ファースト・マンのレビュー・感想・評価
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規定や手順で『管理している』と思うだけ
映画「ファースト・マン」(デイミアン・チャゼル監督)から。
私たち世代(60歳代)にとって、宇宙飛行士といえば、アポロ11号で
人類で初めて月面に足跡を残した宇宙飛行士、
ニール・アームストロング船長しか思い浮かばないくらい有名。
その彼の半生を描いた作品とあって、ワクワクドキドキ感が先に立った。
また、月面着陸50年周年を機に、新たに発掘された映像と音声で
アポロ11号の9日間を描いたドキュメンタリー映画
「アポロ11 完全版」の話も耳にしていたので、是非、
その前に観たかった、という私の想いも強かったのかも・・。
しかし私のメモは、地上に残された妻や家族の不安感が文字として
残されていた。
突発的な事故などの情報は、NASAがコントロールし、
一番心配している家族は情報が遮断され、不安を大きくさせる。
物語でも、そんなシーンがあった。
アクシデントに巻き込まれた夫の状態を知りたい妻が、
NASAの職員に、情報開示を求め詰め寄る場面。
「事態は我々の管理下にある」とNASA。
「冗談でしょう」と、苛立ちながら妻が叫ぶ。
そして、やや冷静になって、こう言い放つ。
「規定や手順で『管理している』と思うだけ。
模型が好きな男の子と同じよ。何一つ管理下にない」
何も言い返せないNASAの幹部職員たち・・印象的だった。
事件は現場で起こっているんだ・・の台詞を思い出した。
極まれり
「セッション」「ララランド」の両作とも、観たときに「迫っ苦しい映画だな」って思ってたけど、この映画はデイミアン・チャゼルここに極まれりって感じだった。 それが、アポロ計画やニール・アームストロングという題材には上手くハマったんだと思う。 ただ閉所恐怖症の人は無理かもw
全てがリアル。
『ファースト・マン』字幕版 *主演* ライアン・ゴズリング *感想* 実は映画館で見たかったんですが、諸事情で見に行けなかった作品。DVDで拝見しましたけど、迫力がありました! ニール・アームストロングは聞いたことがあります。人類で初めて月面に降りた宇宙飛行士。その人物にフォーカスをあてたドキュメンタリータッチで描かれた作品。 宇宙の専門用語とかたくさん出てくるので、良く分かりませんが、先ほども書きました通り、ドキュメンタリータッチで描かれてるので、登場人物たちの心情描写が上手く描かれてるような気がした。 病気で亡くなってしまった娘やニールの仲間、世間の目、全体的に重かったけど、終盤は、良い感じにまとまってくれたので、良かったです。 あと、感情を押し殺したニールを演じたライアン・ゴズリングの演技も素晴らしかったですし、アポロ11号の船内もリアルで、グルグル回るシーンとか、結構リアル。全てがリアルに描かれてて、めっちゃ上手いな~って思いました!(^^)
退屈でつまらないが
人類初月面着陸の偉業をなしたニールアームストロングの自伝的映画。しかしこの映画の中心的要素は人類未踏への「挑戦と栄光」ではなく、「最愛の娘を失った男の悲しみ」である。チャゼル監督過去作で語られていた「夢への挑戦と犠牲」でもない。と思う。
全体的に淡々とドキュメンタリーチックに描かれる今作品は演出に起伏がなく、盛り上がりに欠けエンターテイメントとしてはあまりにも退屈。くしくも題材がアポロ11号月面着陸という歴史的にもセンセーショナルでドラマチックな内容ゆえに「偉人ニールアームストロングの挑戦と栄光」を期待する。しかし開けてみれば淡白で味気なく、陰鬱で暗い展開の数々に拍子抜けするだろう。驚くことに今作品はニールアームストロングの輝かしい部分には焦点を当てない。(少なくとも彼の優秀さなどは強調されず、無愛想な気難しさばかり)ニールアームストロングという「一人の男の悲哀と再生」の物語という風に作品を捉えることができれば映画の印象は大きく変わる。以下ネタバレ
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冒頭から幼い病弱な娘の死で始まる。娘に対して献身的だった男ニール(娘のために田舎に住み、仕事よりも娘の治療優先)。そんな男ニールが娘の死をきっかけに変わってしまう。
