人魚の眠る家のレビュー・感想・評価
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陳腐
死を題材にした映画に対して、「陳腐」とは不遜極まりない。
だが、ありふれた内容で、本当に東野圭吾?と思わざるを得なかった。
脳死は死か?否か?
哲学的なことはさておき、医学的に死なのは明らかだ。
感情的に理解できず、狂気の領域に踏み込んでしまう親心は理解できる。
でも、それはありがちな題材で、そこに科学技術を持ち込んだところで画期的ではない。
予告編を見たときにはもっと深いものがあるのでは?と期待させられたが、特にはなかった。
死に際に娘が具現化して別れと感謝を口にするというのも、また陳腐に感じた。
母親が娘を刺そうとしたシーンがあった。
あれが唯一の見どころに思えた。
脳死の娘を刺したらそれは殺人か?
その問いかけには迫力があった。
そこをメインテーマにしてくれていたら、もっと東野圭吾らしい世界が展開したのでは?と惜しまれた。
刺さなかったことで単なるお涙頂戴になってしまった。
原作未読なので、読んでみたい。
感性的な人には小難しく、理性的な人には整然としすぎた東野節
東野圭吾らしいテーマの作品。"脳死"を巡る最先端テクノロジーとヒューマニティーの間に起きる矛盾を、気味が悪いほど冷静に客観視した印象だ。
不慮の事故で、5歳の愛娘が意識不明の"脳死"状態におちいる。日本の法律では、"心臓死"と"脳死"の2つの解釈が残っているため、肉親が"臓器提供"を申し出た時点で"脳死判定"が行われるという事実が知らされる。そうでない限り、延命措置が続けられる。
つまり、医学的には亡くなっているはずの"愛娘の死"は、法律では決められず、両親の判断に委ねられる。
人物設定が絶妙で、両親は離婚直前の別居中。夫は医療関係のテクノロジー企業の2代目社長。妻は娘(事故に遭ってしまった子)の小学校受験、いわゆる"お受験"が終わるまで、離婚をしない約束をしている。
ほどよくお金持ちで、それなりの学業をおさめた、一定レベルの常識を持ち合わせた一家である。そこに突如、降ってきた家族の"脳死"という、とてつもない障害。
また夫の会社では、人間生活をサポートをするためのロボットアームや、脳波から身体を動かす研究部門などがあり、それと、"脳死の娘を救いたい"という動機が結びあってしまう。
さらにここからの展開が、東野節である。この手の、大風呂敷を広げた設定は尻窄みになりがちなのに、この作品は違う。アッと驚く結末が用意されている。
これがボロボロ泣けるか?と言われると、人によるかもしれない。登場人物が全員、妙に理性的に動ける人(要するに理屈っぽい人)ばかりで、そこまで理解っているなら、なぜそうなるの、と首をかしげたくなる部分もある。
感性的な人には小難しく、理性的な人には整然としすぎていて、あまり共感できないのではないか。いつもの"東野圭吾臭い"のもそのへん。
しかしそれを補うのが、篠原涼子のキャラクターである。泣ける作品になりうるのは彼女のおかげである。いまさら演技力を褒めるまでもない。エモーショナルなシーンでの存在力は抜群だが、それよりも、失礼ながら時折、天然を覗かせる愛すべきキャラがちょうどいい。裕福な家庭の"勝ち組主婦"っぽくて、リアリティーがある。
もちろん堤幸彦監督の技も光る。フザケないときの堤監督は、"さすが"である。(フザけたときのブッ飛び方も面白いのだが)。
あまり中心的役割ではないが、ここでも川栄李奈のオラオラ演技が空気を変える。ふつうの演技をしているだけなのに目を引く。周りを喰っていく存在感は、やはり只者ではない。
(2018/11/17/ユナイテッドシネマ豊洲/シネスコ)
愛しさと せつなさと 心強さと〜♩
「生」と「死」の定義とは
さっきまで普通に接していた人が
いきなり脳死と言われたら…
重い題材だがいつ誰に起こってもおかしくない展開。
だからこそ身近に感じる部分があった。
人は何をもって「死」と位置付けられるのだろうか。
果たして意思に反して体を動かしたり
表情を操ったりすることが、
本当の意味での「生」と言えるのだろうか。
今後クローンやiPS細胞のような
医療・科学の技術が益々発展して
人間の全てを支配できるようになった時、
人は機械に操られてまで生きなければならないのか。
残されたものたちはそれでもきっと
大切な人に生きていて欲しいと願う。
人権とか倫理とか、
そんなことを考えさせられる作品だった。
「人は二度は死なない」のセリフから先は圧巻。
涙が止まらなかった。
こう言ったら失礼にあたるかもしれないが、
非常に美しい終わり方だった。
最終決断をした両親には
物凄い覚悟が必要だったと思う。
いつか自分の家族が「死」と判定されたとき、
果たして自分はそれを受け入れて
望み通りにすることが出来るだろうか。
今、こうして普通に生きていることへの幸せを噛み締めながら、
これまで以上に身の回りの人を大切にしようと思えた。
心が洗われるので
是非多くの人に見て欲しい作品です!!
