劇場公開日 2019年3月8日

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「アメコミ」スパイダーマン スパイダーバース vary1484さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0アメコミ

2019年3月12日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

興奮

日本のアニメを超えた、アメリカのアニメーション。
今年のアカデミー賞を代表とする映画賞を総なめにした、ソニーアニメーションの作品。これまでのアニメーション映画といえば、日本が誇るスタジオジブリやスタジオ地図、そして漫画からアニメへと発展したテレビアニメーションシリーズの劇場版。もしくは、ディズニーやピクサー、ドリームワークス、イルミネーションなどが先導する3Dアニメーションという2極化でした。このまま、アナログの伝統を守っていく日本のアニメと、CGでリアルを追い求めていくアメリカのアニメーションがそれぞれ独自の発展を続けていくと誰もが思っていたアニメーション業界。そこに、去年新たな風が。

なぜ今までやってこなかったんだろう、と思うぐらいクオリティーの高いアイデア、コンセプト。アメコミはヒーローものを中心として実写映画化で世界へとますます広がっているが、そのアメコミの良さってやっぱり、現実離れしたコミックならではの描写と、コミック特有の効果音や色合い、シャドーなどのスクリーントーン。”キック・アス”(2010, 2013)や”キングスマン”(2014, 2017)などのコミック原作が大流行するところからもわかるように、アメコミの良さはそのスピード感にある。その全てをありのままに使ったのが本作。あえてリアルを捨てたアニメーションのタッチは、そのあまりの振り切り方に化学反応を起こしています。ボケを2つの視差のずれで表現し、スクリーントーンのようなパターンで表現される影やバックグラウンド、質感をあえて無機質にしたキャラクター市場好きだったのは、ストリートの落書きや、ヒップホップなんかのアメリカならではのストリート文化をコミックの色合いとマッチさせ、目にも止まらぬ速さでそのカラーを駆け抜けさせるスピード感。さらに、音楽もヒップホップが由来の現代の音楽を最高のタイミングで!これがアメコミのアニメーションの最高峰だといっていい!

そして、あまりにも使い古された感のある、”スパイダーマン”というヒーローの扱い方。実写映画は3シリーズ目、コミックは次元がどこにあるのかわからないという、もう何がスパイダーマンなのかわからないといった弱点を逆手に取ったストーリー展開は目の肥えたファンにもどハマり。多文化、多人種も取り入れながら、これぞアメリカという堂々とした意志を突き付けられました。
しかもそれをソニーがやってのける感じがまたシビれる。今後この作品をどのように発展、応用させていくのかが楽しみですね!

vary1484