「数ヶ月後くらいには忘れてしまう」マスカレード・ホテル さうすぽー。さんの映画レビュー(感想・評価)
数ヶ月後くらいには忘れてしまう
マスカレードホテルの原作小説はまあまあ好きでした。
現実的に突っ込みどころはありつつも、トリックや伏線が上手くて最後まで犯人がわからなかったのを覚えています。
ただ、この作品は小説の世界だからこそ楽しめる面白さが魅力だったので映像化に対して半信半疑で、映画の日の値引きで観に行きました。
...まぁ、そこまで悪くはないですが普通です。
好きじゃいところも結構多かった。
キャスト陣は殆どが良かったです。
何人か無駄遣いしてるとは思いますが、俳優陣の実力によって観ていられない演技は無かったです。
主演のキムタクもいつも通りのキムタクっぽい所はありましたが、少しがさつでワイルドな風貌は新田浩介に合っていました。
長澤まさみもコンシェルジュの役は結構はまっていました。
また、ホテル内のセットデザインも良かったです。
一流ホテルっぽさが出ていて、上品でおしゃれにセッティングされていました。
それ以外は、特に語る所が無くて困ってます(笑)
演出は、照明が明るかったりスローモーション多様し過ぎなドラマっぽい臭い所はありましたが、そこまで悪いわけでも無かったです。
また、音楽が多すぎます。
作曲家の佐藤直紀を否定してるわけでは無いです。
寧ろ素晴らしい作曲家だと思っています。
これはコードブルーの映画でもそうだったのですが、音楽を使いすぎると本当にくどいです。
これまで何度も思ってきたのですが、雰囲気が削がれる事もあるし、映像から生まれる緊張感が全然生まれなくなります。
ドラマだと雑音が多いお茶の間で観るので音楽を多用して引き込ませるので、多い方が正解なのですが、映画は逆です。
静かで暗い所で観るので、何でもかんでも入れてしまうと耳障りになってしまいます。
照明も同じです。
ドラマだと明るい照明の方が明るい環境では観やすいですが、映画は暗い環境なので全く逆です。
ドラマくらい明るいと眩しいです。
(何故こんなことを話すかと言うと、この映画の監督がドラマの演出家だからです。)
ストーリー展開の演出は許せる部分と許せない部分があります。
犯人以外の部分の展開や演出は許せるのですが、犯人である人物の演出部分だけは許せないものがあります。
小説だと他の登場人物のミスリード等もあって良い意味で「騙された」感はあったのに対して、この映画は「その犯人」の人物に対して怪しい風な曲をガンガンかけまくって演出も怪しいと匂わせるようにしてました。
...何してんの(笑)
ミステリーが得意な人だったら絶対にわかってしまうような演出をしてました
ですが、犯人以外の人物の役は比較的良かったところもあったり終盤の犯人の攻防はハラハラして良い感じになってました。
全体のテンポは少し悪かったものの、「ラプラスの魔女」に比べたらまだ「観れる」映画になっていました。