「声キャスティングが大失敗💦最後まで違和感」未来のミライ mary.poppinsさんの映画レビュー(感想・評価)
声キャスティングが大失敗💦最後まで違和感
話の内容については言及しません。
というより、全く頭に入ってこず、覚えていません。
私は 子どもと毎日接する仕事なので これまでに合計何百人もの子供達と接してきました。みんなそれぞれ声の質もしゃべり方も性格も 100人いれば100人の個性で違うけれど、子どもの声って、大人の声とは、全然違います。
映画が始まってすぐに、主人公の声優、まったく子どもらしくない声としゃべり方で、
どうがんばって聞いても、大人の声にしか聞こえません。
違和感が最初から最後までずっと離れず、 話の流れに集中できませんでした。
もう、あの声の演技が リアリティ無さ過ぎ。 4歳の子供の可愛らしさが皆無…。
でも悪いのは 監督のセンスだと思います。起用された女優は気の毒なほど。
まあ彼女はがんばっていたんじゃないでしょうか。結果はこの通りですが。
監督は 「オーディション会場に入ってきた瞬間、この人だと思った」と雰囲気だけで声優を決めたそうですが、この監督は、
本物の現実の幼い子どもを 見たこと・声をきいたことあるんでしょうか?
と感じてしまいます。主役の声ですからね、大事ですよ。
もうこれだけで、観客の私は、この作品に対するイメージが決まってしまいました。
絵が綺麗だろうと、話が実は面白いのかもしれないのだろうと、
この声の違和感だけで、もう…。とてもモヤモヤしてつまらなかった。
ちなみに、子どもの声優に誰を起用するかって そりゃ難しいでしょうけど、
ちゃんとした本職声優か ちゃんとした子役なら もっと良くなったでしょうね。
例えば、以前見たこと(声を聞いたこと)ある中では、
本職声優の林原めぐみさんは 幼い子どもの声も 言われなければ大人だと全然気付かないほどリアリティのある声の演技をしているのを聴いたことがあります。息づかいも発声の仕方も本物の幼い子供のようでした。
幼さと可愛らしさがよく出ていた作品なら 千と千尋の坊の神木隆之介さん、当時はもう小学生?でも赤ん坊の役に似合ってました。
4歳の子供なら、トトロのメイ、坂本千夏さんは大人の本職声優ですが、キャラクターに似合ってました。
子役なら『蟲師』で多用されてますが、 演技の技巧というよりも、自然で朴訥で可愛らしく、リアルな存在感があります。
今までに見た中で一番 子どもらしい声の演技がパーフェクトと感じたのは、『火垂るの墓』の節子の白石綾乃さんです。4歳の役ですが、当時白石さんはもう小学生で、8歳か9歳くらいでしたっけ? 無名の子役を 日本中に有名にして受賞までさせた監督ですが、こんなぴったりな子役、埋もれていた宝を見つけてきた高畑勲監督の審美眼はすごいなと思います。
対して 細田監督の「なんとなくこの女優の雰囲気がふわっとして子どもらしくて好き」という「雰囲気重視」で選んだことが、大失敗。
もののけ姫のサンの石田ゆり子や ゲド戦記のテルーの(歌は良いけど演技は大根棒読み)の演技のほうが まだまとも…?どっこいかな? と感じたほどです。
声のことしか感想に書いてないですが、それほどに声の演技って印象に強く残ります。キャラクターに説得力をもたせる要です。
だって、たったこれだけのことで、せっかくの緻密に書かれた美しい背景などの絵も吹き飛んでしまうし、ストーリーは全然 観客の頭に入ってこなくなってしまい 何も心に響かなくなってしまうのですから。
(背景の絵に敬意を表して ★は1.5と付けましたが、おもしろさでは 0.5~1でした。 あくまで私個人の感想ですが。)
監督には、ぜひ声の重要性と 客観的な視点なども学んで 次回作に生かしていただきたいですね。せっかくの、「時をかける少女」とか 完成度の高いおもしろい作品を作れる作家なのですから。次回作に期待します。