劇場公開日 2018年6月1日

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「ダサくても全てがキラキラした日々」レディ・バード とえさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ダサくても全てがキラキラした日々

2018年6月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

素晴らしかったーーーー
どこにでもいる、なんの取り柄もない女子高生の最後の一年間を、時に痛々しく、笑わせながら、とてもみずみずしくキラキラした青春の日々に描き出した作品

2002年、カリフォルニア州サクラメントにある小さな町で暮らす高校三年生のレディ・バード
彼女には、監督と脚本を担当したサクラメント出身のグレタ・カーウィグ本人の自伝的要素が込められている

女子高生のレディ・バードは、自分の身の回りにあるもの全てが、ダサくて嫌だと思っていた
イケてる彼氏がいて、イケてる友達がいて、大学はニューヨークに行くことが、目指すべき理想の世界だと思っていた

けれど、彼女がそう思っていた理想の一つ一つを手に入れてみてはじめて
「現実は理想とは違う」
ことに気付き、もっと大切にしなければいけないものがあることを知る

恋や友情は、見た目のカッコ良さで得ることはできないし
どれだけ都会に憧れても、自分の育った街にかなうものはない

私は、この映画があまりにもキラキラしているので、
なぜ、どこにでもいる平凡な彼女が、こんなにもキラキラしているのかを考えた

そして、彼女をキラキラ輝かせているものは「現状に満足しない向上心」だと思った

どんなにカッコ悪い失敗をしてしまっても、どんなに理想と現実の違いに落胆しても
「私には、違う世界がある」と信じて前に突き進むからこそ、誰よりもキラキラと輝いているんだと思った
現状に満足し「私は一生サクラメントでいい」と思ったら、
そこで成長が止まってしまう

そして、自分を信じ続け、前に向かって歩み続けた結果、
それから16年後には、アカデミー賞にノミネートされる映画監督にまでなるのだ

その成功は、田舎町でくすぶっている「パッとしない女子高生たち」を励ますに違いない
輝かしい成功を手に入れたかに見えるグレタ・カーウィグでさえ
女子高生の頃は、田舎によくいる平凡な女の子だったのだから
何より自分の内なる声を信じて突き進めばいいのだ
両親は反対しているように見えて、誰よりも応援しているのだから

きっと、グレタ・カーウィグのお母さんは、これを号泣しながら観ただろうと思った
私ですら、後半は涙を流しながら観たのだから

あぁ、本当に素晴らしい映画だった

とえ