心と体とのレビュー・感想・評価
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マーリアとエンドレ二人とも生きづらそう
少なくとも人生を謳歌してるようには見えない。マーリアの特性は生まれつきのものでしょうか。とても有能なんだけれども神経質な面もあり、周りと上手くコミュニケーションがとれない。本人も手詰まり状態なのか子供のころから診てもらっているDr.にちょくちょく相談しています。対するエンドレは後天的というか生きてるうちに段々人生を諦めちゃってる節がある。もういい年だし、手もこんなだし、って。でもやりきった後の清々しい明らめではない。マーリアに嫉妬したり、同僚の話にイラついたり、胸をチラ見したり。じゃあ我慢せずにやりたいように生きればいいのに、傷つくのを極度に恐れあと一歩が踏み出せない。もう無くすものなんか何もないのに、命綱は自分だけだから、壊れちゃったらと思うとやはり怖い。
後半マーリアは恋が失敗に終わったと勘違いし死を選択します。第三者から見ればお嬢ちゃん何も死ななくてもいいんじゃねとか、エンドレのおっさん何やってんだよ腰が引けてんだよあんな美人もうないよ人生最後のチャンスだよと思いますが、いざ自分が当事者になってみるとそうですよねわかります。恋は命をも喰らう諸刃の剣です。
追記)ラストのエンドレの幸せそうな顔あんな表情あったんですね。
夢の中、駆け巡る
舞台は食肉加工場
施設のトップであるエンドレと、新しく派遣された品質管理師のマーリア
コミュニケーションが苦手なマーリア、行動には規律や予習などの根拠を必要としている
対してエンドレは他人との距離は保ちつつもこれまでの人生での経験から、妥協や方便でうまく世渡りしている
家畜や食肉に対する問題に対して人が持つ感情を体現しているようにも考えられる
お互いがそれぞれのやり方で寄り添うことで、課題も残るものの共同生活を始めることになる
夢における2人は言葉を交わさずにただ行動を共にする
美しい景色とともに描かれるそれは2人の理想なのかもしれない
意外にも本筋はラブコメ
屠殺場でも夢のシーンでも、動物の眼が印象的に何かを訴えかけてくるように撮られていて、さらにハンディを抱えた主人公が登場した序盤では、メッセージ性が強く難解でとっつき難い作品なのかと思った。
しかし、見終わってみれば本質的には古典的で良質なラブコメと言って良いような内容に感じた。
1人の時、仕事の時、異性を前にした時、それぞれの心情やキャラクターがよく出ていて、そんな2人がすれ違いを繰り返しながら前進していき、これからもすれ違うんだろうなーとニヤニヤした。
全般的にタッチが芸術的で、見る側に緊張感を与えておきながら、例えばマーリアが音楽を試聴するシーンで流れたメタル曲や、ポルノを見ている姿や、例えば洒落にならないぐらい流血している時に告白されちゃう間の悪さや。
切実でありながらも、それが故にシュールで味わい深いユーモアを感じた。
それも含めて、見終わった後に妙に何度も反芻してしまう、味わいの深い作品だった。
明らかなネタバレあります。『心と体と』は間違い『心と体』だ。何故?『と』
あり得ないメルヘンだ。
映像が綺麗。いくつかの話が一つにまとまり、矛盾なく描かれていると思った。
小さな恋のメロディの大人版。
やっぱり、監督は女性でしたね。こう言う映画こそクールだと言いたい。
ある意味でグルーミングだと思うが、そこを乗り超えて、見るべきかなぁ。
3月25日 Amazonの配信終わるので、二回目鑑賞。
『この世界に残されて』と似た様な作りになっているが、ベクトル的には全く逆。この二人は夢の世界に入ったって事かなぁ。哲学的に奥が深いと感じる。
兎も角、僕の解釈が間違っていたとしても、終わり方が満足できる。
一回目の鑑賞の時、グルーミングの話をしたが、女性諸君には俯瞰して言いたい。『例えイケメンであっても、言い寄る相手には下心があると認識すべし。』
しかし、もし、その悪しき現状を訴えたいのなら、こんな汚い初老の俳優は使わなかったと思う。こんなかわいい子にこんな汚い老人。女性の監督が描く構図ではない訳だから、意図する所は、題名にあるように『心と体』だと思う。
