「ポケモンの原体験を持つポケモン世代監督による、メッセージ作品」劇場版ポケットモンスター みんなの物語 Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
ポケモンの原体験を持つポケモン世代監督による、メッセージ作品
ポケモンが変わった!
ゲーム発売が1996年だから、まもなく四半世紀。言わずと知れた"ポケモン"は、家庭用ゲームのみならず、アーケードゲームやカードゲーム、TVアニメやキャラクターグッズ、近年はスマホ向けの"Pokemon GO"など、クロスメディア作品の金字塔である。
ところが。劇場版アニメ21作目にして、これまでの全20作品の監督(総監督)を務めてきた湯山邦彦から、若干33歳の矢嶋哲生監督に代わった。つまり、ポケモンの原体験を持つポケモン世代による、作品となる。
昨年の「~キミにきめた」から、サトシとピカチュウの新しい冒険がリセットされたが、今作がいままでのポケモンと大きく異なるのは、今回はなんと群像劇なのだ。
本来の主人公であるサトシやピカチュウが出会う、"幻のポケモン"のサイドストーリーをことさらに取り上げる、マンネリなワンパターンから脱している。
旅の途中で、風の町フウラシティー(修正:2018/7/15)に立ち寄ったサトシとピカチュウが出会った仲間たちは、ひとりひとりが、トラウマや欠点を持ち、それぞれの過去や現在と戦っている。
脚を怪我したことから走れなくなったアスリート女子高生。誰よりもポケモン愛溢れるのに、自信のないポケモン研究者。ウソをつきすぎて自分をごまかし続けてきた中年男性。とある過去からポケモン嫌いになってしまったおばあさん。自分を助けるために怪我したレアポケモンをかくまう少女。
そんなフウラシティーの"風祭り"の最終日に事件が起きる。
それぞれのパートナーポケモンとともに、力を合わせて事件に立ち向かい、自分自身の問題をも乗り越えていく。
"初めて出会ったポケモンとの体験や、気持ちを思い出してほしい"という矢嶋監督の、ポケモン世代ならではの原点メッセージがつまっている。
(2018/7/15 /ユナイテッドシネマ豊洲/ビスタ)