「イグアスの滝には何か共通項が?」ナチュラルウーマン kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
イグアスの滝には何か共通項が?
映画『ブエノスアイレス』(1997)ではトニー・レオンとレスリー・チャンのベッドシーンなんかがあって話題を呼んだが、こちらの作品では冒頭に滝の映像が流れ、オルランドがマリーナをイグアスの滝に誘う場面がある。「白い封筒をどこに置いたか忘れてしまって・・・」などと、忘れっぽくなっている57歳の社長オルランド。恋人は生物学的には男性である、トランスジェンダーのマリーナ。いきなりオルランドが倒れ、病院で死亡するというショッキングな展開だ。
警察の取り調べは性犯罪を中心に扱ってる女性刑事。すぐに犯罪と結び付けたがる、いけ好かない刑事だ。そして、弟ガブリエル、元妻ソニア、息子ブルートと家族が現れ、彼女を偏見の目で見始める。そして、通夜も葬儀にも来るなと通告が・・・そんな中、ただ一人ガブリエルだけが「彼女は女性だ」と、援護射撃をしてくれる。この弟だけが人間を理解してる人なんだな~と、優しい気持ちになれる。
一緒に住んでた恋人という設定ですが、最初は「友達です」と言ってたマリーナ。その恥じらいと、遠慮がちなところがとてもキュート。徐々に女性らしさを発揮して、前向きに生きていこうとするところが心地よかった。あのサウナでの心境は難しいけど。
ストーリー的には普通の評価でしたが、ダニエル・ベガ本人もトランスジェンダーだということを後で知り加点(あの胸も自然だったのですね)。また、アレサ・フランクリンの「ナチュラル・ウーマン」も、アラン・パーソンズ・プロジェクトの「time」も作品にマッチしていて気持ちがいい。個人的には冒頭の「あなたの愛は昨日の新聞紙」(タイトルわからず)をもう一度聞いてみたい!
追伸:
レスリー・チャンの早世は重ね重ね残念でした。
「さらばわが愛、覇王別記」を観ると、あっという間に命を終えてしまったレスリーの人生の炎の熱さを感じます。
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「イグアスの滝」か・・
何か地球の裏側1万メートルで轟くあの瀑布の振動が、自分の生き方を探り求める心の奥底の震え・渇望と、どこかで“共振”をしているのかもしれませんね。マリーナやブエノスアイレスのウィンにとって。そして私たちにとって。
僕もイグアスの滝、行ってみたくなりました。