動物のセックスは目と目を合わさない。いわゆる、背後から、彼女達も人のそれとは違っていた。
薄っぺらい表現を多用して、涙だけを誘い、興行だけを目的とする映画。同じ脱亜入欧をするなら、こう言ったヨーロッパもあると、空気を読めない日本人には分かってもらいたいものだ。配信を止めてしまうなんて!言語道断だ。あの映画なんて、劇場で未だにやっている。嘆かわしい。
タイミング
孤独に生きる二人が
夢で出会い
現実でもひかれあう話。
もうだめだと思った時
聴く音楽は
何を選びますか。
そう訊かれたように
思いました。
せつない話。
途中までは…
ストーリーは、作中何回かある
ちょっとした不思議な出来事の連続が
好みです。
あれが無かったら
今は無いというような出来事。
多かれ少なかれ皆さん
体験したことあるんじゃないかな。
とくに、
最後に結ばれるまで
何回も絶妙のタイミングで起こる
出来事がいいですね。
プレーヤーが壊れて
着信音が聞こえたこと。
ある行為の途中で
途切れがちな電話の会話が
最後まで続いたことで
お互いの気持ちに気付けたこと。
初めてのお泊まりでは
眠れなかった二人が
心がつながったあとは眠ります。
眠くなりました。
寝ましょう。
眠ることが精神的に
つながることを意味する二人には
一緒に寝ることは
心と体が同化したことなんでしょう。
さまよっていた心が体に戻ったら
鹿になって湖畔に行かなくても
テーブルで二人は会えますね。
とても壊れやすいものを
そっと手でつつんだ心もちです。
おすすめ。
記憶力分けてください!
医者に感染症や初潮の年齢を尋ねられたら、日にちまで覚えていたマーリア。まるで頭の中に日記が詰まってるかのような記憶力。左手が不自由な初老の上司エンドレとの会話もすべて暗記するほどの持ち主だ。しかし、人とのコミュニケーションだけは上手くいかず、孤独な生活を送る毎日。
交尾薬が盗難に遭ったという事件。警察は社内の従業員全員に医師によるカウンセリングを受けるよう提案し、それを受け入れたエンドレ。わからないけど、牛に使うと3分で交尾に成功するというシロモノであり、バイアグ〇の比じゃないほど!疑いの目を向けられたのは女性従業員に声かけまくりのチャラ男だったが、犯人は意外にも・・・という展開。
ちょっとエロっちぃ女医さんのカウンセリングによって、エンドレとマーリアが同じ鹿の夢を見ていることが発覚し、その日を境に夢の内容を語り合う二人になってゆく。放題からすると、結末も予想できる展開ではあるが、孤独であるがゆえにマーリアがバスタブでリストカットを試みるという意外性。ここではゾクゾクさせられるが、むしろこのまま悲劇を迎えるというバッドエンディングの方が良かった気もする。
不器用ですから
左腕が利かないエンドレと、心も体も含めて他者との接触に抵抗感のあるマーリアが、同じ鹿の夢を見る。鹿の夢が、果たすことができない自己実現を意味するのか、性欲の象徴なのか、それ以外の啓示なのかは分からないが、2人の男女が不器用ながらも距離を縮めていくきっかけとして、これ以上にロマンチックなことはなく、年甲斐もなく微笑ましい気持ちでなりゆきを見守った。
2人ともとにかく不器用なので、そのかみあわなさに笑いが込み上げる。エンドレが少し距離を置きたがった気持ちにも非常に共感できたし、マーリアがそこに果てしなく絶望するのも理解できた。だからこそ、何とかハッピーエンドを迎えてほしいと願いながらの鑑賞であった。
エンドレの利かない左腕に、マーリアがそっと手を添えるラストシーンで、とても優しい気持ちになってしまった。
ブダペストの夕暮れ時、孤独の切なさと誰かに出会うかもしれない期待感を併せ持ちながら電車に乗る毎日を夢想してしまう。かすかに灯る街灯が、どうしてかノスタルジックに映った。
屠殺場という凄惨な職場など、脚本上の巧みな状況設定や作品デザインが感じられる。エンドレが、「(牛に対する)哀れみの気持ちがなければ勤めることはできない」と面接で語る場面が印象的であった。
最後
最後トマトの🍅汁がピシャッ!て飛ぶシーンは手首切ったとき血がピシャっとなったのとかさねたのかな、、?
