「親と子の憎しみと愛情の物語。必見です。」ダンガル きっと、つよくなる お水汲み当番さんの映画レビュー(感想・評価)
親と子の憎しみと愛情の物語。必見です。
この映画は、実在する女子レスリングの金メダリストを主人公に据え、あとの登場人物は架空の人物/架空の話だという設定でドラマ化されたものです。
インドでレスリングの国内チャンピオンになったお父さんが、それだけではまったく食べていくこともできず、息子にオリンピックの金メダルの夢を託す……のですが、生まれる子供がみんな女性。
でも、ケンカが滅法強かった長女と次女を鍛え上げ、世界を狙えるレスリング選手にまで育て上げるというストーリーです。
あらすじを読んだ時点では、インド版のロッキーか、あるいはカラテキッドか、と思ったのですが、ぜんぜん違いました。
父が掴めなかった栄光を子供に託し、夢を託された子供の、親に対する反発と愛情の物語。
こういう話をどこかで観たことがあったな、と思い出したのが「巨人の星」でした。
ちょっと笑ったのが、トレーニングの一環として「重いコンダラ」を引っ張るシーンまで出てくること。(このジョークが分かる人は相当の年寄りかな? 説明は省略します)
「巨人の星」が非常に高い視聴率を誇ったように、登場人物たちが同じ構図を織りなすこの映画も、ドラマとして完璧に練り上げられており、たいへんに感動的で、必見の一本だと感じました。
インド映画だからと言って、別に無意味に踊ったり歌ったりがデフォルトというわけではないということを知ったのも収穫でしょうか。
まだモデルになった選手は若いと思うのですが、やがて娘が栄光の頂点に立った時、お父さんは「イチロー選手のお父さん」と同じ哀しみを味わうのだろうな、という予感も漂っていました。
これが人生ってものなのかも知れませんが。