ビューティフル・デイのレビュー・感想・評価
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普通こうは撮らない。割り算し過ぎ
リン・ラムジーの作品は初めて。なかなか作家性が強く、普通この脚本(もラムジー)をこうは撮らない。俺の知っている範囲では初期北野武作品に一番似ている。武の言う「映画は因数分解」的な編集、間接的に映される暴力シーンなど。ただ、本作は割り算をし過ぎのように思う
もっと足し算や掛け算をしてもいい。本作があえて省略した、そこにこそ映画的興奮があるのでは?まあ当然、監督はそんなことをわかった上でスカしているわけであって、言っても詮無い。最後には溜飲は下がるけど、カタルシスは感じないというバランス、俺は本作だけでお腹いっぱいかな
とはいえ、意外性のある展開や描写もいくつか見られるし、90分退屈することなく鑑賞したのは確か。三宅隆太監督が言うところの心霊映画でもあって、ラストでは心の時計が進んで意外とポジティブ。ホアキンの演技、ジョニー・グリーンウッドの音楽も毎度のことながら流石
圧倒的なホアキン・フェニックスの存在感
『愛はかげろうのように』の引用は凶悪!あと邦題のセンスが素晴らしい!
NYの片隅で年老いた母と暮らすジョーは過去のトラウマに苛まれながらも行方不明となった少女を見つけて親の元に帰すことで生計を立てていた。ある日上院議員のヴォットに引き合わされたジョーは行方不明になった娘ニーナを救い出し誘拐した連中を痛めつけて欲しいとの依頼を受ける。ニーナが売春宿にいることをつきとめたジョーはハンマー一つで乱入し難なくニーナを保護するが、ニーナは感情を失っていた。裏寂れたモーテルでヴォットを待つ二人はテレビでヴォットが飛び降り自殺をしたというニュースを見てしまう。
鎮痛剤を手放せないほどに重いジョーの抱えるトラウマはボロ切れのように放り込まれるフラッシュバック映像で暗示されるのみ。物語を導くような台詞もなく、過酷な運命に晒されながらも感情を露わにすることのないジョーとニーナがただただ美しい。全編血塗れで明け透けなバイオレンスがのたうち回っているのに直接的な暴力シーンはほとんどなく、黒ずんだ血の海に沈んだ死体があちらこちらに転がっている様は氷のように冷たい。サントラの使い方が独特で、とりわけシャーリーンの『愛はかげろうのように』の引用は凶悪。ホアキン・フェニックスが醸す哀愁とニーナを演じるエカテリーナ・サムソノフの美しさがとにかく印象的。この映画にこの邦題をつけたセンスとチャレンジには頭が下がります、素晴らしいです。
濃密な展開に溺れる
異色作
演技は良いのに、いまひとつ伝わらない
タイトな映像と音
音楽と映像が素敵です
銃器を使わない方がより暴力的に観える
ラストシーン、タイトルに涙する。
面白い
決別
ずっしり
リン・ラムジー作は精神にクる
リン・ラムジーと言えば、「モーヴァン」「少年は残酷な弓を射る」など、救われない心を救済するかと思わせて突き放す作風が散見されるが、そういった浮遊する心への監督の鋭い眼光がピークに達したと言えるの今作だと思う。淡々としていながら、過激で残酷で、でも魂の救済を渇望する人々を見つめる視線には、微かな優しさも感じられる。少年期のトラウマを引きずりながら、満たされない現在を殺伐と生きているだけの男。人助けの様だが、実際には人殺しという家業に身を投じている彼は、大人にはツラく当たるが、少年少女にはどこか優しい。そんな彼が、大人の勝手な欲と汚さにより、あまりにも過酷な境遇に晒された少女と出会い、何かを共有する事によって、彼の精神は満たされたのだろうか...そのものズバリな邦題(原題は全然違う)に希望を見出したい。PTA作品の常連、すっかり映画音楽作家として成熟したジョニー・グリーンウッドの耳障りなまでに鋭角な音楽は、心に突き刺さるようで痛くて素晴らしい。ホアキン然り、ダイアン・クルーガー然り、昨年のカンヌの審査陣はちゃんとしてたんだなあ、と納得。
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