人魚の眠る家のレビュー・感想・評価
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フランケンシュタインの母
割り切れない大人たちの話しだった。
でも、その割り切れなさを成立させてしまえる技術にこそ焦点を当てるべきかもしれない。
「死」というものの境界線を描いているようにも思えるのだが、それを曖昧にしてしまえる機械が今の世にはある。
それを肯定するような世論もある。
何より道徳心が揺さぶられる。
息をしてるようにみえ、体温も暖かいのならば、どうやって「死」を信じれはよいのだろうか…。
その幻覚を作り出すのは人のエゴだ。
そのエゴの塊が、瑞穂だ。
俺は少女を見て可哀想としか思えなかった。
今作は母のエゴを存分に描いていたようにも思う。同情はしてしまう。
あの時、腕が動かなければ。
比較的裕福な家庭環境でなければ。
延命できる装置がなければ。
人を傀儡のように動かせる科学が進歩していなければ。
あなたは、受け入れるしかなかったであろう。
篠原さんは、そんな母の狂気を日常を過ごすかのように、呼吸をするかのように、緩やかに平凡に纏っていて見事だった。
献身的な母の姿が、中盤以降ホラーに思えるような演出も見事。
優しい眼差しを娘に向けながら、電気信号で娘の四肢を傀儡の如く操る姿には戦慄を覚える。フランケンシュタインというモンスターが、現代に生誕する一歩手前のようだった。
終盤に差し掛かり、娘の目が開いているカットには鳥肌がたった。
まさか、ここまでホラーのようだった話しを母性の勝利として完結させるのか、と。
いやいや、夢落ちなんだろう?
でもでも、夢落ちであったとしても娘が恨み辛みを吐露する事もあるんじゃないのか?
…息をのんだ。
彼女への審判が娘によって下される瞬間に釘付けになった。
でも、娘の口から出たのは感謝の言葉だった。
感動するところなのだろうけれど、俺の人間性が歪んでるのか、結局は自己満足だろと凡庸な結末に息を吐いた。
初めから受け入れておれば、誰も必要以上に悲しまずに済んだ。
葛藤といえば聞こえは良いのだろうが、自己中心的な妄想に全員を巻き込んだ。
誰も彼女を止めはしなかった。
そこにも現代人が持つ歪みを感じてしまう。
フラットには考えられない。
何が正しいのか、誰も判断しない。
誰もその責任を負いたがらない。
声を荒げ、突き進む他人を止められない。
色々、辛辣な作品だった。
最近のマイクは性能がいいのか、はたまた録音部の好みなのか、吸気音まで明瞭に捉えてしまう。西島氏が台詞の前にいちいちする呼吸が耳障りで仕方がなかった。
人魚の肉には不老不死の効能があるとの言い伝えがある。人魚自体が空想の域を出ないので、その効能を唱えられてもピンともこないのだが、だからこそ、このタイトルには得心がいった。
篠原涼子の演技がぴったり
篠原涼子はもともと好きじゃないけど、
母親として、妻として、
無邪気に、そして病的に、
どんどん感覚がおかしくなっていく演技は
とっても良かったと思う。
篠原涼子が包丁を振り回し、
死んでるのか生きてるのか~のセリフを言うシーンは
考えさせられた。
非常にリアルで見入ってしまう。
正直、そんなに期待していなかったけれど見てみたら非常に面白い。
考えられる範囲だったけれど非常にリアルなストーリー。篠原涼子の演技がまた非常に引き寄せられるものがある。
色々と考えさせられる複雑な映画だった。
予告を見て、なんとなーく大筋は分かっていたからこそ、ここまでいい作品に仕上がっていることに驚く。見ていて飽きない。
難しいテーマだ。終始硬い印象で進むストーリーの中にサブリミナルに織り込まれる子供たちの表情、演技がなんとも言えなかった。子供が可愛いし、演技が上手い。重苦しい中にもあの笑顔があるからこそ、主人公目線で映画にのめり込めた。
