「B級ではなかったと思います」ランペイジ 巨獣大乱闘 悶さんの映画レビュー(感想・評価)
B級ではなかったと思います
【鑑賞のきっかけ】
ゴジラなどのモンスターパニック映画が好きな人間としては、以前から気になっていたのですが、予告編がB級映画的な印象で、何となく鑑賞を見送っていました。
しかし、肩肘張らずに鑑賞するのも良いかな、と動画配信で鑑賞してみることに。
【率直な感想】
<ジョージはなかなか賢いです>
本作品、最初は、ゴリラ、オオカミ、ワニが、巨大化し、単に暴れまくるだけのお話かと思っていたのですが、冒頭から様子が違いました。
巨大化するゴリラのジョージは、サンディエゴの動物保護区で保護されているのですが、保護チームのリーダー格である霊長類学者のデイビス(ドウェイン・ジョンソン)と手話で会話が出来るのです。
つまり、知的なゴリラということ。
両者はお友達感覚で、下ネタ系の手話で盛り上がったりして、こんな人間的な関係性が描かれているのは、少々意外でした。
そんなジョージも、ある遺伝子操作で、巨大化するにつれて、凶暴化し、他の巨大化したオオカミやワニと共に、シカゴで暴れまくることになってしまいます。
当初の予想では、この三頭は、人間が一致協力して撃退し、めでたしめでたしと思っていたのですが、ジョージが元々、デイビスと手話で交流していることで、ジョージがどうなるかは気になるところです。
どんなオチにするのか、興味深く鑑賞することができました。
<キングコングとの関連性>
この「手話」を使って、人間とゴリラが交流する設定で、おや?と思うことがありました。
本作品は、2018年公開ですが、その後、2021年公開の「ゴジラVSコング」では、コングと会話が出来る少女が登場します。その会話の手法が「手話」。
ということは、「ゴジラVSコング」は、本作品の設定を真似たのか?
しかし、そもそも本作品のジョージはアルビノで白いけれど、巨大化して暴れる様子は、もしこれが普通の黒毛だったら、キングコングそのもの。
つまり、偽コングと訴えられる恐れだってあるな、と思っていたので、どうなっているのだろう、といろいろ調べてみたら面白いことが分かってきました。
まず、制作会社について。
本作品は、ニューラインシネマという会社ですが、これは、ワーナー・ブラザースの子会社です。
そして、「ゴジラVSコング」(2021年)とそれより少し前の「キングコング:髑髏島の巨神」(2017年)は、ワーナー・ブラザース自らが制作しています。
このため、「手話」という共通点は偶然というよりも、人間と交流するゴリラという設定上、発想を共有していると言えます。
また、作品の発表年にも、注目。
2017年「キングコング:髑髏島の巨神」
2018年「ランペイジ 巨獣大乱闘」(本作品)
2021年「ゴジラVSコング」
巨大なゴリラというモンスターパニック映画を、公開年が重ならないように発表したワーナー・ブラザースは、3作品とも大ヒットし、巨額の利益を生み出すという結果になりました。
【全体評価】
本作品は、キングコング2作品と併せて、巨大化したゴリラをいかにCGで描いているかに着目してみると、単体で楽しむより、面白さが増すような気がします。