掛けてなくてもかけたようにみえた。
鹿🦌たち可愛い💕
同じ夢を見るなんて確かに運命
でも毎日だなんてちょっと無理がある
、、、夢で会いましょう
とはこのこと?
障害のある男女の心と体の繋がり
男は腕が不自由であり、年齢を理由に恋愛を諦めている。そこにはおそらく腕が不自由なことも絡んでいる。ありのままの自分自身を受け入れられずに孤独な生活を送っている。一方、女性はおそらく自閉スペクトラム症で知的な遅れはないが、人とのコミュニケーションが苦手である。
そんな障害のある二人が同じ夢の中で心を通わせることができる。そのことを発端として現実の世界でお互いに自分自身を受け入れながら、そして相手を理解し心を通わせながら、やがて肉体的な繋がりへと向かっていく。
恋愛における男女の心と体の繋がりを障害を通して描いた作品。
鹿のシーン好き
不思議な物語でした。
これは
恋愛映画でいいのかな⁇
最初はベアーズキスみたいなのかなと予想してたけど
全然違ってました(笑)
シミュレーション通りに行かず(練習するとこ可愛かったです)
お別れsong聴きながら
手首シュパッ‼︎
コワッ‼︎
結構な出血量...
途中でCD止まっても挫けずそのまま
運良く⁇彼からの携帯が鳴って
血〜ボタボタのまま会話(出血多量でダメなのかと心配)
会う約束してやっとガムテで止血
しれっと病院行って治療してからの
ガン見で合体‼︎
貧血とか
ダメージ無かったの⁇
あんなに無表情で見続けられて
男性は平気なのでしょうか?
翌日の朝
笑顔での食事シーンが良かったです。
ホント普通の朝食シーンなのですが
不器用過ぎる2人が
とても可愛らしく見えました。
素直に仲良くお幸せに〜って
思いました。
ゆっくり学ぶ恋するきもち。
マーリアは知らないのだなと思いました。
人付き合いもなにもかも。
はじめてのいろいろをゆっくりゆっくり学んでいく姿にほっこりします。
同じ夢を見るという共通点に心が踊ったので、その興味にまっすぐ突き進んだわけだけど、その道程が一般的でなさすぎる。
なので、人生を諦めた中年男の心がすぐ折れるんですね。
やだー純情、二人とも!と微笑ましいような、あぁん違うって!とやきもきもしました。
結構私はややこしいふたりのよちよち恋物語としてすごく好意的に受け取りました。
そして、マーリアがダウントンアビーのアンナ役の人に似てるなーと思ってました。違う人ですが。
マーリアが、調味料入れや、レゴや、マッシュポテトや、ぬいぐるみで、会話の練習をするところ、すごく切なくなりました。
未知のものを得ようとする試みが前向きで、がんばれって思いました。
ポルノを無表情で見たり、音楽を呆れられながら視聴するのとかは、笑かしにかかっとるな?と思いました。
CD屋のオネェちゃんがおすすめしてくれたギターの曲を、初めて聞いた事、マーリアはハッとして電源切ってましたが、切なさを知ったのでないかしらと予想します。
すてきな曲でしたものね。
ポルノやドラマや公園での盗み見(怪しすぎw)や黒いトラで学んで、たぶんいける!と思って泊まりに行きます!ゆうたのに、おっさん振られた思って心のシャッターガラガラ閉店ーって感じでねぇ。
まさかそれで手首切るって…あかんよーまだいけるよーとスクリーンのこっちから(心で)叫びました。