最初のシーンだけ、有耶無耶になって終わってしまうと思ったけれどしっかりとラストで回収していたし、もやもやは残らないストーリー。
西島秀俊目当てで見る人も多いと思うが、大当たり。
いいシーンも多いし、それを狙ったアップのショットも多い笑
人魚の眠る家。そのタイトルの意味もわかりやすい。
すごく考えさせられるセリフがあったが、そのセリフでタイトルの意味までしっかりと回収。素晴らしい。
マイナスだったのは映像の汚さ…
これはデジタルで撮られたんでしょ?暗いシーンが多いからノイジーになるのは分かるけれど、途中でフィルムっぽいグレインが多いシーンが見られるのは何故だろう。
フォーカスを無理やり合わせていないシーンが後半多くなるのは効果的だと思ったけれど、わざとフィルムグレインっぽいのを付けているシーンが何だか合わない気がしたなぁ。
堤監督、好きな監督だけによく見てきたが最近はつまらない作品が多かった。これは良かったです。
母親の子に対する異常とも思える愛
東野圭吾さんの次世代に起こり得る、脳死状態の我が子を助けたい母の異常な愛情とそれを出来得る最先端の技術を研究してる会社の社長の父親の力でで生きている娘。心臓手術する為アメリカに行く募金を子の為、運動している父親と出会うことで矛盾を感じる父親。取り巻く息子やいとこの悲しみ。問題を投げかけているのでしょう。最初に人魚と見間違えた男も子がドナーになるのはさすがと思いました。
期待の子役たち。
原作未読。
過剰な照明の光が気になったが、映画の世界観も不思議だったので敢えてだったのか、、?と、見終わって感じました。
子役の演技が、話題になっていたので、期待していました、意外と台詞は少ないのですね。
しかし、少ない台詞から役の豊富な情報量が伝わってきて、妹の子供役の子が「ごめんなさい」と言って泣きわめくシーンなど、見ていて抱きしめたくなりました。
今回は子役にアクティングコーチを付けて準備をしていたそう。
これから期待大の子供たちですね。
大事に育てていってほしい。
最大の謎(わかる方教えてください)
冒頭のシーンと ラストシーンが繋がらない。
服装・帽子 容姿から 推測するに 冒頭とラストは 時期は そんなに変わらないはず。
なのに 何故 突然 家が消失したの?それとも あの空き地は 別の場所なの?
瑞穂ちゃんこわい。。
いやー!泣けた!
でも瑞穂が脳死状態になって、
お父さん(和晶)が電気?で脳の信号を
送って体が動けるようになったり、
機材が取れて外に出れるようになった時、
お母さんがその機械にのめり込んで、
顔の表情まで動かしたり、
あのシーンなんか怖かった。
子どもが脳死なのに、、
子どもたちも可哀想だったな😵
篠原涼子演技すごすぎ(笑)
あれ友達の美晴ちゃんが指輪をとろうとして
代わりに瑞穂ちゃんがひろおうとしたら
溺れちゃったんだね。。
美晴ちゃん辛かっただろうなー😓
最後は移植したけど、
移植した相手がまさかの
1番最初にボール落としてそれを拾おうとした
しょうごくんだったっていうね。
なんかすごい映画だったな!
最新医療技術は脳死を超えられるか
脳死の状況に置かれた我が子の救いの手は最新の医療技術であった。しかし、それはあたかも生きているように見える見せかけの「生」でしかなかった。
生き返ってほしいという親の強い願望はあらゆる手段に望みをかけるが、他人からは狂気の行動としか映らない。
何をもって「死」とするのか、そして、それを判断するのは誰なのかを問う映画だと思う。
外野は黙ってろ
美しくも悲しい話です。
薫子の異常とも言える行動や考えに寒気を覚えたと、ここのレビューでは多く見られるし、私も正直気持ち悪さを感じたのは事実です。
しかし、当事者にしか理解出来ない事って世の中に無数にあるし、それを非難する権利は誰にも無い。
ただ、観ていた誰もが薫子が瑞穂に包丁を突き立てたとき止めて欲しいと思ったのではないでしょうか?それは瑞穂は生きていると思っているからではないでしょうか?
