛情深い里子里親あるいは各種支援施設の一日を追うほうがもっと質も価値も高い映画ができるだろう。啓発的な内容の重みという点から言うとそうなる。
ただ殊更なことを言わず単純に大衆娯楽映画として楽しむならそこそこには面白い。すぐ身近に接している筈でありながら目に触れることの稀な万引きを、犯行当事者世界から描いているのが面白いと言えば言える。また日本の貧困事情を時宜的に捉えている点でも共感を呼ぶでしょう。
あくまで商業目的の産物だから単なる娯楽映画であって悪いことは何一つない。だからあまりに勿体つけた宣伝をしなければいいのだが、どれほどのものかとつい見てしまった結果としてむしろ悪感情が働くぞ。
気になるのは演技の質で、特に悪くはないがいいとも言えない。一番の不満はこれ。
演技者本人以外にカメラワークや振り付けなどにも原因がありそうな気がするが、総じてわざとらしい。主役のリリー・フランキーが特にそうだが、さり気なさを演じすぎて却って不自然さが浮き立つ。さりげなさに人情味を滲ませようというのだろうが、まあそのあたりの塩加減の難しさが訳者の感性を超えるのだろう。早い話がヘタクソ。
中でプロらしい才能と力量をうかがわせる演技ができていると思ったのは唯一風俗勤めの娘くらい。あとはちょっとましな感性と練習があれば素人でも、例えば私でも、なんとかなりそうなレベルで特に褒めるほどのものはない。
多くのレビューで樹木希林がやたらと高く評価されているが、彼女の場合は風貌自体が演技に勝るはまり役であるにすぎないだろう。加えて、失礼ながら「映画女優」に対する一般認識からはほど遠い外貌に対する一種の判官びいきが赴くところの凡俗受けに過ぎない。だから彼女に関して言うならば、セリフも演技もむしろ極端に削ればもっと味が出ていただろうし、いっそ終始無言の置物くらいに位置付ければなおいいかもしれない。私が監督ならそうするか。あるいは全編通じてしゃべるのはたったひと言、とかいうのも話題を呼びそう。
子供の演技は基準が全く異なるので評価対象外。
万引き場面にリアリティーの無さを指摘する感想もうかがえるが、これは映画用演技として見過ごすしかないと思う。もっとも、いかにもの映画演技をさせてしまうところが監督の才能の程度とか限界とかいうことにはなるだろうが、まあ俗受け観点からはこんなものなのかもしれない。中途半端な社会的配慮もあるだろう。
期待しすぎました。
描き切らないリアルがジワる
害獣映画
最低な映画としか言えなくないですか⁉️
ドーンときた
邦画の中では好きな映画です。
この映画は凱旋上映を含めて2回見てきました。家族全員が血縁がない家族で万引きをしないと生きていけない、そんな悲しい家族を映画にしていて虐待を受けていた子供を守るために誘拐する部分がとても感動的でした、樹木希林最後の遺作をもう一度スクリーンで見ることができてとても幸せでした。出演者もリリーフランキーや安藤サクラ、松岡茉優等の演技派がそろっており、特に松岡茉優の体当たり演技が良かったです。あとは安藤サクラの演技がずば抜けていました、今まで見てきた邦画の中では1番好きです。個人的な評価は10点中8点です。子役の演技もよくて松岡茉優や樹木希林の演技に高評価です、欠点は最後に虐待を受けていた子供の最後があまり触れられていなかったのでとても惜しい映画でした。
さすが是枝監督
「そして父になる」と同じく家族をテーマにした映画だが、メッセージが随分と違う。
こちらは家族とか血縁がどうのこうのよりも、社会底辺に生きる人たちの生活を垣間見ることで、色々と考えされられる映画だと個人的には思った。
生活保護とか犯罪者を擁護するつもりはないけど、そういう人達への見方が変わったかも。
しかし、自分も家族の一員になったかのような気分になり、言ってはいけない事ではあるが、気持ち悪くなった。
もう二度と観ないだろう。
それはそれで描写が上手い証拠なのである。
さすが是枝監督。
これからも監督の映画は必ず観ます。
そして、安藤サクラ、樹木希林、リリーフランキー、あと子役の女の子、すごくよかった。
2018年7月鑑賞
個人的には是枝監督の中でも上位争い
樹木希林さん安藤サクラさん。もっともっと共演して欲しかったと心から思います。
樹木希林さんの最期の砂浜での表情と、
お母さんと呼ばれたかったの?と聞かれた安藤サクラさんの表情が忘れられません。
エスプリ
富裕層にはさっぱりピンとこないアジアの異世界
凍てつく冬の東京の下町。治と祥太はスーパーで万引きして帰宅する途中に団地の廊下で蹲っている少女を見つけ家に連れて帰る。ゆりと名乗る少女を家主の初枝と孫の亜紀は暖かく迎えるが治の妻信代は不満顔。深夜にゆりを帰そうと治と信代は団地に向かうが外に漏れ聞こえてくる声は普通の家庭のそれではなかった。