脳死と臓器移植について深く考えさせられた
同じ年齢の子をもつ親としてすごく考えさせられました。篠原涼子の演じる母の気持ちが痛いほどよく分かりました。我が子が突然亡くなってしまっても辛く受け入れがたいものだが、脳死となるとどうするか親に委ねられているということで選択をするのはなおさらツライだろうと思う。1度延命措置をしたらやめることができずにずっと続けてしまう。狂気にみちた母に見えるかもしれないが気持ちが分かりすぎて、周りに受け入れてもらえない苦しさに見ていて胸が押し潰されそうになりました。とにかく俳優さんの演技が素晴らしいですし、最後の葬儀のときの医師の言葉や臓器移植を待ってる親の言葉などとても気持ちが温かくなるようなセリフがたくさんあって、東野圭吾さんの人柄が伺えるような作品でした。今後ニュースで臓器移植成功をみたら、その裏で悩み哀しみながら決断した家族を想像すると思う。
とてもたくさんのことを考えさせられ、観に行ってよかったです。
篠原涼子流石
うーん…。 テーマが壮大過ぎるし響かなかったなぁ。テンポ悪くて長く...
母は強し
究極の選択
どうして人魚が眠る家なんだろうと思っていた。
門のデザインがマーメイドだからか、、、いや、眠るというのだから瑞穂の事だろう。
調べてみると、どうも冒頭の少年が歩けない瑞穂を人魚に重ねたそうだ。
だが私には途中まで傀儡が眠る家に思えた。
自分が同じ立場に立った時、どういう選択をするのかと考えさせられる。
私には子はいないが、もし子供を授かったら、その子の考えを理解できる親でありたいと思う。
この子だったら、こう考えるはずと、、、
でも、それもまた親のエゴかもしれない。
最初は体の健康を維持する為に始めたことかもしれないが意識のない人を運動とは違う形で動かしたり笑わせたり、あの辺りから少し何かが壊れ始めた。
優しく悲しげだった薫子の表情が物凄く不気味だった。
そんな彼女が包丁を握りしめた。
時系列の描写はなかったが、普通に考えてみれば冒頭で少年が瑞穂に出会っているのだから瑞穂は今も眠ったまま、そこに居てもおかしくない。
でも、篠原涼子の鬼気迫る姿にそんな事は頭から抜けていた。
刺し殺してしまうんじゃないかと思った。
究極の選択で自分を証明しようとしている。
間違っていると思うけど、その行動も理解できる。
静止する方も同じだ、死んでいると認めた者を必死に護ろうとしている一見矛盾しているが正しい姿だと思う。
この場面が一番印象的だった。
そんな空気を破った子供達、彼らも勇気がいっただろう。
目頭が熱くなった。
薫子が瑞穂の死を受け止め物語はラストに向かっていく。
葬儀の場で脳外科医が言った言葉、、、
心臓が止まった時が死んだ時なら瑞穂ちゃんはまだどこかで生きてますねと、、、確かにそうだ。
原作によると冒頭のシーンの後、少年の心臓が悪くなり移植を受けたと言うことのようだ。
だが私には、冒頭のあの幻想的な空間と普段なら常に瑞穂に寄り添っているはずの薫子の姿がないという光景に、心臓移植を受けている最中、瑞穂からバトン受け継いだそんな幻の光景を垣間見たのではないかとそう思えた。
いつかどこかで、あの少年とあの家族が巡り会い、瑞穂の面影を感じられる、そんな日が来ればいいと、そう思った。
脳死とは
自分の子供がいたら・・☆
良い映画でした
やるな原作東野圭吾&監督堤幸彦。
原作未読、予告編程度の予備知識から「脳死、医療テクノロジー」が見て取れ、「今さら電脳?義体?攻殻ネタって埃かぶったネタだろw」程度にナメていたらとんでもなかった。東野圭吾ナメてました、すんませんでしたっ!
脳死の患者とその家族を鋭い視点で描き出しています。フィクションなんだけどリアリティーを持たせて、役者さん達が皆さんすばらしい演技で表現していました。途中からホラー映画になるのではないかと思うほどでした。キャスティングの豪華さが演技力の素晴らしさに比例していたと感じました。
最後に向けて泣かせるトラップが相当仕込まれていて、劇場ではそこいらじゅうでグスグス聞こえていましたね。トータル的に評価の高い映画になると思います。
自分の子供だったら…。
原作は、単行本発刊同時に既読。
ミステリーの帝王・東野圭吾にしては、珍しい「脳死」をテーマとした、社会派ドラマ。
但し、そこには、東野作品らしい歪んだ愛情から生まれるミステリーに彩られた内容も含まれています。
著者自身、「こんな内容の小説を書いていいのか」と自問自答したと言います。
確かに、子を持つ親には厳しい内容かもしれないし、映画だから涙流して終わるけど、もし、自分の子供が脳死だったら…⁇
映画の母と同じように藁をもすがる思いで「生」にこだわるのかもしれない。その正しい答えは無いのだろうと思う。
内容は、娘の小学校受験のために仮面夫婦を演じる夫婦。しかしその娘がプールで溺れ、脳死状態に・・・。更に思っていなかった臓器提供を勧められる。その葛藤の中で、藁をも縋る思いで看護をする母親の姿と揺れ動く夫婦の絆を、堤監督らしいヒューマンタッチで描いています。
親と子の絆とは?
死とは何か?
を今一度、私たちに問い直す、難しいテーマの作品です。
母の子供を思う気持ちがハンパ無し。
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