娘の死後、悲しみから逃れるように仕事に没頭し始める。そして月面着陸という前代未聞のチャレンジに挑戦するニール。見事月面計画候補生に選ばれ、厳しい訓練を通じて気の合う同僚との交流を重ねる。ニールは笑顔や冗談を言いあえるほど精神的に回復する。
しかし同僚の事故死が起き、娘の死がフラッシュバックしてしまう(葬儀場にて娘の幻影を見る)。実際のところニールは妻のように娘の死を受け入れられておらず(彼は同僚や妻にすら娘のことを話すことができていない)、今度は妻や息子に無関心となるまで仕事にふさぎ込む(娘に対してあれほど献身的だったニールとはまるで別人)。
その後ニールは実験飛行での事故に見舞われるも間一髪で生還を果たす。相次ぐ事故や社会情勢の変化に伴い世論が月面挑戦へ懐疑的になる。一方で冷静な事故対応が評価され、月面挑戦へのステップを駆け上がるニール。着々とパイロットとしての信頼を得ていくにつれ、精神的に落ち着きを取り戻し妻や息子とも向き合い始める。そして同僚にも娘の死のことを匂わせ(ブランコ)、ついにその死を受け止められるかに思えた。そんな矢先、またもや同僚に悲劇が起こってしまう。
度重なる同僚の死、無表情で無愛想に拍車がかかり不気味さすら持ち合わすニール。相次ぐ事故に不安を感じる妻。それでもニールは仕事一辺倒でアポロ打ち上げ直前にすら家族と頑なに話し合わない。そんなニールにしびれを切らした妻は彼を叱責し家族と話し合うよう促す。妻に叱責され出発直前に息子たちと会話をするニール。しかし会話するにも心ここにあらずで最後まで不器用なまま家族との別れとなってしまう。
そしてアポロ11号で月に向かうニール。(発射と着陸だけで宇宙空間での移動や生活など全く描かれない)ついに月面に着陸し、かの名台詞(人間にとって一歩転々)を吐く、がどこか投げやりで無味乾燥とした演出がなされる。(歴史的出来事であるのに)
人類初月面着陸という偉業を成し遂げ辺りを見回すニール。その胸中では歴史的達成感でなく個人的な感覚、最愛の娘と家族が浮かぶ。(正直このシーンを見るまではニールという無表情で無愛想な男の胸中は見当がつかない。それゆえニールの印象同様映画全体が無感動で退屈な雰囲気で進む。ニールの娘についても示唆的で曖昧な表現が多かったがこのシーンを通じニールが娘の死に囚われ向き合えていなかったことがはっきりと演出される)月面にてやっと心から娘を意識しそして涙する。(序盤の娘の死から徐々に徐々に感情を失い機械的で無機質な男となっていくニール。そんな作品ゆえのニールの純粋な涙、カタルシスを感じさせるほど素晴らしい展開だと思う)娘の形見であるブレスレット(アポロ打ち上げの会見でも触れられていた「月面に持っていくとしたら」が実は娘の形見であり、描写はないがニールがこの形見を大切にしていて常に肌身離さず持っていたという可能性すら妄想できる)を月面においていきニールは地球に帰還する。(大切にしていたであろう娘の形見を手放すことで娘の死からの開放克服が暗示される。)
月面から帰還すると検査のため隔離措置をとられるもTV を通じて世間の称賛を実感する。隔離措置のためガラス越しに妻と二人っきりで再開するニール。出発前の喧嘩別れを引きずり、ぎこちない両者。そんな中でニールから妻に対して愛情を示す。ニールを変えてしまったあらゆる呪縛から解き放たれ、その後の人生が明るいであろうことを想像させつつこの映画の幕切れとなる。
全編を通じて眠たくなるような退屈な映画ではあった。しかし月面着陸後の演出は感動的でそれだけでも今作の評価を大きく引き上げるに足る。と思う。「大偉業に挑戦する偉人」ではなく「悲しみに囚われる個人」という形に映画を鑑賞できれば多少は今作も見やすくなる。
ぐるんぐるん
宇宙もの特有のスリル表現は新境地。制御不能のジェミニ。こっちが目が回る。音響賞も納得の演出。 ライアンゴズリングのためのある陰のある演技が冴える。妻役、クレアフォイの目力の強さ。ラストのガラス越しのシーンが印象に残る。 冒険者は好奇心よりも使命感。
疑似体験
随分昔だが下田のホテルのレストランで秋山(宇宙飛行士)夫妻と偶然居合わせたことがあった、彼が飛び立つ数か月前の夏休みシーズンだったと思う、夫妻は会話も無く黙々と食事をしていたのが印象的だった。
