ファントム・スレッドのレビュー・感想・評価
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キノコブームきてるの?
コッポラの『ザ・ビガイルド 欲望の目覚め』観てすぐだからか、昨今の暗い恋愛モノはキノコがブームなのかと…そんな事ないよね。不安になる。
オートクチュールの仕立て屋で超絶完璧主義者、パートナーは作りませんて主義のレイノルズがウエイトレスのアルマを見出し、側に置き始めてから日常が狂ってゆく…みたいな前情報で観てたけど、アルマが異常ってわけじゃないんじゃ、というのが感想。あんな扱いされたらそりゃキノコもブチ込むわ。最初からレイノルズはアルマに優しかったわけではないので、アルマがあんなに惚れてしまうのは疑問に思ってしまったんだけど、今までひっそりと暮らしてた田舎者の女性がお金持ちの男にあれだけ丁寧に扱われ華のように飾られたら気分も舞い上がるね。
静かで上品な音楽と裏腹にあからさまな男と女のマウントの取り合いが泥々して面白かったけど、わかりづらいあのラストにはちょっと納得いかなかった。未来を妄想しておしまい?
共感しきれない愛の形
the職人といった性格の主人公レイノルズと、彼に見いだされた片田舎でウエイトレスをしていたアルマの恋愛物語。どこか異常で、狂気じみた、純愛とは言いがたい不思議な作品でした。
レイノルズとアルマの出会いは、唐突で、かなり淡白ではありましたが、なんとなく双方の感情には理解できる部分がありました。
しかし、ふたりの関係が進んでいくにつれて、どうにもレイノルズの行動で腑に落ちないところが目立つようになっていき、最終的には、彼の考えがすこしもわからなくなりました。彼が急に、ボケ老人になってしまったような感じがしました。
「恋なんて、いわばエゴとエゴのシーソーゲーム」と有名なバンドマンが歌っていますが、この映画は、まさにそれを映像化したような作品でした。
引退宣言撤回希望
ギンレイホール二本立て鑑賞。
ダニエルさん、本当にこの作品で引退しちゃってイイんですか?
主従関係の逆転をジリジリ見せるポールさんの演出力は流石だし、毒女に精気・正気・才気を奪われていくダニエルさんの演技も、そりゃあ素晴らしいです。
でも、代理ミュンヒハウゼン症候群のような歪んだ愛のオチは、どうかと思いますけどねぇ...
前言撤回スレッドも、誰も文句は言いません。
稀代の天才俳優、衝撃と完璧なまでの幕引き
現在の映画界で最高の演技派俳優と言えば?
ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、ジャック・ニコルソン、メリル・ストリープ、ケイト・ブランシェット…。
多くの名が挙がり、勿論全員が最高に素晴らしいが、自分はある一人の俳優の名が真っ先に思い付く。
ダニエル・デイ=ルイス。
凄まじいまでの役作り。映画出演本数は他の役者と比べてそんなに多くはないが、一作一作ごとの入魂名演。男優では最多であるオスカー主演賞3度…。
演技派、名優の域を超え、孤高で、何か一つの頂きに達している感さえする。
そんな稀代の天才俳優の引退作。
大トリを請け負うのは、彼の神名演の一つ、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』で組んだポール・トーマス・アンダーソン。
鬼才と天才のタッグ、再び!
今回、二人が描くのは…
1950年代のロンドン。
高級服専門の仕立て屋、レイノルズ。誰もが彼の作る服に魅了されるが、本人は華やかな社交界に興味無く、ひたすら仕事に没頭していた。
そんな時出会った若いウェイトレスのアルマを見初め、彼女を自分の世界へ迎え入れる…。
レイノルズにとっては、巡り合ったミューズ。
アルマにとっては、シンデレラ・ストーリー。
甘美な大人のラブストーリー…に、このタッグでなる筈が無い。
一筋縄ではいかない『マイ・フェア・レディ』。
見てるとすぐ分かるが、レイノルズは完璧主義者。
性格も気難しく、神経質。
そして、仕事一筋。
だから、幾らミューズと巡り合ったとは言え、その関係が上手くいかないのは予想出来る。
最初の内は良好だった。
レイノルズはアルマを重宝し、アルマもそれに応え、美しく洗練されていく。
しかし…
レイノルズは相手に対しても完璧や自分の理想を求めてしまう。
かき乱される事や干渉される事を激しく嫌う。
それはつまり、一方的な束縛。
アルマは彼に従うだけの毎日に不満を募らせる。自分はミューズではなく、彼の単なるマネキンに過ぎないのか…。
何も彼女だけじゃない。レイノルズが独身でいる理由、彼の元を去ったミューズが何人居た事か。
それでも彼に必要とされたいアルマ。
芸術家とミューズ、その関係は禁断の扉を開く…。
企画段階から参加しただけあって、完璧主義者のレイノルズは完全主義者のデイ=ルイスそのもの。
彼と互角に渡り合ったほぼ無名のヴィッキー・クリープスの存在感も見事。(レスリー・マンヴィルも印象残すが、彼女より、クリープスがノミネートされるべきだったのでは…?)