狭くて小汚くてガラクタが積み上がったあの家は思春期の原風景そのもの。あの世界から何としてでも這い出したい、その切実な願いだけで思春期をやり過ごしてきた自分にとっては全然シャレになっていませんでした。運良くあの世界から抜け出せたのに似たような世界は中川沿いに今も横たわっている、これは物凄く痛い。
触れられたくない過去から逃げて来た者たちが肩寄せ合って暮らす様を暖かく見つめる目線と、彼らがふと零す言葉の端々に滲む社会に対する憤りが深い余韻を残す作品。是枝監督の作品は今回初鑑賞ですが社会の底辺で逞しく生きる人々の心情を日常のあるあるを織り交ぜながら丁寧に描写する演出は見事としか言いようがなく、それに応える演技陣の巧さにも感銘を受けました。特に樹木希林、安藤サクラ、松岡茉優、それぞれの立場で母性を滲ませる演技には何度も泣かされました。“捨てたんじゃない、拾ったんです。捨てた人は他にいるんじゃないですか?”とボソッと吐き捨てる安藤サクラのセリフが特に印象的。
ちなみに本作を鑑賞したのは高級コンドミニアムが建ち並ぶ界隈にあるシネコンのプレミアムスクリーン。客層は近所に住む富裕層ばかり。貧乏をした経験もなければ下手すれば汗水垂らして働いたことも家事も洗濯もしたことがないような人達にとって、遠いアジアの小国にも厳然と横たわる貧困は全くの異世界だったのか全くピンときていない様子でした・・・まあそりゃそうでしょうけど。
エンタメではないので
仕方ないっちゃあ仕方ないが、想像する以上の展開を見せなかったのも事実。
監督の考える着地点というのを提示せず、世間で起きている問題をそのまま見せて放り投げている、という見方もできます。
解決できない問題をそのまま提示するのであれば、ドキュメンタリーでもいい。
フィクションならではの着地点を提示しなかったことに、若干の不満も覚えます。
この絶妙な隔靴掻痒感→終わったあとも観客に考えてもらいたい、という監督のメッセージなんでしょうけど、劇映画には劇映画なりの落とし前が必要なのでは?
「スイミー」がモチーフなら、やはり力を合わせて大きな魚に立ち向かうところが燃えるのでは?
事実を基にした「タクシー運転手」がフィクショナルな「盛り」を加えたのとは対照的。だからって鑑賞後には重たいものが心に残らないわけではないので、私はそっちの方が肌に合うなあ。
映画としての偏差値は韓国映画に引けを取らないと思うので残念です。
その意味では「三番目の殺人」の方が楽しめましたが、あれではパルムドールに届かないのですね…。
これを高級リゾートであるカンヌで、お金の唸っているセレブ達が観て涙している…と想像すると、なにやらうそ寒い光景ではあります。
たとえばですが、実家に戻されたりんちゃんが死んでしまい、それが社会にどう波紋を投げかけるかというところまで描いても良かったのではないでしょうか。
家の中の雑多な生活感が見てて楽しい
家族が、ほしくなった
是枝監督が描く「家族」の作品はいつも心に沁みる。
そして、彼が投げかける家族の理想の在り方は、おそらく私が理想とするそれとよく似ていて、それでいつも切なくなるんだと思う。
肩書で見えなくなってしまう本質とか。一緒に過ごす時間の大切さとか。お互いを真摯に見つめることの難しさとか。
本作は、ものすごく極端な家族の話であった。倫理的に問題ありありなんだけども、貧しくも温かくて小さな幸せと笑いに溢れており、ある瞬間は奇跡のように「美しく」すら見える、という皮肉さ。
ただ、単なる美談に留まらないのがこの話のキモであり面白いところ。
成長と老いにより、家族のバランスは少しづつ狂っていってしまう。
リリーフランキー演じる治は子供がそのまま大人になったようなオヤジで、ダメさ全開なんだけど憎めない。安藤サクラ演じる信代もちょっと人生に疲れた力の抜けたおばさん、くらいに思ってたんだけど後半の展開でいい意味で裏切られた。
もう信代の事情聴取のシーンは思い出しても涙が出てくるし、治が面会に来るシーンの信代の「本当に幸せだったからこんなんじゃおつりがくるくらいだよ」という言葉にも号泣。
もちろん犯罪であることも問題があるのもわかってるんだけど、どうかこの家族を元に戻してやってくれないだろうか、一緒に生きる道も探してあげてくれないだろうか、と願わずにはいられない自分がいる。
安藤サクラの背中のラインが美しい
もう何も言えることはない。
きっと現実にない訳じゃない物語かと思うと目をそらしたくなるほどの。
いわゆる幸福から見放された人々が血縁なしに寄り添い支え合って暮らす重く救いようのないストーリーと結末。
印象に強く残ったのは、リリー・フランキーの「俺には他に教えるものはないから」のセリフの重み。
あまり可愛いと思っていなかった安藤サクラがものすごく美人に見えた作品。
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