人類初の月面着陸の偉業なのだがチャゼル監督はありきたりのロマンや冒険譚ではなく歴史の傍観者的な冷めた視点で綴っている。主人公は危機に際しても終始冷静沈着、映画の中でも多くを語らない。船内の映像は無機的な計器、スイッチが所狭しと並び窓も小さく垣間見る宇宙もあえて美景を排しているようだ。視覚効果なのだろう、日常からは想像もできない熾烈なストレスを疑似体験させられた。
彼の並外れたストレス耐性は資質もあるのだろうが愛娘の死や同僚たちの死による極限の苦しみから備わったものと暗示される。帰還後の夫婦の再開シーンがガラス越しだったのは意味深だ、謝罪と寛容にも思えた。
静けさと音楽が心に響く
50年前、月面着陸は、人類にとっての大きな一歩だった。 今でこそ、宇宙へ行くことも月へ降り立つ姿も当たり前のように見れるが、当時はそれがどれほど危険なことか、ニール・アームストロングは周りの仲間の死や自分自身の訓練でのトラブルで、恐ろしいほどに感じていたと思う。 それでもなぜ、彼は諦めなかったのか。 少なくとも、1969年にこの月面着陸がなかったら、科学の進歩も大きく変わっていたと思う。 危険と隣り合わせになっても、成し遂げる気持ち。 彼は、静かに家族と向き合いながら、人類にとっての大きなミッションに立ち向かっていった。 私たちが、今こうして触れている様々な科学には、それを命をかけて生み出した人々の志が詰まっていることを改めて感じた。
宇宙の孤独と恐怖
ライアン・ゴズリングって永遠に名前覚えられない。「音」が印象的なところは「ゼロ・グラビティ」と似たものを感じたが、今作の方が劇的な演出が少ない分、宇宙の「孤独」と「恐怖」を手触りを持って感じた気がする。ラストシーン、ニールと妻の切ない交流が本当に素敵。
進歩とは
私がこうやってiPhoneを使って沢山の知識にアクセスできることも人類が進歩したからこそなのですが、沢山の犠牲の上で成り立つ矛盾を感じてしまって、必ずしも科学の進歩が人類にとって幸福なのかどうかがわからなくなってしまいました。そしてある意味進歩の犠牲者であるニール・アームストロングは広い宇宙の片隅で何を思っていたのでしょうか。
【少し、インターステラーを思い出してしまった作品。寝息複数。分からないでもない。が、キチンと観ればスケールの大きな面白き作品也。】
ー 挫折知らずの、チャゼル監督の意欲作。ー ・大画面に映し出されるデイミアン・チャゼル監督宇宙の映像は流石に凄かったが、少しストーリーが単調だったかな。 ・夫、ニール・アームストロング(ライアン・ゴズリング)を危険な宇宙に送り出す妻(クレア・フォイ:今作で初めて知った女優さん)の、心の葛藤など、面白かったけどね。 ・特に、困難を乗り越え、地球に戻った際の浪打際で、重力のある大地を踏んでの一歩を写したシーンは今でも覚えているなあ・・。 <鼾をかいているおとっちゃんたちに、飴を投げつけながら観たなあ・・。(ナカナカ、当たらなかった・・。) ”映画観るんだったら、寝るなよ!”と言う記憶も鮮烈な作品である。> <2019年2月9日 劇場にて鑑賞>
ラストは圧巻の映像美!!人類が挑んだ困難の過程。
【賛否両論チェック】 賛:危険な任務をこなしてきたアームストロングや、周囲の人々の葛藤が淡々と描かれていく中で、それでも挑み続ける姿が感動を誘う。月面の映像美も必見。 否:アポロ11号のシーンは意外と少なく、伝記的な部分がかなり多めなので、人によっては退屈してしまいそう。 「月に行く」という途方もない計画のため、常に危険と隣り合わせのミッションに挑んでいたアームストロングと、最愛の妻や子供を始めとする周囲の人々の苦悩や葛藤が、淡々と進む物語を通して描かれていくのが印象的です。 そしてやはり注目すべきは、クライマックスの映像美。月面着陸のシーンは、まさに息を飲む荘厳な美しさがあります。 ただ逆に言うと、全編を通して主人公の歩んできた道のりを描いているので、アポロ11号の月面着陸をメインに観たい人にとっては、かなり退屈かも知れません。その辺りは好みが分かれそうなところです。 何はともあれ、当時を知る方々にとっては必見の作品といえそうです。
危険過ぎた、本当に!
