「漫画が動くってこういうことか」スパイダーマン スパイダーバース マルホランドさんの映画レビュー(感想・評価)
漫画が動くってこういうことか
漫画のコマを動かしたみたい、と書くとありきたりかもしれないが本作は「漫画」をアニメーションにしてみたらどうかというこだわりをとても感じる。
躍動感、生活感、顔の表情、どれも生き生きと動きコマを自分で動かしてるかのようにアニメーションが動く。それに色の使い方ひとつとっても明暗のコントラストがうまく効いていて奥行きを感じさせる作りになって本当にニューヨークを飛んでるかのような気持ちよさを味わえた。
マイルズの成長過程も丁寧に描き、そこまでの時間の溜めも見事で、どうしようもなく無力な一人の人間としてとてもじっくり描いている。能力が使いこなせずジタバタするところは見ているこちらとしてもすごく焦るし、大きな挫折を味わうところが観客の心理とうまく合わせて作りこまれる。そこがもどかしい気持ちを生むが、マイルズが能力を自在に使いこなせるときの自由感はとてもすがすがしく思わず待っててよかったとスカッとできる。そしてそこが見ていてとにかく楽しいし一場面一場面がポスターにしても不思議ではないくらいのアート性にあふれていたのが素晴らしい。
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