「ママお疲れさま、な気分。」レディ・バード だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
ママお疲れさま、な気分。
カリフォルニア州は大きいので、ロスやらシスコのような大都市だけじゃないみたいです。
州都であるがサクラメントは割と郊外な感じ、平たく言えば田舎です。
そんなサクラメントに住むクリスティンことレディ・バードは高校生です。
2002年が舞台だとか。グレタガーヴィグが高校生だった頃でしょう。
わたしよりみっつよっつ年下の田舎娘のハイスクールダイアリーです。
レディ・バードって、自称が「てんとう虫」ってどうゆう趣味よと思っていましたが、
クリスティンの意図したところは「鳥婦人」らしいです。
どっちにしてもどうゆう趣味よ、なんですが、思春期女子のやることですから、苦笑交じりに見守るしかありません。
もう、自分勝手でどうにもしゃあないけれど、かわいい女の子でした。
母親とぶつかりまくり、性欲に踊らされまくり、田舎をでて東海岸の大学へ行きたいけど家計の都合上は州立大学へ行けと言われている。
1年で2回恋をします。恋というか、恋という名の前戯&性交体験に見えました。
もっと毒っけの強い母親からの脱却物語かと思いきや、心配症だけどすごくまっとうなお母さんとのお話でした。
母が娘にあてて書いたけど、書きあがらないし渡せなくって、こっそり捨てた手紙を父が娘に渡すんですね。それで母のことが少しだけわかるんです。
そのくだりが良かったです。
永らく妊娠しなくて(だから長男を養子で迎えた/なんで兄だけアジアかヒスパニックに見えんのかなってゆう疑問が解けた)、あきらめかけた後に授かったのがクリスティンだったようです。
母は手紙の有無にかかわらず、クリスティンを愛しています。明らかに。
だけど母は神ではないので、反抗的な娘を毎日毎日朗らかに接せない。
しかも母は、休職中でうつ病の夫をも支えなくてはならないので、余裕はない。
態度を軟化させたら母は毎日のエネルギーを前進にではなく、悲しみに注いでしまいそうで、多分ギンギンぷんぷんしていないとやっていけない。
だから娘にやさしくできない。
それがクリスティンには自分を嫌っているように見える、ということかなあと思いました。
進学先で揉める部分は、どちらが悪いとかじゃないなと思いました。
近くにいてくれという母の気持ちも分からなくはないし、
娘のニューヨークへ行きたい!という狂おしい衝動はもっとわかるし。
この場合、どんなに母が悲しく傷つくとしても娘の希望を押し切るしかないです。
少なくともわたしはそう思います。
むくれたまんまの母に対して、せつなく同情しました。
あなた十分頑張った。気持ちのやり場がないのはわかるから、気がすむまでむくれてていいと思う。
それで後悔することも多少あるだろうけど、今は気持ちが自然に凪ぐまで、自分を優先したらいい。そう思いました。
必要なときに言葉やしぐさや体で、ポジティブで愛情あふれるやりとりができる親子よりも、
どうしてもぶつかりまくってコミュニケーションが不全気味になる親子だけど、
愛情は確かにある、ってほうが、ほんとうっぽくていとおしく思います。
絵に描いたように美しいっていうのは、ありえないってこととほとんど同義だと思うもの。
レディバードの彼氏①はマンチェスターバイザシーのリーの甥っ子くんの中の人で、彼氏②は君の名前で僕を呼んでのエリオの中の人でした。
旬で素敵なキャスティングでした。
親友を捨てて人気者にすり寄って、お金持ちのふりして彼氏①のおばあちゃんのおうちが自分ちって嘘ついて、金持ちのモテ系女子にばれるとか、
童貞と信じて処女を捧げたらそうじゃなかったからショック!!!とかバカみたいなレディバードもよかったですよ。
追記
ママ役の人は、ビッグバンセオリーのシェルドンのママ役の人だった!!2018年にはまだビッグバンセオリーを見てなかったー。あたしあのシェルドンのママに泣かされてたんか!