劇場公開日 2018年4月28日

  • 予告編を見る

「社会を見る眼」ザ・スクエア 思いやりの聖域 ミカさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5社会を見る眼

2018年6月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

難しい

人間はズルくて、自己中心的で、不完全な生き物です。どんな人でも、そういう部分を持つのが人間です。そんな人間が安定した社会を作るには、「平等」という概念が必要なんですね。それが例え建前であっても宗教的であっても。

リューベン・オストルド監督にかかれば、成功者だろうが、インテリだろうが、リベラルだろうが、人間に完璧なんていないのが分かります。完璧な人間がいないなら、完璧な家族や完璧な社会もない。男女の平等率や再分配率が高いと言われる民主主義国家の北欧ですら、差別や偏見は大いにあるのでしょう。ただ、この作品の監督の視点や批判めいた描写から、公平な社会を目指す努力をまだまだしていきたいというポジティブなメッセージを感じます。

比較的公平と言われる北欧だからこそ、こんなユーモアに富んでいて、毒のある意地悪な作品が評価されるのだと思いますし、パルムドールを受賞できるのですね。映画監督が映し出す視点が辛辣であればあるほど、ある意味成熟した社会と言えるのではないでしょうか。

今年のパルムドールは是枝監督が受賞しましたが、果たして日本社会は成熟しているのかどうか、日本政府や日本国民の反応に興味が尽きません。

「全ての人に平等な権利と義務が与えられる」ことを理想に掲げた場所「スクエア」は、小さな小さな四角形です。逆にこんな小さな四角の中でしか、理想郷は作れないのかもしれません。でも、いつの日か大きな「スクエア」になり広がることになるのだと信じたいですね(建前ではありません)。

ミカ
NOBUさんのコメント
2021年9月3日

おはようございます。
 ”北欧の個人主義的”
 成程。(最近、村上春樹を再読しているので、”なるほど””やれやれ”がつい、口に出ます・・。)
 個人主義ですが、他も尊重する人が多いところが、文化度が高いなあ、と思っています。では又。

NOBU
NOBUさんのコメント
2021年9月2日

今晩は。
 ”比較的公平と言われる北欧だからこそ、こんなユーモアに富んでいて、毒のある意地悪な作品が評価されるのだと思いますし、パルムドールを受賞できるのですね。”
 成程。
 「罪と女王」でも感じたのですが、北東欧の映画って日本の湿性ある映画とは真逆の感性の映画が時折公開され、評価されているんですよね。
 では。

NOBU