ビューティフル・デイのレビュー・感想・評価
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圧倒的なホアキン・フェニックスの存在感
リン・ラムジー×ホアキン・フェニックス!実に強力なタッグだ。カンヌでは男優賞と脚本賞を受賞したとのこと。 軍隊時代のトラウマが原因か、異常な暴力性と優しさを合わせ持つ、心が壊れた主人公を演じるホアキンの存在感は無敵だ。 行方不明の少女を探し生計を立てるも、母親との実に真っ当な関係性が泣かせる。 ホアキンの心の振れを増幅させるが如きラムジーの演出はやはりインパクトがある。単なるバイオレンススリラーに留まらない傑作だ。
『愛はかげろうのように』の引用は凶悪!あと邦題のセンスが素晴らしい!
NYの片隅で年老いた母と暮らすジョーは過去のトラウマに苛まれながらも行方不明となった少女を見つけて親の元に帰すことで生計を立てていた。ある日上院議員のヴォットに引き合わされたジョーは行方不明になった娘ニーナを救い出し誘拐した連中を痛めつけて欲しいとの依頼を受ける。ニーナが売春宿にいることをつきとめたジョーはハンマー一つで乱入し難なくニーナを保護するが、ニーナは感情を失っていた。裏寂れたモーテルでヴォットを待つ二人はテレビでヴォットが飛び降り自殺をしたというニュースを見てしまう。 鎮痛剤を手放せないほどに重いジョーの抱えるトラウマはボロ切れのように放り込まれるフラッシュバック映像で暗示されるのみ。物語を導くような台詞もなく、過酷な運命に晒されながらも感情を露わにすることのないジョーとニーナがただただ美しい。全編血塗れで明け透けなバイオレンスがのたうち回っているのに直接的な暴力シーンはほとんどなく、黒ずんだ血の海に沈んだ死体があちらこちらに転がっている様は氷のように冷たい。サントラの使い方が独特で、とりわけシャーリーンの『愛はかげろうのように』の引用は凶悪。ホアキン・フェニックスが醸す哀愁とニーナを演じるエカテリーナ・サムソノフの美しさがとにかく印象的。この映画にこの邦題をつけたセンスとチャレンジには頭が下がります、素晴らしいです。
濃密な展開に溺れる
人の心に潜む闇を鋭利に切り取る、刀のような作品。濃密に展開していく物語を彩る能動的な音楽もこの映画を鋭くする。 一つ一つのショットが美しく、まさにビューティフル。 現実的で、それでいて現実から逸脱する矛盾すら魅力的で、溺れていく。
異色作
一体今何が起きているのか、十分理解できないシーンもあったがフラッシュバックを上手く交錯させてセリフの少ない主人公の心を見事に表現している。孤独な男と全てを失った少女、二人の演技力も素晴らしい。最後のシーンでの少女の存在にはゾクッとした。 2018-140
演技は良いのに、いまひとつ伝わらない
いまひとつ乗り切れませんでした。 ホアキン・フェニックスの演技は良かったし、映像も悪くなかったんですけどね。 根底に流れている部分が、いまひとつ理解できず、いろんな表現がしてあっても、上辺のものに感じてしまいます。 それからグリーンウッドの音楽は、もう少し控えめにしてほしいなと思います。 映像より音が前に出ちゃうのは、飽きます。 デュエットするシーンは面白かったです。
間が長い
余白と余韻で観る者の感性と想像に委ねる作りとしては、あまりにも一つ一つのシーンの間が長く疲れる。 ところどころ出てくるカウントダウン、因果関係と繋がりを理解するのもしんどい。 好みが別れるかな😔
タイトな映像と音
キリキリとハートを削りにくるストーリー。それを巧みに盛り上げる細かいカットと効果的な音。状況も登場人物の過去もトラウマも、みな映像で分からせる演出で実に映画らしい映画。 エグいので誰彼に勧められないけれど傑作です
音楽と映像が素敵です
原作のハードボイルド感を残した、素晴らしい映像化!レオンとマチルダを彷彿とさせる流れまであり、小品ながら満足度は高いです。音楽も素晴らしく、少し前のヒットが切なさを駆り立てます。 タイトルは、原題の和訳を考えれば、これで正解なのだと思います。
銃器を使わない方がより暴力的に観える
『パンズ・ラビリンス』でも『プリズナーズ』でもそうだったが銃器を使わない方がよっぽどキツイ暴力描写になる。トンカチが流行りなのか? 最初の奪還時は防犯カメラ越しのカット割りで、2度目の奪還時は防犯カメラ風にカット割りしているのが面白い。 最初ホアキンが髭もじゃすぎて誰だかわからなかった。
ラストシーン、タイトルに涙する。
