君の名前で僕を呼んでのレビュー・感想・評価
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美しい…
美しい映画でした。
イタリアの田舎町でのひと夏の恋を描いた映画ですが、全体に漂う耽美な雰囲気と風景のすばらしさ、搭乗するキャラクターの魅力が相まって、充実した穏やかな気分になれます。
日本で生まれ育って、海外旅行も1回しかしたことのない自分にとって、この映画が映し出す情景や空気感は、もはや絵画の世界といっても過言でないくらい。
官能的だなぁ…、地中海沿い国々ってなんか快楽主義的というか、欲望に忠実というか、そんなイメージがありますが、そのイメージにピッタリの映画でした。
冬に情景が移り変わった時のBGMはラヴェルの「マ・メール・ロワ」の妖精の国の音楽でしたね。
本当に美しい、息をのむような情景でした。最高。
続編があるとのことで、楽しみです。
エリオ、オリヴァーが大変セクシーでした。
後光が差す美しさ
1980年代のイタリアを舞台に17歳の少年エリオと24歳の青年オリヴァー2人の激しくも切ない一夏の恋を描いた作品。
今作に関してはもう一度見返して詳しく語りたいが、とにかく何もかもが光り輝いていて美しかった。
主演の2人はもちろん風景や水の反射や街並み、暗闇の中でシルエットでさえも素晴らしく感じた。
また132分という長尺の中で少しずつ少しずつ自分の気持ちを抑え切れなくなっていくエリオとオリヴァーをじっくり時間をかけて描く贅沢な演出が尚更の美しさを出していたと思う。
内容的にもそうだが結構ストレートな映像描写もあって、ある意味過激な内容だが、全くの苦手要素ではなく意外なほど自分の中で秀作として刻まれたと思う。
特にラストシーンの焚き火を眺めながら涙するエリオをバックに流れ出すエンドロールが素晴らしかった。BGMが焚き火の音のみというのもまた良い演出。
噂されている続編のタイミングでゆっくりじっくりもう一度見返したい。
すっかりハマってしまった。
綺麗な音楽と景色や夏にイケメン2人。
素晴らしい雰囲気の作品に浸ってしまった。
そして、様々な愛にも。
愛、夏、青春、思春期、音楽が素晴らしいです。
綺麗に描かれてるので、先入観を持って観ると
ある種の期待は裏切られるかもしれないけれど
原作が気になって作者を調べて他の彼の作品も
映像化はされてないみたいなので読んでみたい。
あぁ夏の青春って素晴らしい…
2人のやり取りが面白い
最高でした
「じゃあ、後で・・(later)」と「知って欲しいから・・」
映画「君の名前で僕を呼んで」(ルカ・グァダニーノ監督)から。
同性愛の映画という枠にはめず、作品を鑑賞すると、
ラブストーリーとしては、物足りなさを感じてしまう展開だった。
やはり「17歳と24歳の青年が織りなすひと夏の情熱的な恋の行方」
そんな男性同士の恋愛が、話題を呼んだのかもしれない。
ゲイ、レズビアンを始めとする「LGBT」とはちょっと違う感覚が、
作品全体を包み込んでいる気さえした。
どちらが「男役?」「女役?」という視点で鑑賞してしまった私にも、
問題があるのかも知れない。
作品中のメモでは「じゃあ、後で・・(later)」というフレーズと
「知って欲しいから・・」というフレーズが何度も登場したので、
この辺りが、作品のキーワードなのかも知れないが、
最後の最後まで、男性同士の恋愛を描くことで、
監督は、なにを私たちに伝えたかったのか、わからなかった。
それよりも私が気になったのは「製作国」の組み合わせ、
「イタリア・フランス・ブラジル・アメリカ合作」
4国合作で、何を訴えたかったのだろうか。う~ん、わからない。
生理的に無理
綺麗で切ない
とても綺麗で切ない映画でした。
2人の容姿は勿論だけど、それだけが美しいというわけでなく2人の細かい目線や仕草(特にエリオは佇まいから表情全てがいい)、またイタリアのどこかという風景、家や部屋の雰囲気全てが似合って魅力的。ちょっとした行動、肩に触るとか。そのやり方で相手への気持ちが分かる。
同性愛の官能的なシーンも話題になっていたらしいが、どれもセクシーだけどとても切ない。甘く切ない、とはこのことなのではと思った。恋をするまで気付くまで、愛し合い、そしてオリヴァーが帰ってしまうまでとても丁寧にかかれている。
ピアノのBGMが印象的で引き込まれる。
歳上の自信家オリヴァーと繊細で大人びた17歳という感じのエリオ。
誘いには“Later 後で”が口癖のオリヴァーだが自分のしたいことにはグイグイ“今直ぐ”巻き込む。エリオはそんなとこに苛ついているのか嬉しいのか。最初のキスの後にはオリヴァーが、初めて寝た後にはエリオが少し相手と距離を置こうとする態度をみせたり、嫌われてないかそれぞれ不安になったりとにかく複雑な心情がみえてグッとくる。
