「『ラ・ラ・ランド』の向こうを張ったオープニング」SUNNY 強い気持ち・強い愛 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
『ラ・ラ・ランド』の向こうを張ったオープニング
アラフォーの奈美(篠原涼子)、夫と高校生の娘の三人暮らし。
入院中の母のお見舞いに出かけた際、同じ病院内で懐かしい名前を見つける。
芹香・・・
それは、女子高生だった頃、いつも一緒にいた6人組のリーダー的存在。
彼女(板谷由夏)は末期の癌・・・
そんな芹香のために、奈美は昔の仲間探しを始める・・・
といったところから始まる物語で、仲間探しと並行して、女子高生時代のエピソードが綴られていきます。
まず、目を奪われるのは、女子高生時代の奈美役、広瀬すず。
淡路島から東京へ引っ越してきた転校生なのだが、時折まじる関西弁も含めて、とにかく闊達で、動きそのものが面白い。
前半でのキレキレにキレての啖呵(といっても、吉本新喜劇のネタなのだが)を切るシーンや、6人でダンスの練習をするシーンなど、動き自体が面白く、なかなかのコメディエンヌぶり。
この明るさが好いのだけれど、阪神淡路大震災後に、工場がつぶれて上京した・・・という設定は活かしきれていないかも。
それから、注目はミュージカルシーン。
『モテキ』『バクマン。』の大根仁監督なので、突然のミュージカルシーンも心得たもので、冒頭の「LA・LA・LA LOVE SONG」の群舞シーンは『ラ・ラ・ランド』の向こうを張ったもの(ラ・ラ・ラつながりは、絶対にそうだ)。
楽曲が終わって、初登校で戸惑う奈美へとつながるワンシーンワンカットは、かなり上手い。
ここでノレれば、この映画は愉しめる。
ただし、ストーリー的にはベタベタ。
特に現在パートがベタすぎる感がしないでもない。
彼女たち女子高生が輝いた90年代・・・
ただし、それは輝かしいだけでなく、阪神淡路大震災もあり、映画では描かれないがオウム事件もあった。
バブルははじけた後で、中小はおろか大企業も苦しんでいる。
それを苦々しくみていた人間もいる(いた)わけで、それを、年かさの探偵リリー・フランキーだけに背負わせただけなので、少々荷が勝ちすぎてはいまいかしらん、と。
ドラマ終盤も少々ご都合主義的(というか、彼女、そんなに成功していたのか、と驚く)展開は、やはりベタ。
とはいえ、その後のカーテンコールで、またまた挽回かしらん。