わざわざ手首切る用の割れガラス作って、あの曲かけてってところに、ちょっと笑ったけども。そのあと止血もせずに愛の告白からの、病院抜け出すくだりは、マジでコントすか?と思いました。
後朝の朝に、おおきな声で笑ったマーリアに幸あれと思いました。
鹿ちゃんたちの逢引が、本当に逢引に見えて、鹿ちゃんに萌えました。
ただ鹿ちゃんたちの顔を写しているだけなのに、セリフが聞こえてくるようで、不思議な気持ちになりました。
あの二人にはずっと敬語で喋り合って欲しいです。
私は2人が結ばれたので鹿の夢は見られなくなったと解釈しました。
性格の不一致というかジェネレーションギャップもあるだろうけど、でこぼこ道を2人で歩んで行くという明るい結末と読みますが楽観的すぎ?
おじさん的には最良のラブストーリー
サバンだか何だかは不明だけど、マーリアは普通じゃ無い美女。主人公はと言うと、これまた詳細は不明だけど片腕に障害を抱え、ルックス的に若い女の子と恋できそうには見えない。
その二人が同じ夢を見てしまう。更に、夢の中で逢瀬を重ねて行き、現実でも恋仲に。紆余曲折ありすぎの末にね。
男を落とす歩き方とか、おばあちゃん余計なこと吹きこまんとってーーー、ん?確かに歩く姿をだけでもドキっとすることにおどろいた。おばあちゃん、良い味纏ってます。
バスタブで手首切られた時にゃエーーーー‼️でしたが、意味深なハッピーエンド。
おじさん的には受け良いでしょ、マーリアがとにかく可愛い、自分の恋心に気づいてからの行動がハッキリして以降は特に。アップ顔のシーンが多いんだけど、美しいです。女子的にはダメでしょうか、主人公がイケメンじゃ無いから。
破局も予感させるラストが、ただの甘ったるいファンタジーモノじゃ無いよ、って言う後味になってます。少しだけビターな終わり方が、これまた気にいったーー!
けっこうよかった
寝不足で見に行ったら、夢がテーマなこともあって少しうとうとしてしまった。
女の子が深刻な発達障害で、主人公は片腕が効かない。そんな二人が夢の中で鹿になって繋がり合う。あの後、ふたりは幸せになれるのだろうか。あんまりうまく行くイメージが持てなかった。
女の子が会話を反芻したり、シュミレーションするのが面白かった。実際の会話はシュミレーション通りにはならないけど、修正ができなくてちぐはぐな会話になるのが面白かった。
とんでもない出血の量に見えたのだが、平気そうだった。目眩とかしなかったのだろうか。
同じ夢
同じ夢を見たのがきっかけで惹かれ合う2人。
あの夢を何度も何度も見合うというのはどうゆう事なのでしょうか。
お互いの願望が夢の中で繰り広げられているのでしょうか。
主人公の女性は、人とのコミニュケーションが苦手と言うよりは、一種の病気をお持ちの方なのだと解釈しました。
Bランクにする牛の肉の理由に数グラムのズレすらもわかる、細かいことにずば抜けた知識があり、人とのコミニュケーションは苦手。
そんな彼女の笑った顔をずっと見てないなと思いながら映画を見てました。
リストカットして死のうとしていたら、腕の悪い彼からの電話で、ハッとなったシーンはソワソワしました。
最後彼と結ばれて2人で朝食を食べているシーンで初めて彼女が笑ったところは素敵でした。
パンクズが気になってるのも彼女だからこそのシーンてますね。
好き嫌い分かれると思います、淡々とした人の日常を見るのが好きな人はおススメです。
マーリアかわいい!
