「第42回日本アカデミー賞最優秀作品賞」万引き家族 M hobbyさんの映画レビュー(感想・評価)
第42回日本アカデミー賞最優秀作品賞
ってなわけで、ようやく観ました。
わざわざ調べなくても、注目を浴び、話題となった本作でしたし、なんせ、同じ年に上映された「孤狼の血」が自分的には最高に面白かったので、そこを押さえての最優秀作品賞!と期待が高まっていました。
で、結果、期待しすぎた、、、と思いました。
孤狼の血とはジャンルも違うし、内容も違うし、好みの問題ではあると思うが、作品として、こっちかー⁈と納得いかず。今更なんか悔しい気持ちすらでてきます。
タイトルの「万引き家族」と、お話の設定は興味深かったです。これが映画だからこれで済んでいますが、実際にもしこれがノンフィクションで実際に起こった事件だったとしたら、そんなお気楽なことは言ってはいられなかっただろうけど。そこは映画なので。
これだけ日本社会の中で格差ができ、貧困層が増えたり、子供の虐待死が増えたりしている現在、切り口としてはとても良かった。でも、実際にこのような環境にいる子供やお年寄りや若者がいると感がるとすごく怖い。日本の未来が暗すぎて。
万引きしなければ生きていけないなんて事があるはずがないと思う人もいるだろうけど、実際にはいてるやろなと思うし、虐待で死んでしまった子供の事件を聞くと、なんで近所の人は気付かないor通報せんねやー!と嘆きたくなる。
万引きも虐待も年金不正受給なんかも、リアルに思えてくるので、観ていて辛かった。
今年の春に、同じように貧困家族を描いた韓国映画のパラサイトを観たが、正直こちらは鑑賞後にもっと明るい気持ちにしてくれた。
それはなぜ?
血のつながりのある家族が描かれていたからというわけではなく、パラサイトの家族はみんな同じ方向を観ているなと感じたからだと思う。
万引き家族の家族は、各々が秘密を持ち、そして方向がバラバラ。だからとても薄っぺらく、危うく見えたのだと思う。
是枝監督がこの作品からなにを伝えたかったのかはわからない。けれど、この作品をみて、日本の現状が浮き彫りになった気がしたことが一番共感できたとこに思う。
リリーさんの危なっかしくて弱いおっさんは、流石でした。最優秀主演女優賞の安藤サクラさんも、ラストの取調室と刑務所のシーンが特によかった。