ナチュラルウーマンのレビュー・感想・評価
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全てが融合され迫ってくる
監督の志が高いだけに、主張するところが強い作品。単に主張しているだけにとどまらず、映像や音楽、演出など全てが融合して、何か強烈に伝わってくるものがあった。
最近はLGBTをテーマにした優れた作品が多いと思っているけれど、それは単に物珍しさに興味を抱いているだけなのかもしれない。どんなに理解を持とうと思っても、理解できない怪物だと彼女・彼らたちを見ている自分がいる。差別を受ける当事者も同様のようなことが言えて、自分を卑屈に見て人目を避けているようなところもあるだろうし…。
徐々にLGBTが浸透し、偏見も減って世の中に受け入れられていると思っていたけれど、それはまだまだ幻想で、ここから数十年後・数百年後、こういった問題がどうなっているのか全く想像がつかない…と色々と思うところが多い作品だった。
神の仕打ちに反逆する覚悟
自分らしく生きるのは難しい。
今年の大事な一本。祝アカデミー外国語映画賞受賞!!
トランスジェンダーと本作で語っているテーマに関しては下記の町山智浩さんと鈴木みのりさんのツイッターでのやり取りがとてもわかりやすいので転載いたします。(広く見られる必要があるとのことでしたので。)
映画『ナチュラル・ウーマン』について。同性婚について言及することへの疑問。 - Togetter
https://togetter.com/li/1202626
本作で主人公は自分をトランスジェンダーであるということを匂わせるセリフは一言もいいません。「私は人間よ!」ただこの一言だ。人間であって、人を愛して、普通に生きる。
それを否定する資格なんて誰にあるのだろうか。
主人公が雨に打たれたり、わざとらしいくらいの追い風にさらされたり、親戚から酷い仕打ちを受けたりします。それでも前へ前へ進んでいく、強く生きて行こうとする主人公の姿に自然と涙が。。。
マリーナ役を演じたダニエラ・ベガさん自身もトランスジェンダーでありシンガーでもある。まさにダニエラさんにしか出来ない役柄!今年の大切な一本になりそうです。アカデミー外国語映画賞にもノミネート中。
自分で決めた道を突き進む強さ
今年のアカデミー賞外国語映画賞ノミネート作品
「ありのままの自分」で生きる主人公が清々しく、ポジティブなパワーをもらえる作品だった
歳の離れたマリーナとオルランドは、強く愛し合うカップルだった
しかし、オルランドが動脈瘤で急死してしまう
そして、その場にいたマリーナは、何もしていないのに疑われてしまう
彼女がトランスジェンダーだという理由だけで
この物語は、愛する人にお別れの言葉を言いたいのに、彼の家族から拒絶されてしまい、愛する人に一目会うために差別や偏見と戦うマリーナの物語である
マリーナは社会からの向かい風にも、どしゃ降りの雨にも屈せず、前に向かっ歩き続ける
彼女に対する差別や偏見が本当に酷い
警察も、病院も、彼の家族も、彼女を化け物扱いする
それでも、何回くじけても、毎回立ち上がる彼女の強さは爽快だった
なぜ、彼女は毎回立ち上がれるのか
その秘密は鏡にあった
くじけそうな時はいつも、鏡が彼女の前に現れる
それは、彼女が鏡に映る自分を見て、現実と向き合うためのものだった
辛いときこそ現実と向き合い、それを受け入れ、ありのままの自分でいるために鏡はあった
そんなマリーナの生き方は「自分らしさ」を見失ってしまった多くの人たちに勇気を与えるに違いない
誰だって、周りから酷いことを言われれば、立ち直れないぐらい落ち込んでしまう
それでも彼女は誰に文句を言われようとも、立ち上がり前を向く
その強さの源は、オルランドへの愛と、自分で決めた道を進む決意にある
自分の人生は自分で決めたもの
だから、周りに何を言われても突き進むだけ
そんな「ありのままの自分」を受け入れたからこそ、彼女は強く生きられるのだと思った
思わず応援したくなる
思わず応援したくなる
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