マーリアかわいい!ってひたすらそこに注目しちゃったな。
《心と体と》ってタイトルがテーマになってると思うんだけど、そこより「マーリアかわいい!」ってところに気持ちがいっちゃう。初めの方に自宅の食卓で「うまく返せれば会話が続いたのかな」ってやるんだけど、もうそこからメロメロ。
だんだん切ない事情も解ってきて、財務部長も「うまくいかないと思う」ってツレナイ態度になるんだけど、これも凄く解る。マットレスから乱暴に空気を抜くところとか「解るわ―、わかる」と思って観てたもん。
あとその前にマーリアが食堂での会話を何回も予習して、その通りに話そうとすることろも「解るわ―」と思った。これ、緊張してコミュニケーション取ろうとするとやっちゃうよね。
それで財務部長にツレなくされたマーリアは浴室で手首切るんだよね。だいたい手首切るシーンって「こんなんで死んだらアカンやろ」とちょっと思うんだけど、これは完全に同意した。もう、これしかない。
そして、救われるとしたら、財務部長が来るしかない。映画の雰囲気的にこのままエンドロールでも成立するので「どうすんだ、どうすんだ」と思ってたら、来たね。そして簡単な決定的な一言。
物語通じて、マーリアは拙いけど、変わろうと物凄い努力すんだよ。それが「愛ってすげえな」と思わせるし、そのマーリアがメッチャ可愛く感じる。
じゃあお前、マーリアと付き合えるのかよって言われたら、どうだろね。日常生活は大変だと思っちゃう。財務部長さんは、そこ越えられるんだよね。愛だから。
テーマの《心と体と》のところは、《心》だけじゃないかって気がしたのね。財務部長さんも体を求めたというよりも、心の証を確かめられるのがそこだったんじゃないかって。
工場の女の人を連れ込んでやる激しい性交と、マーリアとのただ見つめ合っているだけのような性交と、その辺がテーマ関連なんだろうな。愛だな。
許して女神ヘラ ここにはいられない
ハンガリ-版ラブコメwithチョイグロ。
所謂、屠殺場が舞台という特殊な設定に何やら不穏な感じを抱くのだがアバンタイトルは森中の牡牝の鹿。これがかなり綺麗に撮れている。凛とした白基調の背景に2匹の息使いや動きの繊細さ。これが今作の大きなシンクロニシティである。
場面転換で食肉加工工場での屠殺のショッキングな映像。頭を落とされる牛のシーンが何とも物語を濃くしている。只直接的には余り意味を持たさず専らヒロインの検査官の女性の無機質なロボット的行動が描かれる。工場内での窃盗事件での心理アプローチからの聞き取り捜査からもう一人の主人公である財務部長と同じ夢(冒頭の鹿)を観ていたことから互いに意識し始め、そこからの紆余曲折が繰り広げられるのだが、このプロットは日本の漫画によくあるパターンだ。愛情が巧く表現出来ないヒロインがドタバタ劇を繰り広げるコメディタッチは東欧でもお馴染みなのだろうか。ヒロインの健気でいじらしい努力も又、男心が動かされ、中々キュートな演出である。
ラスト前の二人の諦めからの自殺未遂のシーンはかなりキレキレのジェットコースター展開。かなりエグく縦に手首を斬るのも、凶器をわざわざガラス戸を割って(いつもガラス越しに外界を観ていた事への復讐のように)使うのもやけにリアリティを表現していて、前半のとさつされた牛から噴き出す血のそれと同じように心が締め付けられる。女神ヘレの悪戯か思し召しか、CDplayerの故障と彼からのスマホの着信で、切なさから180度転換のトキメキは、病院での治療もそこそこなシーンで辛口のギャグを演出させていてクールだ。