見えている映像で、見えてない事実を雄弁に語っている。挿し込まれるフラッシュバックが、ジョーの過去を明らかにしてくれているのだが、それさえも断片的でありながら、その強烈さが伝わってくるところがすごい。おまけに、ホアキンのあの肉体。なるほど、元軍人かとわかるが、どこかいびつな筋肉で、それがまたこの人間の壮絶な過去を想像させるのに十分すぎるほど雄弁な、無言の裸体なのだ。 そして、ラスト。 なるほど、その選択をするのか。 それではなんだかわからないという人は、観るべし。「その選択」は観た人それぞれの予想であろうけど。ただ、”beautiful day”の意味を噛み締めるには十分なラストだ。
面白い
音楽と映像の無機質さが殺伐とした話にピタリ合っている。とにかく流血死体をやたらしつこく見せたがる演出だった。 ホアキンの一人称的視点から一歩も外に出ず、映画というよりは短編小説を読んだ様な感覚だった。少女役の子は出ている時間は短いが、かなりの存在感だった。
決別
豊かな音楽がスクリーンを彩っていたが、キャラクターのテンションが一定で鬱陶しい。 何故そこに至るか。 構成が虫食いの分、演出に意地悪なミスリードは無い為、画面と音響で明確に示されているが、単純な帰結の割には雑な過程。 予定調和の女神が微笑む。 実にカンヌ好みの現実の甘さだ。
ずっしり
レオンが好きだし、元軍人って設定も好き。でも想像と違った。ずっしり。ホアキンの傷だらけの裸がいろいろ物語っててカッコよかった。髭と長髪も。たまに決め顔になるけど、それがめちゃめちゃカッコよくて、さすがハリウッド俳優だなと我に帰る。
リン・ラムジー作は精神にクる
リン・ラムジーと言えば、「モーヴァン」「少年は残酷な弓を射る」など、救われない心を救済するかと思わせて突き放す作風が散見されるが、そういった浮遊する心への監督の鋭い眼光がピークに達したと言えるの今作だと思う。淡々としていながら、過激で残酷で、でも魂の救済を渇望する人々を見つめる視線には、微かな優しさも感じられる。少年期のトラウマを引きずりながら、満たされない現在を殺伐と生きているだけの男。人助けの様だが、実際には人殺しという家業に身を投じている彼は、大人にはツラく当たるが、少年少女にはどこか優しい。そんな彼が、大人の勝手な欲と汚さにより、あまりにも過酷な境遇に晒された少女と出会い、何かを共有する事によって、彼の精神は満たされたのだろうか...そのものズバリな邦題(原題は全然違う)に希望を見出したい。PTA作品の常連、すっかり映画音楽作家として成熟したジョニー・グリーンウッドの耳障りなまでに鋭角な音楽は、心に突き刺さるようで痛くて素晴らしい。ホアキン然り、ダイアン・クルーガー然り、昨年のカンヌの審査陣はちゃんとしてたんだなあ、と納得。
トラウマ塗れ
壮絶な過去を引き摺りながら死んでいるように生きる悲壮感が漂う男。 断片的な映像での描写に男の過去をはっきりと理解することは出来ない。 それを語ることもしない。 ただ哀しい男であるのは解る。 母親との何気ない場面にすら暗いモノを感じる。 ベタな曲を口ずさみながら死ぬ男と死ねない男の狂気じみた奇妙なシーン。 心が死んでいるような無感情で表情も変わらない少女が一度だけ感情を剥き出しに「ジョー!」と叫ぶ。 湖の底で少女の幻影を見て死を諦める男が救われたい気持ちを浮遊しながら向かい合う。 "まったくもって存在していなかった"男と少女のこれからは・・・・!?
掴みどころのない心の闇。幻想的なサスペンス。
【賛否両論チェック】 賛:主人公が抱えたトラウマの深さや、それ故の葛藤が、不思議な少女の救出劇を通して描かれていく様に、思わず考えさせられるものがある。 否:物語自体はかなり淡々と進み、想像しないと分からない部分も多いので、好みは分かれそうなところ。 トラウマを抱え、時々自殺企図をしながらも、家出し傷ついた少女達を救出し続けるジョー。観ている方は、最初はその真意が分かりませんが、ニーナの救出事件を通して、少しずつその理由が明かされていくので、ジョーが抱える痛みの重さに、思わず考えさせられてしまいます。彼の、死ぬことを恐れていないが故の強さや、決してヒーローではないその心理描写も、見事なものがあります。 半面、ストーリーはかなり淡々と進んでいくほか、ハッキリとは語られずに、 「えっと・・・結局こういうことかな?」 と想像しなければいけない部分も多い印象を受けます。加えて、結構生々しい暴力描写もあったりするので、その辺りは好みが分かれそうなところです。 とはいうものの、なかなか異色な光を放つサスペンスでもありますので、是非チェックしてみて下さい。
脚本賞かー…。
深読みさせないでシンプルな話が好きだからよくわからなかったなー。エロ政治家を勧善懲悪にバッシバッシと成敗するような感じがはまるので自分には合わなかった。まあ、それでも見応えはありました。あと、音楽と効果音がアルジェントみたいで好き。
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