「隠れた名作アニメ」未来のミライ ひよっこ800さんの映画レビュー(感想・評価)
隠れた名作アニメ
アニメと侮るなかれだ。
家族の歴史を丁寧に紡ぐ優秀作品だと思う。
妹ミライが産まれたことで兄である自分が中心ではなくなったことに、反抗する兄クンちゃん。
そんな妹が、未来からクンちゃんのもとにやってくる。
クライマックスは、クンちゃんとミライの亡き祖父が戦争に行き船ごと玉砕。
大海で重傷を負い足から血を流し呆然としながら、自分を照らす太陽に向けて右手をかざす祖父。
陽の光にかざした右手から、自分が生きていることと生き延びるという本能的な力が湧いたのかもしれない。
足に重症を負いながらも、泳いで生き延びたシーンは涙が止まらなかった。
祖父は、自転車に乗れなくて悔しい思いをしているクンちゃんに「遠くを見るんだ」と教える。
足元ばかりを見ていたクンちゃんは、遠くを見てこぐことで自転車に乗れるようになる。
この祖父がいて、足の悪い祖父を支えた祖母がいて、両親がいて、子どもたちがいる。
池井昌樹の「手から、手へ」の本を彷彿とさせる作品となっている。
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