ファッション業界が舞台なだけあって、劇中登場する数々の衣装の素晴らしさには目を見張らされる。オスカー衣装賞も納得。
フィルム撮影による往年の名画を彷彿させるようなクラシカルな映像、流麗なジョニー・グリーンウッドによる音楽…。
アンダーソンの演出も格調高く、全編を通じて、エレガントで香り立つような官能美さえ匂い感じさせる。
それら演技、演出、ムードは紛れもない超一級品。
しかし話自体は、好み分かれそう。何せ、アンダーソン作品だから…。
なかなかに理解し難くもあり、KO級の愛の物語でもある。
そう、このムードに陶酔させられていたら、展開に衝撃受ける事間違いナシ!
禁断/究極の愛と言うべきか、狂気か、それともホラーか。
これは是非見て貰いたいので言えないが、一言だけ言えるとしたら、
女は怖い!
レイノルズの周りには常に女性の存在が。ミューズであるアルマ、唯一の理解者である姉シリル、そして亡き母…。
特に母の存在は大きく、今も夢に見るほど。
はっきり言ってしまえば、愛に飢えた完璧主義者のマザコン。
彼女たちからの愛を受け、時にはその愛に応えられないレイノルズ。
一見男が女を翻弄し、意のままにしようとしているようで、実際は…。
本当にこれは、究極の愛の形か、禁断の世界か。
しかし、誰にも真似出来ない唯一無二の作品である事は確か。
鬼才はまた一つの境地に。
そして稀代の天才俳優は、最後の作品も我々に完璧なものを見せてくれた。
去勢
姉に本来の自分に戻してくれと訴えるウッドコック、その背後で佇み、堕ちていく者を見下ろすアルマ。そして、オムレツ。型に嵌るウッドコック、幸せな家庭...って、それで本当にいいのか?アルマの容姿や表情にそこまで堕ちる要素が見当たらないし、裏で行なっている犯罪的な行いを目の当たりにすると、ウッドコックに感情移入することは不可能。ただただ不可思議に堕ちていく人を見ているようで。まぁ、他人の色恋などは側から見れば、そういうものではあるが。
見えない糸
ラスト
予告編の謎の笑顔がここで‼︎
バレバレ毒キノコ料理
食べちゃうのね...
周囲の関心を求めてるわけじゃなく
旦那限定なので
ちょっと違うけど
ミュンヒハウンゼン症候群みたいだなと思いました。
キノコを口に入れた時
思わず
受け入れるんかぁ〜いって
ツッコミ入れてました...(心の中で)
ダニエル・デイ=ルイス
ある角度ですが
布施明に似てるなぁと思いました。
丸の内ピカデリー爆音映画祭にて鑑賞
これは男女で意見が分かれそうだ。前知識なにも入れずに行ったのですが、正直女まじ狂ってるわ男負けないで、ってずっと思いながら観てた。これが運命の恋なのでしょうか。ダニエル・デイ=ルイスはひたすらにセクシーでした。
やはり女性に翻弄される
ポール・トーマス・アンダーソン×ダニエル・デイ=ルイス!最強のタッグによるアートかつ下世話な傑作。
英国ファッション界で名声を博す仕立屋が若きウエイトレスをモデルとし、自分の色に染め上げていく…と思いきや、女も実にしたたかだった。
このシニカルなエンディングはアンダーソンの心情の吐露といえるだろう。
アルマおそろしや。そしてふたりともきもちわるい。
うーん、はまれず。
レイノルズもムカつくけど、アルマの恐ろしいこと。
おねえちゃんがよかったのと、音楽が良かった。
おねえちゃんのまつげがすごく好き。
あと邸宅。
メインの二人は無理なんだけど、風景は素敵だった。
初ポールトーマスアンダーソンです。PTAって言ってみたかったん。シネフィルぶって。
毒キノコは殺すためでなく、弱らせるためってあんた…
悪趣味…
とはいえ、殺すの?殺さへんの?ってあたりからやっと目が覚めたきらいもある。
それまでは茶番すぎて眠かった。
レイノルズにサプライズ仕掛けて喜ばれると思ってるアルマが、どうしようもなくバカバカしくて、アホらしかった。
や、あんたばかなの?わかれよー。あいつ絶対喜ばへんってよ、と、スクリーンのこちらから(心で)怒鳴ったさ。
ファントムスレッド、直訳するとたぶん見せかけの糸とか仮面の糸とかってゆう意味ぽ。
幻影、幽霊とかって意味もあるらしく。
あんな自己中心的で自分のルールと仕事しか大事にせえへん男の何がよくて、キノコ作戦に至るんやろ。
さっぱり。わけわかめ。
だいたい出会いからしてわたしはもう「はぁ?」でした。
そして何故そんなに車を飛ばす。
突っ込みを山ほど突き刺し、ぼーっとみました。
マザコン男と独占欲の強い女との憎愛劇
時代背景と階級制度みたいなものがあるにせよ、初対面のお客に惹かれ家までついていくものなのか。よほどお互いが惹かれ合わない限り、あのシチュエーションには共感できなかったが、結末まで見終わって、まあ仕方ないかという映画。
人の心を理解するのは、どんなに近くにいても難しい、けれど最後にわかりあえたから良かったねという、マザコン男と独占欲の強い女が繰り広げる愛憎劇ならぬ憎愛劇ですね。
