「中高生の親は、みんな観て、感想文を書いたらいいと思う」レディ・バード 塩かげんさんの映画レビュー(感想・評価)
中高生の親は、みんな観て、感想文を書いたらいいと思う
主人公のクリスティンが「レディ・バード」というニックネームみたいなもんを
ミドルネームあたりにぶち込んでいる。
もしくは、クリスティンではなく「レディ・バード」と呼べ、ぐらいの勢いで相手に要求する。
そりゃぁ、友達程度なら、レディ・バードと呼んでもよかろうですが親ならどう思うかですよね。
そう、この映画は高校生~大学生の立場(クリスティン側)と親の立場(お母さん側ね、マリオン側)でお互い見えている世界が違う。
好き勝手して自由奔放に見えて、親から愛されたいクリスティンと過保護を絵にかいたような、娘に過干渉なマリオン
お互いを想う「歯車の数や大きさ」が違うから、噛み合う時もあれば全くかみ合わず、にっちもさっちも話にならない時もある。
これは、アメリカのサクラメントのこの映画の家庭に限った話じゃなくて僕たち日本でも、どこでも同じようなことが起きていると思う。
「親の心、子知らず」と言うが、「子の心、親知らず」とも言える。というか、人の心なんて、誰も知らずなのだけれど相手を自分の枠内にはめ込んで知ろうとするんじゃなくて、相手が自分のことをどう思っているかを、知ろうとするところから「おもいやり」ってもんが産まれてくると思うのよ。
僕にも高校生の子どもがいるので過保護・過干渉なマリオン側に、「そら、あかんわ」「言い過ぎ」「ほっといたら?」などと、高速ツッコミを入れていたが、どうだろう。なんかしら、マリオン=自分に重ねても見えるのだ。
親も子どものころがあったし、反抗したり、親の気持ちを踏みにじったりもしたのだけど、イマイチ覚えていない。。。
だから、感覚的に子どものそういった反親心みたいなのは、わかるんだけどなんでこんなに怒ってるんだろう、ってくらいわからなくなる時がある。
(マリオンはもっと上を行っているように見えるけども)
だらーっと、起伏のない物語だけれど、映画にする意味があるし映画にして伝える意義のある「映画」だと思う。
いい映画だった、中高生の親はみんな観たらいい。
親だって矛盾してたり、迷ってたりするんだから。