ザ・シークレットマンのレビュー・感想・評価
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内部告発者の思いと覚悟
ウォーターゲート事件を内部告発したマーク・フェルトFBI副長官が主人公です。
リチャード・ニクソン大統領を辞任に追い込みました。
1972年6月17日に起きたウォーターゲート事件自体は、有名ですが、
古く、未解明なのですっきりとしないストーリーだと思います。
特に、政治に興味がある無しにかかわらず、若い人達には理解できないでしょう。
若い人達には、「シチズンフォー スノーデンの暴露」や「スノーデン」
のほうが親しみやすいと思います。
1972年4月11日から始まり、1973年6月22日にマーク・フェルトFBI副長官が
退官するまでを描いている映画です。
日本で起きたロッキード事件よりも前で、ベトナム戦争時代の頃の話です。
理解したい人は、「J・エドガー」、「JFK」、「ザ・ホークス
ハワード・ヒューズを売った男」、「ニクソン」、「大統領の陰謀」を
事前に鑑賞し、理解する必要があります。
映画を鑑賞しても理解できない点について、私見ですが説明します。
・なぜ、マーク・フェルトFBI副長官は、ウォーターゲート事件を内部告発したのか?
リチャード・ニクソン大統領が、CIAを利用し、FBIがウォーターゲート事件
の捜査を妨害したからです。
・なぜ、リチャード・ニクソン大統領は、FBIのウォーターゲート事件の捜査を妨害したのか?
FBIだけが、リチャード・ニクソン米国大統領再選委員会という政治資金を捜査する
ことができるからです。
・なぜ、リチャード・ニクソン米国大統領再選委員会という政治資金の捜査を妨害したかったのか?
ウォーターゲート事件の実行犯達にリチャード・ニクソン米国大統領再選委員会から資金が
支払われたからです。
リチャード・ニクソン米国大統領がウォーターゲート事件に関与している証拠になるからです。
・なぜ、リチャード・ニクソン米国大統領は、CIAを利用して、FBIの捜査妨害をしたのか?
リチャード・ニクソン米国大統領は、ウォーターゲート事件とは無関係というストーリーに
したいからです。
・なぜ、リチャード・ニクソン米国大統領は、ウォーターゲート事件とは無関係というストーリー
にしたいのか?
ウォーターゲート事件で逮捕されたハワード・ハントがCIAの工作活動に関与していたからです。
・なぜ、CIAが、FBIの捜査妨害できるのか?
CIAは、FBIがJFK暗殺に関与していると知っていたので、「ピッグス湾」
という隠語使いFBIを脅すことができたからです。
・なぜ、リチャード・ニクソン米国大統領は、辞任したのか?
リチャード・ニクソン米国大統領がウォーターゲート事件に関与しているという大統領執務室で録音
した42本の録音テープを公開しないためです。
日本も米国と同じような状況になってきているのが気がかりです。
国民が知ることができない内閣官房報償費という資金があります。
国民が知ることができない特定秘密保護法で守られた情報があります。
国民が知ることができない略式起訴で守られる真実があります。
そして、この映画でも権力者を守るために利用される司法取引が導入
されようとしています。
若者は、上記のようなことも理解することさえできず、期待することはできません。
メディアは、総務大臣に放送法174条(業務停止)や電波法76条(電波停止)
で、脅かされて、キャスターを降板されるなどしているので、期待することは
できません。
若者は、派遣労働者、契約社員、契約職員として利用され、
年金は繰り下げられて、奴隷のように働かされるだけです。
孔子曰く「目の前の権力に屈するのではなく、自分の命に従え」です。
自分の命というのは、「たった一度の自分の人生」ということです。
知識も経験もあり、人生の終盤に差し掛かったオジサンが内部告発する
べきだと思いました。
出来れば予習を!
第90回のアカデミー賞、作品賞と主演女優賞(メリル・ストリープ)がノミネートされている『ペンタゴン・ベーパーズ 最高機密文書』が注目されていますが、私は今年に入って予習に『大統領の陰謀』と『ニクソン』を鑑賞しました。そして直前の今、公開中のこの映画もまたウォーターゲート事件を題材にした物語。興味のある方は是非『大統領の陰謀』をご覧になってから観ると味わいが200%増しになります。
荘厳な劇伴が彩る骨太の実話ドラマ
フーヴァー長官の元で実質FBIを統括する実力者で次期長官も確実視されていたGメンの中のGメン、副長官フェルトは1972年フーヴァー長官の急死後、ニクソンの一声で門外漢であるグレイが長官代理の座に就いたことで挫折を味わう。そんな折ウォーターゲート事件が発覚、捜査を指揮するフェルトはたびたびCIAに妨害され、果ては機密情報をグレイがホワイトハウスにリークしていることを知り激怒、旧知の仲だったワシントン・ポストのウッドワード記者に接触、事件に迫る重要なキーワード、人物名を少しずつ示唆し始める。
黙々と国家の為、組織の為に尽くしてきた男が静かに怒りを滾らせた”ディープ・スロート”と化す様を静かに見つめる地味なドラマですが、全米を揺るがす行動に勤しむ一方で妻を深く愛し、自ら手紙をしたためて音信不通の娘を探し続ける家庭人でもあるフェルトを演じたリーアム・ニーソンの深い示唆に富んだ佇まいが印象的。終始淡くグリーンが強調された冷たい映像は美しく、オーケストラ主体の荘厳な劇伴も相俟ってずっしりと重たい大人のドラマとなっています。
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