劇場公開日 2018年10月13日

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「静かな映画」日日是好日 satoyan96さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0静かな映画

2018年10月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

幸せ

とても静かな映画でした。
こんな映画を観たのは初めてかもしれません。
物語では時が淡々と流れひとりの女性が成長してゆく。そこには茶道がありました。
茶室の中で耳にするのはお茶を点てるときの音、時が移ろってゆくなかで、日本の自然が季節ごとにつくる雨や風の音、そんな音たちが茶室で奏でられます。そしてひとのこころにやすらぎと、心地よさ与えてくれる。茶道には日常で体験できないとても安らかな時間があるんだなと感じました。

すこし映画から離れてしまいますが、千利休から始るお茶の歴史その中であの荒々しかった戦国武将達も同じ体験をしていたのだろうか?ふと思いをはせました。戦(いくさ)の荒々しさの中茶道の静寂は彼らにとってきっと、精神を休める心のよりどころだったのかも知れないと思いました。

さて映画に戻りましょう樹木希林さんの遺作となったこの作品。
彼女が与えてくれた静かな感動は、彼女が死と向かい合った一人の人間だったことと無縁ではないと思うのです。老いは人間にとってさけられないそんな中「一期一会」そして「日日是好日」を実践されていたと思うのは私だけではないと思います。

そんな茶道の先生役の希林さんに茶道を習うのが黒木華さんと多部未華子さん。(お二人とも私の好きな女優さんです)ふたりはこの物語で対照的な役どころ。彼女たちにはそれぞれの歩んでゆく道があり、それぞれの茶道への関わりがありました。そして時は淡々と二人の人生をすすめてゆき二人とも、それぞれの「一期一会」と「日日是好日」を実感する事になります。物語を観ている方にはそんな日常が伝わるのはないでしょうか?そして自分にもあるのでは・・・

華さんをやさしく見守るのはお父さん役の鶴見慎吾さん。
彼は亡くなる前に、一人暮らしを始めた華さんに会おうと彼女に電話をかけるのですが大事な用事が入っていると断られてしまいます。これも「一期一会」、華さんに大きな悲しみをつくってしまいます。

どうすることもできない別れ、これも私達の周りに必ず起こることです。自分に縁のある親しい人たちには合える時に会おうと思いました。

最後にこの映画の本当の主役は人間というよりもむしろ、茶道に関わるお茶室といろいろな茶道具そして「茶道」そのものではと思いました。そこには日本(日本人)の凛とした至誠や自然を感じ取る感性あるんだと感じました。

本当に優しい映画でした。観て良かったです。
「一期一会」「日日是好日」を大切に。

satoyan96
chiさんのコメント
2018年10月31日

ネタバレです

chi