「日本的エディプスコンプレックスの物語」未来のミライ かがみさんの映画レビュー(感想・評価)
日本的エディプスコンプレックスの物語
これまで一人っ子だったくんちゃんが妹の未来ちゃんの誕生を切っ掛けに、「二者関係の三者化」というエディプスコンプレックスを経て自己を獲得していくというお話。
もっとも本作の父親はほとんどエディプス的な意味での〈父の名〉としては機能しておらず、その代わりに未来から来た妹や若き日の曾祖父が〈父の名〉の機能を果たしているのが面白い。
これらの不思議現象の説明としてはタイムトラベル的な何かではなく、いわゆるユング的な集合的無意識が顕在した白日夢という理解で良いかと思われます。
いずれにせよ家族全体がまるごと〈父の名〉として機能するという、母性原理社会日本におけるエディプス葛藤のモデルを描き出したものとして観れば本作はとても秀逸な出来だと思う。
ただ、Twitterで見かけた「よそん家のホームビデオ」という感想の通り、やはり物語として素直に共感できる層は割と限られそうな気がしますね。
未来のミライというタイトルの割に未来の未来ちゃんはそんなに出番ないです。ひぃじいじの格好良さと東京駅の映像美は素晴らしいです。
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