「人類史上、最も危険なミッション」 これ映画のキャッチコピーなんですが、 危険すぎるだろ、おい!! 「ラ・ラ・ランド」と「セッション」でお馴染みのデイミアン・チャゼル監督ですが、今回はジャズ映画と打って変わって良い意味で硬派です! アポロ11号に乗って、人類で初めて月に行ったニール・アームストロングの物語。 僕自身、アポロ11号の話は小さい頃にドキュメンタリー番組で観たくらいで、苦労したというのは何となく知っていました。 捏造説も流れているのも有名ですが、この映画を観て確信しました。 アポロ11号は月に行っています! というよりこれを観る限り、あんな壮絶なエピソードを偽造して作れるとは到底思えないです。 この映画日本ではそこまで絶賛されていませんが僕は結構好きです! 何が一番良かったというと、 ジェミニやアポロといったロケット内で、離陸中の様子が映し出されるのですが、ロケットが揺れるように画面も物凄く揺れるんですよ! まるで自分もロケットに乗ってるかのような錯覚に陥りました(x_x) それくらいリアルだったので、トラブルが発生する時が物凄く怖いし、早くそのシーン終わってくれと思いました笑(勿論良い意味で) この映画、実話なので結末はわかっているとはいえ、最後まで手に汗握りました。 ミッションは本当に壮絶で、事故によって亡くなった人達も何人もいたことを初めて知りました。 月に行ったのもかなり命掛けだったんですね... こうした事もあるから捏造説も流れたのかもしれません。 また、この映画ではライアン・ゴズリング演じる飛行士ニールの妻の方にも焦点があてられ、彼の家族や妻としての心情等が描かれていて良かったです。 ミッションに挑戦するニール・アームストロング氏の心情やそれを支える妻の覚悟等が描かれていて非常に心打たれます。 月に行く直前は思わず目に涙が溜まりました。 ライアン・ゴズリングの演技も相変わらず良く、妻を演じたクレア・フォイは今回初めて見たのですが非常に良かったです! そして、終盤の演出は評判通りの感想です! 手に汗握るし、映像は綺麗だし、 色々と語りたい事は多いですが、そこはやはり劇場で観てほしいです。 こうして絶賛はしていますが、最初の方は少し退屈に感じてあまり面白くなかったです。 というのも、月に行くまでの難しい理論や計算等が多く描かれていて、そこには個人的にあまり興味が沸かなかったです。 そこは決して欠点では無いと思いますが、個人的には少し微妙に感じました。 一部で騒動になってた「アメリカの国旗」は小さいけどちゃんと映ってました! この映画、劇場で観た方が絶対に感動出来ると思います。 特にラストは! なので、少しでも興味のある方は絶対に劇場で観た方が良いです!
初男
日本人の誰もが知っている?