勿論、臓器移植の為に意思表示する親が非常だと言いたいのではなく、当事者が生死を判断すればいいというのが最終的な私の思いです。
従ってこの映画のテーマの1つである、法律については他国に追従するのでは無く、親が判断して決める現行法で良いと思います。
それもまた親にとっては非情な判断を強いるのだとしても、それも親の責任の一部ではないでしょうか。
リアルな家族の話、命の話
今、ここに在ること、周りに人やペットがいてくれること、自分の意志で、自由に好きなことをできることに感謝したくなる。そんな映画。
子供がいる大人は、より色々な想いをするような気がする。
他の人のコメントにある通り、非常に重いテーマではあるが、篠原さんが演じた母親の心情、行動は、色々なことを考えさせ、気づかせてくれる。そして、やはり母親は強いと感じる。
映画が終わったあと、自分が同じ状況になったら、どうするのだろうか、必ず考えると思います。命、意識は、どこに宿るんだろうね。脳が死んだら、人ではなくなるのかな。なんか、魍魎の匣の話を思い出してしまう。
少しホラーのようでもあり
わが子の突然の「脳死」にどう向き合うのか。痛切だが単純で面白味のない展開になりそうなテーマを、最新科学と絡ませて少しファンタスティックなテイストに仕上げている。二人の盲目的に突っ走る人物がいる。娘の死が受け入れられず、なりふりかまわぬ愛で周囲から浮き上がる母親と、自分の科学技術の意義を信じ、少女を実験道具としてしまう研究員と。物語は二人に引っ張られながら、一方でそれを引き留めようとする良識ある人たちとの葛藤でもある。母親には夫であり、妹や母などである。研究員には恋人であり、社長であったりする。このあたりの人のバランスがとても良く、うまい具合に納まるべき所に話が納まる。何も問題が解決したわけではないが、最終的には娘の優しさに全員癒されてなんとなく解決したかのように思わせられるそんな映画でした。
この作品で注目したのは、まず坂口健太郎である。一途な理系男子がとてもよく似合う。そして娘役の稲垣来泉は「この世界の片隅に」の晴美以来であるが、控えめで稀有な可愛らしさがある。
ドナーとレシピエント
冒頭、「人魚の眠る家」の庭に侵入した少年は、ラストで、心臓移植を受けて元気になり、病院から自宅に戻ってきた少年と同一人物ですね。
つまり、ドナーとレシピエントが既に一度会っていたということ。
少年は、もしかして自分に心臓を提供してくれたのは、あの「人魚の眠る家」で会った少女かもしれないと思い、それを確かめにもう一度その家を訪ねる。
しかし、その家は取り壊されて更地になっていた。でもそれは、そこに住んでいた家族が、昔経験した辛いことを乗り越えて、新しい生活を始めたことを暗示する。
少年もそのことを悟り、自分に新しい命を与えてくれた心臓が、かつてこの家で会った少女のものであることを確信する。
ラストが前向きで良かったです。
あと、篠原涼子のおばさん顔が、子供を覗き込むようなアングルで、急にどアップで画面いっぱいに映し出されるのにはびっくりしました。心臓に悪いのでやめてください。
美しい
自分の子供が脳死状態になったら?
生きている様で死んでいる。死んでいる様で生きている。もし自分の子供がそうなったら。
死を受け入れる事の難しさ。
それは篠原涼子のヒステリックな演技が物語っている。また、西島秀俊の演技も素晴らしい。脳死状態の娘に「大きくなっなぁ」と声をかけるシーン。どこか空虚さを感じる演技があれば感情を全面に出すシーン。まさにヒステリックな妻を支える夫そのものに感じた。
そして所々で流れる音楽も素晴らしい。
美しく何処か悲しくも感じる。堤幸彦作品の中では間違いなく良作だろう。
内容は重いものだが、
一言で表すと「美しい」映画であった。
子役はよかったです
久々の邦画鑑賞でした。
篠原涼子さんと西島秀俊さんの演技に違和感を感じ、まずそこで置いてかれました。
出来事にたいしてのリアクションが薄く、物足りなかったです。
それを補填するためか、音楽の力業でシーンを成立させようとしている印象が強い。
音楽自体は美しいんですが…複雑な気分です。
包丁を向けるシーンの子役の方々には圧倒されました。若葉や生人が事故以来どれだけの重い思いを抱えて過ごしてきたのかが痛いほど伝わり、ここは泣きました。
ただし、展開は謎です。なにをもって死なのかを薫子が問いたかったとしても、瑞穂に包丁を向けることはできないのでは。。
子役だけ群を抜いて素晴らしかったのでなにか凝った演出か準備でもしていたのでしょうか。全編そのクオリティの映画にしてほしかったです。
総括すると、クライマックスシーンの子役の素晴らしい演技と川栄さんの可愛さでもたせてた映画だと私はおもいました。
ありがとう
母性と理性の釣り合いをとるには、
たくさんの時間と本人の納得が
必要でした。
この世には狂ってでも
守らなきゃいけないものがある。
そして子供のために狂えるのは
母親だけ。
そう、
狂った心を癒すのは、
時間と自分への納得。
選択の殺意の行為からくるシーンでの
若葉ちゃんの告白で、
自分以外にも、精神限界を
越えている存在を知った薫子は、
この状態を止める決断を
心の深層でしたんだと思います。
その結果、
瑞穂の姿を投影して、彼女の
ささやいた言葉をきっかけに
最後の決断の決心ができたんだと
理解しました。
それが、許しを欲する
薫子の深層心理だとしても…
心臓が止まる時が
人の死と信じる人の為に用意された
プロローグとエピローグでした。
心臓に宿る精神が描かれたのは
観客への救いです。
機械で動くうつわを、
人でない生き物に
偶像化した
悲しい おはなしでした。
大切なものが無くなるとき、
よりどころを
求めるのは、人の性。
あなたは、その時どうしますか?
