「ヒーローが世界に浸透した今だからこそ成立し得たオリジンストーリー!」スパイダーマン スパイダーバース 須賀さんの映画レビュー(感想・評価)
ヒーローが世界に浸透した今だからこそ成立し得たオリジンストーリー!
いくつもの世界線のスパイダーピープルが入り混じるスパイダーバース
その物語は 普通の中学生マイルスがスパイダーマンになり、成長する至ってよくある話とも思える。
しかし、その語り口は非常に斬新で、ある意味でアメコミヒーロー文化が世界的に浸透したからこそ成立し得た、今日的な切り口でした。
今まで、ヒーローの“オリジン”(ヒーローになるきっかけの物語のこと)は常に孤独であることが前提でした。誰にも正体を明かさないし、涙も見せない
特にスパイダーマンは、顔全体をマスクで隠すヒーローなのでこの点は顕著ですよね。
一方、この物語は、主人公マイルスのオリジンになるわけですが、前述の内容とは全く反対の前提から始まるのです。
マイルスの世界には元々スパイダーマンがいて、その後も様々なスパイダーマンが彼を支えてくれています。“連帯”が前提となっているわけです。
しかし、この関係はマイルスがヒーローとして、人として未熟であるが故の依存関係とも言えます。
この映画は、そんなマイルスが彼らへのある種の依存からの脱却し、“一人“のヒーローとして”一人”の人間として成長しようと奮闘する物語なのです。
だからこそ、あのキング・ピンとの最終決戦にカタルシスが生まれるのだと思います。
これまでとは真逆の前提から始まり、これまでと同様のヒーロー像に立ち返る
斬新ながら正統派なヒーロー映画でした!
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