劇場公開日 2018年4月6日

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「ギータが戦っていたもの」ダンガル きっと、つよくなる とえさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ギータが戦っていたもの

2018年4月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

感動して号泣してきたー
2時間20分もあるとは思えない
あっという間に見終わってしまった
インドで本当にあった実話の映画化

家が貧しく、レスリングの代表になることを諦めたマハヴィルが、いつか息子をレスリングの世界チャンピオンにすることを夢見るが、
彼には娘しか生まれず、その娘たちをチャンピオンにするべくレスリングの特訓をする
しかし、インドには女子レスリングの選手が少なく…

これは、よくあるスポ根ものであり、スポーツを通じた家族の絆を描いた作品。

確かに、父さんの娘たちへの思いは強く胸を打つのだけど、
私がこの映画の中で一番に感動したのはそこではなく、インドの女性たちが「自由な世界」を求めて立ち上がり、戦っていく姿だった。

まだ幼い頃は、レスリングの練習が嫌だった姉妹。
しかし、同級生の女の子のから「花嫁修業を親から強制されてうんざり。
あなたたちが羨ましい」と言われ、自分たちが恵まれていることに気づく

田舎の小さな町で、女性は、長い髪の毛が当たり前で、肌を露出することなどあり得ず、レスリングは「男のスポーツ」だった

そんな中、周りの人たちに笑われようとも半袖短パンを貫き通すことができたのは、お父さんさんと共に戦い続けた誇りがあるから

「自分は世界チャンピオンになるんだ」という強い意志があったからこそ、彼女たちは、その姿で戦うことができたのだ

世界選手権に向けてモチベーションを上げるギータに対して、お父さんが
「お前が世界選手権で勝つことで、家事と育児しか知らないインドの少女たちを救うことができるんだ
お前はあの子たちのために勝つんだ」
と言ったセリフが強く心に残る

彼女の戦いは、自分のためでもあり、インドの少女たちの地位向上のためでもあった

その姿は、今までのインドには観られなかった「新しい波」を強く感じ、インドの女性たちも変わろうとしていると思った

タイトルの「ダンガル」とは、ヒンディー語で「暴動」という意味があるらしい

これは、父の夢を叶えるべく、レスリングで戦う姉妹の話だけど、
インドの女性たちの自由を勝ち取るために戦った姉妹の話でもある

また、これはインドで起きた話だけど、日本のレスリング協会で起きたパワハラ騒動を思わせる場面もある

合わないコーチの元で練習しなければならないことほど、選手にとって不幸なことはないし、国にとってもマイナスである。
ぜひ、レスリング協会の人たちにも観ていただきたい作品である。

とえ