劇場公開日 2018年3月30日

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「チャーチルと戦場」ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男 朝さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0チャーチルと戦場

2025年3月5日
iPhoneアプリから投稿

チャーチルが地下鉄に乗って乗客(国民)の声を聞くシーン、乗客達が口々に「戦い続ける」「いざとなったら箒でも戦う」とチャーチルに訴える様はリアリティが無いのではと思ってしまった。戦争渦中のイギリスの人々と平和ボケした日本で暮らす我々とは戦争に対する感覚が違うのも分かっているが、戦争で死ぬ事への恐怖を感じている人も当然いたように思う。あのシーンでは勇ましい人々の他にも電車内の雰囲気に萎縮している乗客もいるはずだ。
後で調べると地下鉄のシーンはフィクションと知って安心した。

大怪我を負った部下を慰め安心させようとする上官が自分達への助けが来ない事を知り天を見上げる所が辛くてたまらなかった。余程の強心臓でないと戦禍において政治を司ることは出来ないだろうが、チャーチル含め映画内に出てくる多くの政治家やその家族は綺麗な服を着て葉巻や煙草を吸い酒を飲んでいる。彼らがいないと国が成り立たない事も十二分に分かっているが、彼らの鶴の一声で多くの若者が命を落とす事になる事実が憎いと感じた。

これらの事を踏まえた上で敗戦国である日本の一国民から見ると、負けを認めず突き進むチャーチルの姿勢に完全には合意は出来ない。しかし和平交渉を受け入れる事によって自国の未来が危ぶまれる事もまた事実。英雄と戦犯は紙一重であることがよく分かった。自分がもしチャーチルの立場になったら逃げ出すか、耐えられなくなって自殺すると思う。その行動がいかに自分勝手か分かっていても。

朝