アポロ11号の人類初の月面踏査を描いた映画です。
前評判で、意外と地味な展開だと聞いていましたが
お話しの展開は淡々と進み地味です。
画面も16ミリ撮影で、クローズアップの場面が多く
IMAXで観たのですが、あまりスケール的な壮大感
は感じられませんでした。
そして、淡々と進むので、つい2、3回うとうとと。
私的には、主演のライアン・ゴズリングは、「ラ・ラ・ランド」
のイメージが強くて、ニール・アームストロングには見えません
でした。今にも踊り出しそうで。
ゴズリングの演技は非常に抑えた演技で、感情的になる場面は
ほとんどありません。幼い娘を難病で亡くした場面以外は
同僚が事故死しても動じません。
ニール・アームストロングか実際にそういう人だったと
いうことらしいですが、そうでなけば、生きて帰って
これないミッションに挑戦することはなかった?のかも
しれません。
初期のX-15航空機やジェミニ8号での実験の場面は、
機体を外から映す場面はほとんどなく、狭いコックピット内の
様子がリアルに描かれています。
このリアルさは、機体が大気の圧力で縮んでミシミシいう音や
エンジンの爆音も激しく、臨場感はありました
(4DXでも楽しめると思います。)
この点は、IMAXで観てよかったです。
ただし、閉所恐怖症のヒトには耐えられないと思います。
閉所感は堪えがたく、おすすめしません。
※この時期に、なんでアポロのお話しを敢えて作ったのか
あまりよくわかりませんでした。アメリカ万歳という
感じで作っているわけでもなく。
※実はアポロは月に行ってなく、全て映画セットで
撮影されたフェイクだという都市伝説がありましたが
現在は都市伝説は完全否定されています。
ただし、アポロ計画の初めのうちは実際に月に
行っていましたが、後半は予算不足で、映画セットで
撮影したという説も出ています。
そんな都市伝説も今回のお話しに絡めてほしかった
です。
※若い女性グループが、遊園地のアトラクション
感覚で観ていたらしく、終わった際の様子は
ポップコーンを両手にしたまま、へこんでいる
ように見えました。
※ニール・アームストロングの奥さんが
目力も含めて非常に怖かったです。
ニールがアポロ11号の船長となり、家族と
別れて基地に出発する前日に、ニールに
2人の息子に対して、今回の挑戦で戻れない可能性
があることを、パワハラ的に説明させます。
他にもニールの上司にブチキレる
場面もあります。
アメリカ~
この監督が才能あるのは分かる。だが セッションから3作見て やはり 何か好きではない。何が? 思わせ振りな感じ?映画を見ながら 監督の手腕 才能がちらついてしまって、どこか入り込めないのだ。 でも IMAX仕様だったのか 何故IMAXは直ぐ上映終わってしまうのでしょう これはIMAXでみたかった うーん いろんな宇宙NASA映画アメリカ造るな~ いや 日本JAXA映画はやぶさ3部作 どれも役者が違うだけ?観てないで言いますが… はやぶさにケチつけたい訳ではないですが…
宇宙飛行士の出征。魅力は映像美。
誰もが知る月面着陸の瞬間。歴史に残ったのは、成功したから。その成功の延長線上の未来に生きる我々には、その計画、挑戦は必然に見えるが、当時はとてつもないリスクと犠牲を覚悟しなくては成せなかったこと。 アームストロングが飛び立つ直前の妻の怒号で、それがよくよく伝わります。まるで、出陣する特攻隊員を送り出すかのような前夜。 宇宙飛行という壮大なテーマの割に、全体としては起伏がなく、娘の死も仲間の死も淡々と伝える展開はやや退屈かもしれません。史実をきっちり収めるために、ドラマ性は抑え気味、ドキュメンタリー風。そんなストーリー展開をカバーするのは、映像の魅力。無音で視覚効果を高めた静寂の月面風景は、圧巻です。どうか、その美しさを最大に享受するために、今から観る方々には是非とも携帯電源オフのダブルチェックをお願いしたいです。バイブ音でも、鳴ってしまうとあのシーンは台無し!
ニールがあることを乗り越えるために挑んだ怪物“月”への挑戦
思ってた以上に冷たく、ある種の文芸映画でありホラー映画だった。 ニール・アームストロング船長が月という大きな山に挑んだ理由とは←感動 監督の容赦ないリアリズムは毎回えぐいし、ライアン・ゴズリングとクレア・フォイの演技も印象的で良かった。 悪い点ではないが、インターステラーとかオデッセイ系統の宇宙映画だと思ったら全然違う。ドリームみたいな宇宙に行くまでの過程がほぼメインの映画だから好き嫌いは分けれるかも。 伝記でノンフィクション、オリジナルじゃないので、セッションやララランドみたいなラストのデイミアン節はおとなしめで、2時間ちょいの映画なので、飽きるかも。
最近まで月面着陸捏造説を信じていた・・・