愛のカタチ
愛する男に毒を混ぜ込む事には賛否両論ありそうだがこれも一つの愛のカタチ。女性の強さと恐ろしさを感じながら禁断の愛の行方に最後まで飽きずに観ることが出来ました。この作品の重要な役割となるドレスも素晴らしい。
2018-134
生きるにはあなたが必要
どんな形であれ、2人にしかわからない情緒の会話がある。
どんな形であっても、あなたが必要。周りには理解されなくとも、歪な関係であっても、私が、君が必要。
ポールトーマスアンダーソンの作品に、骨太で一貫しているテーマは、相手があってこその人生というテーマ。
出会いのシーンから、エンドまで、終始、2人の精神的にまぐわう感情と空気感が溢れていた。
相手を理解し尽くしているからこそ、自分を見ていてほしい、構っていてほしい、2人の会話、視線、佇まいから、関係性が手に取ってわかる。
極めて感覚的な映画だから好き嫌いは分かれるかもしれない。
着る、食べる、愛する
生活と愛は密着している。「ドレスを着る」非日常では全てが上手くいく二人でも、一緒に生活するとなれば話は別だ。習慣の違いにイライラし、リズムを崩されることに我慢できなくなり、言い争いがさらに溝を生む。非日常で恋をする事と、日常で愛を築くことは全く別のことだと強く思う。愛する人を語るアルマの笑顔、最初と最後で全く受ける印象が違う。
繊細なレース、咀嚼音、階段の軋み、卵の柔らかさ。生活の風景がリアルで色鮮やか。何回も出てくる食事のシーンがいつも美味しそうで素敵だった。
キノコパワー
かなり面白いブラックコメディ映画でした。
前半は高尚な雰囲気と主人公カップル2人の息詰まる空気感から、展開が読めず緊張を強いられましたが、後半は爆笑に次ぐ爆笑でした。観終わってからは、映画全体を支配する格調高さやダニエル・デイ=ルイスの重厚な演技すらギャグだったのでは、なんて感じています。ゴージャスでスケールがデカそうな風情のクセに描かれている物語はヨタ話のたぐいという、そのギャップも可笑しかったです。
見方によれば、母のファントムに囚われた男と、新たなファントムとして男を支配する女の哀しい物語とも言えそうですが、やはり語り口が面白すぎて、シリアスな話として捉えることは不可能でした。
やはり、キノコの破壊力が強烈すぎます!だってキノコだよ…そのスケールの小ささたるや。しかも、キノコ事件の後の超絶展開には本当に仰天、大爆笑でした。キノコパワーすごいぜ!
そして、クライマックスのオムレツ…ダニエル、アンタ最終作があんな面白演技でいいのか!と突っ込みたくなる顔芸が炸裂。食べる?食べない?いや食べる?あ…食べたけど〜、飲み込む?飲み込まない?のくだりは完全なるコント。ここは本当に面白かったです。バーフバリのエンディングに匹敵するほど笑えました。本当にキノコのインパクトが強すぎる。困ったときのキノコパワー。最終的には呪いとかどうでもよくなってしまった。
この辺りの描写から鑑みるに、PTAもギャグ映画として撮っていたのだと思います。実際、物語として描かれているのは単なるバカ2人の共依存ですからね。シリアスな話よりも、ギャグ向けの題材だと思います。
アルマのキャラクターは実にキてますね。キノコ事件に至る寂しさやもどかしさは理解できますが、やってることの程度の低さがどうしても滑稽に感じます。なんだかんだと有名人の愛人ポジションを捨てられないんでしょうね。ある意味、レイノルズに寄生するしかないわけですから。
あと、お姉さんが後半空気なのは残念。彼女がウッドコック家の呪いとして機能するのか、と思いきや、前述したように呪いとかどうでもよくなったため、姉もどうでもいいキャラになってしまったように感じます。
(後述…別の方のレビューで、アルマによって姉の呪いが解けた、という解釈があり、現在はその通り!と感じています。空気になったというよりも、ウッドコック家の呪いが解けて、空気になれた=家とは関係ない人生を送る可能性が生まれた、と言えます。その意味では、アルマいい仕事しました)
綺麗なモリッシーことダニエル・デイ=ルイスは、履いていたボルドーの靴下がとても素敵でした。
まったく本作は、史上最高のキノコ映画だと思いました。キノコパワー!(キノコパワー!)遠く高く放り投げてっくれッッ!
ダニエル=デイ・ルイスを鑑賞する贅沢な映画
ダニエル・デイ・ルイスの演技に只々感心した一作。華麗で気品の高い映像・演出を大いに堪能。だけど、ヒロインの感情の動きには疑問が残った。"えー!こんなのあり⁈"って感じ…本当、怖いなって思うけど、極端過ぎないかな?
ダニエル・デイ・ルイスは引退らしいけど、惜しいよね。気が変わってカムバックされるのをお待ちしています。出ているだけで見に行きたくなる…数少ない俳優ですから。
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