「フロリダにトリップ」フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法 reiさんの映画レビュー(感想・評価)
フロリダにトリップ
とにかくリアルで演技や脚本っぽいところが一つもなかった。実際にフロリダのモーテルで生活したかのような錯覚を抱いてしまった。
見終わった後に考えたことは3つ。
チラシの裏に書くような内容だが、自分用のメモのためにまとめておく。
1. 日本との文化の違い
状況だけみれば過酷なはずだが、なぜか終始明るくあっけらかんとした雰囲気で日常が流れる。ド底辺の人でも恥を捨てれば生きていける「余地」が文化的に用意されていることを新鮮に感じた。
2. ワルガキの心理
ワルガキがイタズラをするのは「自分には何でもできる」と思いたいからなのではないか。思いつく限り最高の悪いことをして、自分の存在感を強くアピールしたいのではないか。
でも実は子供は、大人に守られないと生きていけないことを潜在的に理解している。
だからムーニーはイタズラをしながらも、大人の考えや表情を驚くほどよく見ていた。本気で見放されないギリギリのラインを狙って悪さをしていた。
子供にとって一番恐ろしいのは、親と離れ離れになることなのだと思う。親に守られていた幸せをその時になってようやく痛感して、「自分には何も出来ない」という現実に対面させられる。ムーニーが見せる悲痛な表情と涙がそれ。
こうやって子供は自分の無力さを知って大人になっていく。ムーニーにとって大人になる前の最後の現実逃避が、夢の国ディズニーランドになったのだろう。
対照的にムーニーの親は最後まで現実を直視できなかったのが悲しい。
3. ボビーが素敵なオヤジ
常に余裕がある。難しい立場ながらも、周囲からの信頼を集めている。こんなオヤジに自分もなりたい。