1977年の『カプリコン1』を映画館で観たときから捏造説を信じるようになった。以来、飛行機は飛ばない説など、米ソ冷戦などを学ぶにつれ米国の尊厳として陰謀を企てていたという方が真実味があったようますます疑念が生じてくるほどだった。『ライト・スタッフ』や『アポロ13』などといった映画で徐々に信じるようにはなったけど、その後、月に誰も行ってないことでまた疑問が・・・。 NASAが機密扱いしていたアポロ11号との交信記録が公開され、ようやく信じる気になった。アカデミー賞の視覚効果賞を獲ったことや、13日にTBSで放映された「宇宙プロジェクト」なる番組で、この映画の宣伝みたいな内容があったので、ようやく最終日になって観る気になったのです。ちなみに1202のアラームも紹介していました。 冒頭から重低音の響くテストパイロット時代の映像。そして、幼き愛娘カレンの死。その悲しみから逃れるべくしてNASAの宇宙飛行士に応募する経緯。過酷な訓練と、友人たちの事故死。生きて帰れる保証もないし、ニールが時折見せる虚ろな表情がまた妻ジャネットの目を通して悲しくさせる。 ケネディ大統領の月面着陸するという演説も効果的に挿入され、ソ連に勝つために死に物狂いで訓練したようにも思わせながら、ニールだけは違ったのだと感じた。月に降り立ったニールが亡き娘のブレスレットをクレーターに投げ入れるシーンで彼の目的が弔いでもあったと思わせ、帰還後隔離中にガラス越しでジャネットと指を重ねるシーンで終わるところも素敵だ。 映画では扱っていませんでしたが、「一人の人間にとっては小さな一歩だが人類にとっては偉大なる一歩」という名言以外にも、ニクソン大統領から「アメリカの誇り」だと称賛されても「合衆国のみならず、平和を愛するすべての国の人々、好奇心、未来へ希望を持つ人々を代表して」と、米国第一主義には反する意見を述べたという。さらに、宇宙飛行士仲間は次々と政界に進出しているのに対し、政治家への誘いを頑なに断ったニール。後日談ではあるが、テロップ等で扱ってほしかった。
これは月面着陸の映画ではない
観る前から、どういう映画か、何となく予想は付いていた。
まずデイミアン・チャゼル監督の過去の作品を思い出してみよう。
若きミュージシャンを死ぬほどシゴいた「セッション」、夢の実現のために愛を喪わせた「ラ・ラ・ランド」。そう、本作はこれらの作品と同一線上に置くことが出来る。
つまり、徹底して主人公たちにハードワークさせる、ということだ。もう、それは容赦なく。観ているこちらが「もう、やめて」と思うほどに。
ハードワークの末、どの作品でも主人公たちは「何事かを成す」。
本作では、人類初の月面着陸という偉業。
だが。
「ここ」で予想を裏切られる。
「そこ」ではないのだ。
そう、主人公ニールの成した事は「月面着陸」ではない。
幼くして死んだ娘を弔うことなのである。
本作では、画面の情報量は少ない。
登場人物たちの感情表現は最小限に絞られていて、なぜニールが娘の形見を月に持っていったのか、その経緯も理由もわからない。
だから、ラストシーンに驚く。
本作は140分超と長い。この尺で語ってきたのは、月面着陸のサクセスストーリーと見せかけて、実は愛する娘の追悼の旅だったのである。
だから本作には、全編を死の気配が覆っているのだ。
この娘にまつわるエピソードが本当かどうか、僕は知らない。
しかし、偉業とは、こういうものなのだろう。
国の威信を賭けたソ連との宇宙開発レース、注ぎ込まれる巨額の税金に対する批判。
こうした「大きな物語」は、現実には個人の人生とは関係ないのだ、ほとんど。
お国のためになんか、こんな死と隣り合わせの挑戦なんて出来るわけがない。
もちろん、必ずしもニールは、月面着陸をするということを初めから約束されていたわけではない。
そこには偶然や運もあった。
しかし、映画が始まって早々に、彼が宇宙飛行士に応募して面接を受ける場面ではっきりとこう語っている。
「宇宙飛行士になることは、娘の死と関係がある」と。
そう、映画が始まってすぐに、彼は娘を弔う旅を始めていたのである。
彼はずっと、娘の死をどう受け入れていいか分からなかった。だから言語化できないし、ゆえに娘の話はしなかった(できなかった)。
アポロ11号に乗るためには厳しい訓練も多くあったはずだが、そのシーンは描かれない。なぜなら、これは宇宙飛行士としての挑戦ではなく、娘の死を受け入れていく旅だからだ。
そして最後に彼は月に行き着き、そこで娘のために涙を流す。そう、わざわざ月面で、である。
本作で彼が続けてきた旅は、月への旅ではない。娘を弔う旅だったのだ。
地球に戻ったニールはガラス越しに妻と向き合い、そこで映画は終わる。
しかし、僕たちは想像できる。
娘の死を乗り越えて、ここからが彼の人生だろう、と。
これは死と再生の物語なのである。
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