「待ちに待った続編なのに…」パシフィック・リム アップライジング Yukiさんの映画レビュー(感想・評価)
待ちに待った続編なのに…
最初にパシフィックリムを見た時の衝撃は本当に凄かった。
ハリウッドが本気でロボット映画を作ったら、と言う仮説が正に現実になったような映画で鳥肌ものだった。
ロボットの描き方、怪獣の迫力、ストーリー、キャストどれをとっても満足いく内容だった。
それだけに、今回の続編はがっかりだ。
冒頭のナレーションから、スクラッパーとノーベンバーエイジャックスの戦闘シーンは吸い込まれる様にのめり込めたが、
中国のシャッタードームに物語が移ってからが散々だった。
若いイェーガーパイロット達が未熟ながらも助け合って世界を救うと言うのが、元々大筋だったのかな?
それが、脚本が色々あって代わってしまったのか、今回メインになりそうで、全然描写されない若手パイロット達。それが最後に残った数少ないイェーガーで世界を救う為に出撃するのだが、それまで一部のパイロット以外ほとんど描写がないだけに、全く感情が盛り上がらなかった。
出て来るのは、ペントコストとシャオ産業と言う中国の会社の女社長、他は中国人のパイロットや司令官ばかりで、感情移入を誰にしたら良いのか全く分からない。
と言うより、フォーカスされる人物が、ペントコストと、中国の若手パイロットとシャオ産業の女社長と言うアンバランスさで、観ていて全然しっくり来ない。
しかも、ストーリーが本当に不自然で若手パイロット達の活躍はあまりなく、ほぼ噛ませ犬状態だった。
結局、世界を救ったのは中国の企業と、その女社長と言うオチなのだが、それに全く感情移入出来ないのだ。
無人イェーガー開発を進めるシャオ産業。その無人イェーガーが暴走して世界は危機に陥るのだが、その危機を阻止したのもシャオ産業で、無人イェーガーは結果的に否定されず、むしろ今後は無人イェーガーが世界を席巻して行くことを示唆して終わるのだが、それがまたしっくり来ない。
ロボットメインの映画だから、ストーリーはそこまで凝らなくても良いとは思うのだが、色々矛盾点や、何故そうなるの?って言うしっくり来ない設定や展開が多過ぎて、クライマックスに近くにつれ、盛り上がりたいのに、盛り上がれないもどかしさばかりが募った映画だった。
前作が本当に良かっただけに納得出来ず、ネットで色々調べてみると、製作会社が中国の国営企業に買収され、監督はじめスタッフがことごとく入れ替え、脚本も3分の1が修正されたとの事で、なるほどと何となく納得できた。
中国版の偽物パシフィックリムとして見れば何となくしっくりくる、そんな残念な映画でした。