ゲイの客人を疎ましがったり、オリヴァーに対する気持ちのやり場がなく友人マルシアと寝たりもするエリオは難しい。
繊細で敏感で難しい、ある時は若々しい17歳のエリオを演じたティモシーシャラメはとても上手かったと思う。
好きなシーンは…
*リクエストした通りにピアノを弾く弾かないとやり合うところ
*エリオの心情を表す内容の本を母親が訳し父親と一緒に聞くところ
*モニュメントを挟んで離れた距離から自分の事を知ってほしいと言うエリオ
*海から引き揚げられた像と同じ様にエリオを触るオリヴァー
*オリヴァーからエリオへ、タイトルである台詞を囁やくところ
*ホテルで寝た後、眠ってるエリオをなんとも寂しそうな顔で見ているオリヴァー
*エリオのキスの仕方は全部が可愛らしかった
理解がありきっと全て分かっているであろう両親が素敵で、最後の父親の言葉が優しくて深い。泣きそうになる。エリオと同じくらいの年頃に観たかった。
そしてラスト、エンドロールの始まり。暖炉の前で長尺で映されるエリオの表情に涙が出る。
自然の映像が綺麗でちょっと古い感じも良い。 お互い近づきたいが色ん...
美しさとエロさの高次元の邂逅
ただひたすらに純粋で美しい
この観終わった後の心情の全てを言葉で表すのは難しいし、安っぽくなってしまうかもしれないけど、ただひとつ言えることは本当に綺麗で繊細だった。何もかもが。
この映画に出てくる風景も、お互いが惹かれあっていく様子も、愛し合う様子も、最後の別れも。
人が人を好きになるのに性別なんか関係ない世の中になればいいのに。と、本気で願った。
主人公の両親も寛大で、理解ある人達でとても素敵だった。この両親のもとでオリヴァーと出会い恋をしたエリオは幸せ者だ。
最後まで二人の幸せな関係が続くことを願ったが、そうはならなかった。
二人の心情を思うと、とても切なくなってくる。
終盤のお父さんの話にもとても感動した。自分の過去を話し、教訓や後悔を伝え息子に語りかける姿に、なんて素晴らしい親なんだ。と改めて感じた。
そしてエンドロールでエリオが暖炉の前で涙を流す姿は、彼らが過ごした夏の日々を思い出させ、それと同時にエリオは今何を思い、泣いているんだろうと考えたら胸が苦しくなった。
ハッピーエンドではなかったけれど、バッドエンドでもない。
けど、やりきれない思いが残る最後だった。
久しぶりに美しい映画を観たと思った。
P.S. レビューにちらほら同性愛ものは苦手だ、自分には向いてない、等の書き込みを見かけたが、同性愛に抵抗がある人はそもそもこの映画を観るべきではない。パッケージを見ても、概要欄を見ても同性愛の映画だということは分かるはず。
もちろん観る権利は誰にでもあるが、作品の内容や展開に対しての不満ではなくて、この作品の前提である同性愛に対して批判しているような書き込みがあるのを残念に思う。自分たちの確認不足でこの作品の評価を下げないでほしい。
BL物かぁー
総合芸術
毒親育ちの人はきっと父の言葉に号泣する
映画の内容としてはすでに他の方がレビューされているので割愛します。
機能不全家庭育ちの身としては、主人公である美少年の両親の存在が羨ましくてたまらない。主人公と青年の一夏の恋に我々見る側が集中出来るのも、ひとえにこの主人公の両親が常に仲良く安定していて、彼らを監視することなく自分たちの人生に集中しながら穏やかな眼差しで彼らの経験を見守っているからだと思いました。
タバコをスパスパ吸いながらアプリコットジュースはいかが?とすすめる美しい母親の満ち足りた笑顔。
親が安定しているからこそ、子供は何の気遣いもなく自分の人生に意識を集中することが出来るんだと思います。
特に終盤の父親の言葉には号泣してしまいました。
自分も主人公ぐらいの年齢、まさに思春期の頃にこんな素晴らしい親がいて、こんな言葉をかけてもらえていたなら人生は今ともっと違っていたのかなと思いを馳せずにはいられませんでした。
以下、少しだけ響いた部分を抜粋です。
「人は早く立ち直ろうと自分の心を削り取り、30歳までにすり減ってしまう。新たな相手に与えるものが失われる。
だが何も感じないこと…感情を無視することはあまりに惜しい。
お前の人生はお前のもの。心もからだも一度しか手に出来ない。
今はまだ、ひたすら悲しく、苦しいだろう。
痛みを葬るな。
感じた喜びも忘れずに。」
その父の言葉通り、主人公は恋の終わりに暖炉の前で静かに涙ぐみます。悲しみも苦しみも、無理に抑え込まず、痛みをなかったことにはせずに静かにその感情に向き合う。