何日たっても答えが
出ません。
それでも決めなくては、
いつか、
そんな時がきたら。
軽い気持ちで観たら
帰ってこれなくなりました。
それくらい、深い作品。
すごく心に響く
重く、苦しく、考えさせられる作品。
脳死を死亡とするのかどうか…医療ドラマや映画では必ずと言っていいほど題材にされる事が多いなか、スポットを家族中心に当て、また科学の進歩が垣間見える、私は新鮮で、衝撃的でした。
母親が子を思う強い気持ち
包丁を持ち出し発した言葉に涙しました。
国に決めてもらう。私は殺人罪に問われるなら嬉しい。
人は2度死なない。
一語一句合ってるわけではないですが、このようなニュアンスの言葉が衝撃的で、涙が止まらなかったです。
たしかに…愛する我が子の死を、認めるも認めないもお任せします。は困る。決められるわけがない、罪を犯してでも決めてくれ。
機械で動かすだけの身体、意思のない身体、でも触れば温かく、脊髄反射と分かっていながらも動く手
答えは家族1つ1つあるのだと思う。
せめてもの救いが家族はバラバラにはならなかったこと。母親に寄り添う母、妹、父親、息子。彼女の周りには人がたくさんいること。1人じゃないこと。また娘の心臓がたくましく生きていること
救いでした。
更地からの絢香のあいことばが流れたときは、心が少しスッとしました。うまく言葉が見つからないですが…
ただ、本当に素敵な作品に出会えたと思いました。
坂口健太郎さんも演技がみるみるうまくなってて感動!
母は強し
薫子が娘に包丁を向けた時に、一気に冷めた。
あれで本当に刺す展開を誰が予想するのだろう……?
あんだけ娘に愛情を注いでいた母親が、法律を問うために包丁を向けるって……一時的感情とはいえ、あまりに身勝手な行動かと。
あと、終盤の夢の中で娘と「さよなら」したから、娘の“脳死”を“死”として受け入れるっていうのも、「結局お前の気持ち次第かよ!」って話なわけで。
夢見た直後っていうのも作家都合だし、、、多分、ホンだダメ何だと思う。
テーマや設定とかはしっかりしているし、きっと原作は面白いんだろうけど、原作のバリューに頼り過ぎて、脚色を油断した印象でした。
辛辣で申し訳ない……。
重い...
端折ってる所もありましたが
ほぼ原作通りでした。
瑞穂ちゃんに包丁を向けて
この子を殺しても
死んでいるのなら殺人にならない
有罪になるのならこの子が生きてたという事だから
喜んで刑に服すると...
娘の生死は国に決めてもらうと叫ぶシーンは
原作読んでる時も映画でも涙がこぼれました。
2018-113
東野圭吾の小説ってもしかして、実写化のハードル高いかも。
共感できるかどうかといったら、私の考えは川栄李奈ちゃんの立場です。
ただそこは、どれが正解でもないと思うし、どちらを言われても論破できる倫理感も学もないので書きません。
その時自分の置かれてる立場によっては、たとえば私に子供がいたら篠原涼子のような考え方になるかもしれないし。
ただ確かに、これお金持ちしかできないやり方だなぁとは思います。
エンディングがなぁ。
悪い意味での映画っぽい感じがして、あれがなければよかった。
あと邦画でよく感じてしまう、演じてる感を感じてしまいました。
東野圭吾作品の映画化は、『手紙』は体内の水分すべて目に行ったんじゃないかってくらい泣きましたし、ガリレオシリーズもはまったのですが、
『ラプラスの魔女』では口周辺の筋肉仕事しろよってくらいぽかーんだったし、結構振り幅広めです。
この作品も原作で読んだほうがよかったかもしれません。
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