しかし今作品、ラストはハッピーエンドには終らせないオチになる。二人で過ごした翌朝の食事シーンでの明らかに性格の差異の落差の絶望観に先が思い知らされる気持ちにされてしまうのだ。あの夢も観なくなるのも幸福とも不幸とも取れる、観た人に委ねる作りである。メタファ-とダブルミーニングが散りばめられた本作、色々と解釈し甲斐のある良作である。
追記:ヨーロッパに於ける『鹿』は生贄の意味を持つそうだ。なので、映画に於ける『鹿』はマグガフィンとして『犠牲』がテーマになるのだが、本作品における犠牲は、食肉牛なのかな?否、やはりヒロインの恋心が犠牲になるラストだと思ったりするのだが・・・
あなたはとても美しい
まともなコミュニケーションは取れず、何事も極端で不器用すぎて異質なマーリア。
記憶力や視力に長けていたし、彼女は発達障害的な性質なんだろうな。
最初はそのあまりの融通の利かなさに引いてしまったけど、密かな会話のシミュレーションや医師とのやり取りから彼女なりの努力が見て取れて胸打たれた。
鹿の夢の役割と意味が分かってからは、ドキドキしてたまらなくなった。
二頭の鹿の目が映るたびに、言葉が無いからこそ伝わる何かを伝え合っているような気がして。
少し不思議な密会を覗いているような気持ちになる。
恋心を自覚してからの、「普通」の枠から外れたマーリアの努力の仕方が一々おかしくて可愛くて、もう応援が止まらない。
小さな少女の成長を見守っているような愛しい感情が湧いてきた。
マーリアはもちろん、エンドレもあまり表情豊かな方ではないので、二人が顔を見合わせて微笑むたびにギュッとなって涙がこぼれてしまう。
本当に些細な瞬間も特別なことのように思えた。
きっとこの先も難しいことがあるかもしれないけど、共に朝を迎えた二人の笑顔と現れなくなった鹿の夢から、ささやかな幸福の未来が満ち満ちていることが伝わってきた。
冬の森の中の鹿、食肉工場、窓に映る姿など、映像がとても綺麗だった。
食肉工場に流れる血液と一度振られたマーリアが手首から流した血液の映像が重なって、でもその血の意味は全然違うことにハッとした。
音響とコロコロした音楽も素敵。
些細な音も丁寧に拾ってくれるのでASMRのような心地良さがあった。
人を受け止めて、優しくなれそうな映画。
静かにドラマチックでユニークさに溢れていて、とても好き。
不器用な大人のおとぎ話に震える
2人の関係は痛々しくて神々しい。
心が震えるとはこういうことか。
ヒロインが足先を斜陽の線から影に引き込むショット。美しいショットだ。
鹿の夢は神様のいたずらか。
不器用な大人の現代のおとぎ話に最後まで目が離せなかった。
痛々しいくて神々しい。グロテスクな自傷場面。牛の殺傷場面。カメラは遠慮なくそのままを直視させる。
しつこいぐらいに。
ヒロインが本当の自分の人生に気付き、目覚めて、本気で生きたい!と強く渇望する時。
一生懸命自分から脱皮しようとするけなげさが胸を打つ。
私達は痛々しくて、滑稽で、かっこ悪い事はいやだけど。どうしても恋をすると自分をコントロール制御できなくなる。
でもそれが周りの人に共感され、思わぬ人の優しさを引き出す。
その無様さが愛しかったり…
鹿の圧倒的な美しさはなんだろう?
説明なんてできない。自然と地球と美しく共存している姿は圧巻で圧倒的だ。
鹿の眼差し。吐く息。森を駆け巡る力強さ。
あの映像がなければこの映画はここまで美しくならなかった。
想像を超えた世界に連れて行ってくれた作品に感謝です。
面白い
シナリオや設定が面白かったが、自分には演出をもう少し明るくして欲しかった。
好みの問題だと思いますが。
でも最後のシーン良かった。何か二人して霧が晴れたような解放感を得たような。
全23件中、1~20件目を表示