悲しみにくれる主人公の背後では、家族たちが食事のしたくをしています。失恋の痛みに涙ぐむ主人公に「手伝いなさい」「いつまで泣いてるの」「男のくせに、たかが失恋ごときでめそめそと」「しかも同性愛!」なんて野暮なことを言う人は一人もいません。
優しく、暖かく、主人公の悲しみをいつもと変わらぬ何気ない日常という無言の愛で包み込む家族たち。
この家族と一緒なら、きっと主人公はこの一夏の恋をいつの日か穏やかな想いと共に優しく見つめられる日が来るでしょう。
まるで古い傷跡を優しく撫でるように。
2018年
君の名前で僕を呼んで “Call Me by Your Name (2017)”
アカデミー賞で色々とノミネートされ、脚色賞では受賞を果たした、最新作品。
さて、第90回アカデミー賞シリーズですが、今作はまさに2018年を着飾るような作品でした。
最近よくアカデミー賞で言われていることは、みなさんご存知”多様性”。
人種やLGBTQのような言葉をよく耳にすることが多くなりましたが、映画業界もそれを追い風にするように、映画の多様性にはかなり拍車がかかっていると思います。
今作品で取り上げられるテーマは、男性同士の恋愛です。
主人公エリオが男性への感情を自分の中に見出して、それをどう表現すればいいのかという新鮮な初恋のような物語です。
改めて考えてみると、初恋を描く作品というのは映画業界ではアニメーションやファミリー映画のようなものとして捉えられることが多いですね。
高校生になって初恋なんて言われても、視聴者からすれば少し信じがたいものがあるのかもしれません。
だからこそ、こういうテーマは新鮮で新しい風を感じます。
みなさんに受け入れられる理由もそれかもしれません。
音楽や小説では実際に映像を描写するのは聴く側、読む側だから、彩よく描くことができますが、映画となると、実際に役者がいて映像を描写するのは作り手側。
その違いを乗り越えるきっかけが時代であったということのような気がします。
時間の経過とともに、感情が変化していく様子は脚本で美しく描かれていたと思います。ヨーロッパの映画ということもあり、またハリウッド映画とは違った、芸術性も感じることができますね。
けど、正直にいうと、ちょっと評価しがたい作品。
まずテーマからいうと、自分の美的感覚がまだ2018年の風に追いついていないのかもしれない。
なぜかというと、どうしても自分の感覚と違いすぎて、キャラクターを信じることができない。尊いとか、美しいとかいう感覚はわからなくはないけど、感情移入することは全くできない。
そこに、家族が入ってきたり、友情が入ってくると、さらにジェネラルになって、感情移入ができるのではないのかなと思う。
だからこそ、Xavier Dolanの作品には120%感情移入できる。テーマは家族、キャラクターの個性として同性愛者を取り入れていいる。その小さそうで大きな違いが、自分の中では映画として楽しむことができるのかどうかということにつながってくる。
そして、映画制作的な面からいうと、脚本は美しいということは、なんとなくわかる。撮影もヨーロッパの手法をつかい、さらにはフィルムの良さも街並みとうまくかみ合っていた。
いちばんの問題は、編集。
低予算だからカバレッジが少ないのはわかるけど、本当にもったいない魔の使い方をしてるなーと思った。前半はそれほど感じなかった。それは二人が自転車で湧き水の湖的なところに行くシーンのワイドの長さは絶妙だった。
しかし、それ以降、何が起こったのかワイドからクロースアップに行くタイミングに違和感を感じまくり、さらには、シーンとシーンのトランジションも急に雑になって。全くストーリーやキャラクターと関係ないのりづけのようなものが、かなり気に障った。
後半のお父さんとの素晴らしいシーンも、絶対あのタイミングじゃないと思う。これが、プロダクション側の責任だとも考えられるけど、それはそれでそこに問題がある。
あとは、音楽。出だしのピアノとストリングスのクラシック音楽はとてもキャラクターとマッチしていたし、ストーリーをかなり後押ししていたと思う。しかし、中盤、クラシックではなくなり、急に楽曲になった瞬間に、そこまでに作り上げてきたものが崩れた印象。それが意図的であったならいいが、それでも、崩す理由には当てはまらない場所だったと思う。
そういう意味で、全体を通していうと、理解できていない自分なのか、それともこの映画自体なのか、そこがまだうまく分析できずに終わってしまったような感じ。
とにかく、後半が本当に好きじゃなかった。
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